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2013年10月

「運動とエネルギー」の発展問題のうち、力の合成・力の分解と、斜面上にある物体にはたらく力についてまとめておきます。


力の合成と分解

斜面上にある物体にはたらく力を理解するには、力の合成と力の分解について知っておかなければなりません。

合力と分力
ある力( f )とつりあう力(F)は、同一直線上で、向きが逆で、同じ大きさの力です(力のつりあいの3条件)。
1人で力 f に対抗しようと思えばFの力を出す必要があります。では2人で共同して対抗するときはそれぞれどんな力を出せばよいでしょうか。

それを解決する原理が「力の平行四辺形」です。
ある1点にF1とF2の2つの力がはたらくとき、2人の共同で生み出される力FはF1とF2を2辺とする平行四辺形の対角線で表わすことができるという法則です。
そして、このときのF1、F2を分力、共同で生み出された力Fを合力といいます。


力の合成

2力、F1とF2が与えられているとき、この2つの力の共同で生み出される合力Fを求めるのが「力の合成」です。
力の合成
1、力F1の端の点Qを通り、力F2に平行な直線と、力F2の端の点Pを通り力F1に平行な直線を引き、引いた2つの直線の交点をRとします(F1とF2を2辺とする平行四辺形を書いたことになります)。
2、OとRを結んでできた線分ORが、合力のFです(平行四辺形の対角線が合力です)。





力の分解

力Fが与えられているとき、力Fと同じはたらきをする2つの分力F1とF2を求めるのが「力の分解」です。
このとき、2つの分力の方向が先に明示してあります。

力の分解1、合力Fの端の点Rを通り、2方向を示す直線に平行な2本の直線を書き、もとの与えられた直線との交点を求めます。

2、求められた交点をP、Qとすると、OP、ORが力Fの分力となります。







力の合成













力の分解がわかって、初めて斜面の問題を考えることができます。


斜面におかれた物体にはたらく力

どんな物体にもはたらいている力は重力です。
ところが、斜面におかれた物体はまっすぐ下に落ちることはありません。摩擦力のない斜面では、斜面にそってすべり落ちるはずです。なぜでしょうか。

斜面上の物体にはたらく力物体にはたらいている重力(赤色)は、斜面上では、斜面を垂直に押す力(ピンク色)と、斜面をすべり落ちようとする力(青色)に分解される、が答えです。

見方を変えると、重力と、斜面から物体がうける抗力(緑色)の合力が、斜面をすべり落ちようとする力だということになります。

斜面を垂直に押す力は、物体が斜面からうける抗力とつりあっているので、物体にはたらいている力は斜面をすべり落ちようとする力だけになり、だから物体は斜面にそってすべり落ちるわけです。


斜面をすべり落ちないように支える力

斜面をすべり落ちようとする力とつりあう力を考えればよいので、図の青色の点線の力、つまり、斜面をすべり落ちようとする力と同一直線上にあって、向きが逆で、大きさの等しい力で物体を支えてやると、物体は静止し続けます。


斜面で、支えていないのに物体が静止しているとき

斜面と物体との接触面に摩擦力がはたらき、その摩擦力が斜面をすべり落ちようとする力とつりあっていたら、物体は静止したままです。


相似

斜面をつくっている三角形と、重力斜面を垂直に押す力を2辺とする三角形とは、相似(形が同じで、辺の比が等しい)になります。

また、斜面をつくっている三角形と、重力斜面をすべり落ちようとする力を2辺とする三角形も、やはり相似です。


3:4:5
だから、斜面をつくっている三角形の辺のが、図のように3:4:5であれば、斜面をすべり落ちようとする力:斜面を垂直に押す力:重力のも3:4:5です。

したがって、例えば物体の質量が100gだとすると、
重力:すべり落ちようとする力=5:3、
重力は100g=1Nより、
すべり落ちようとする力をxとすると、
1:x=5:3
5x=3
x=0.6
となり、すべり落ちないように支えるには、0.6N(ばねはかりの目盛りで60g)の力が必要だということになります。

入試では、三平方の定理を使う問題も出題されます。
数学で習いますが、角度が90度・60度・30度の直角三角形の辺の比は1:2:√3です。
1:2:√3
このとき、斜面をすべり落ちようとする力:重力:斜面を垂直に押す力の比も、1:2:√3です。








また、90度・45度・45度の直角三角形の辺の比は1:1:√2です。
1:1:√2
この場合、斜面をすべり落ちようとする力:斜面を垂直に押す力:重力も1:1:√2です。









斜面の角度

以上の図を見てもわかるように、斜面が急斜面であるほど、すべり落ちようとする力は大きくなり、斜面を垂直に押す力は小さくなります。


斜面と運動

運動は、速さが一定である運動(等速直線運動が代表的)と、速さが変わる運動(時間に比例して速さが大きくなる落下運動が代表的)に分かれます。

斜面をすべり落ちている物体の運動は、落下運動と似た、時間に比例して速さが大きくなる運動です。



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ニュートンが発見した運動の3法則といわれるものがあります。

第1法則(慣性の法則) 静止または等速直線運動をする物体は力が作用しないかぎりその状態を保つ。
第2法則(運動方程式) 物体に力がはたらくと、その方向に、力に比例し質量に反比例した加速度を生ずる。
第3法則(作用反作用の法則) 物体が他の物体に力をおよぼすとき、力をおよぼされた物体は、同一直線上にあって大きさが等しい逆向きの力をはたらき返す。

この稿でとりあげるのは、第1法則の慣性、慣性の法則です。


慣性と慣性の法則のちがい

慣性とは、すべての物体が持っている、静止しているものは静止し続けようとし、運動をしている物体は運動し続けようとする性質のことです。

慣性の法則とは、すべての物体は慣性をもつので、物体に力がはたらかないときや、力がはたらいていてもその力がつりあっているとき、静止している物体は静止を続け、運動をしている物体は等速直線運動をし続けるという、運動についての法則です。

「慣性」と「慣性の法則」の2つの言葉の区別はあやふやになりがちですが、「慣性」はすべての物体が持っている「性質」、「慣性の法則」はすべての物体の運動について成り立っている運動の「法則」です。


慣性の法則が成り立っていることが確かめられる実験

コインとトランプコップにトランプをのせ、その上にコインをのせます。

トランプを指ではじいてとばします。

コインはトランプと一緒にとばないで、下に(コップの中に)落ちていきます。

コインには慣性の法則がはたらいているので、静止しているコインは静止し続けようとします。
コインの下で支えていたトランプがなくなったので、静止し続けようとするコインは下に落ちていくわけです。



だるま落としだるま落としとよばれる玩具は、慣性の法則を遊びに利用したものです。

とちゅうのこまを槌ではじきとばします。

はじきとばされたこまの上にのっていたこまは、慣性の法則により、静止し続けようとします。
それで、上のこまはそのまま下にストンと落ちます。


電車と乗客の動き

止まっていた電車が急に動き始めたとき

電車1電車が止まっているとき、電車の中のつりかわも乗客も静止しています。





電車2電車が急に発進したとき、静止していたつりかわと乗客は慣性の法則により静止し続けようとしますが、電車に接着しているつりかわのつけねと乗客の足は電車と一緒に動いてしまうので、つりかわと乗客は図のように電車の進行方向とは逆の方向に傾きます。



走っていた電車がブレーキをかけて止まるとき

電車3電車が同じスピードで走っているとき(等速直線運動をしているとき)、電車の中のつりかわも乗客も等速直線運動をしています。





電車4電車がブレーキをかけたとき、等速直線運動をしていたつりかわと乗客は、慣性の法則により等速直線運動をし続けようとしますが、電車に接着しているつりかわのつけねと乗客の足は止まろうとする電車にくっついたままなので、つりかわと乗客は電車の進んでいた方向に傾きます。



つりさげられた物体につけた糸をひっぱる問題

天井からつりさげた物体の下にひもがついています。そのひもを手で下にひき下げます(どちらのひもも、強くひけば切れる程度の細い糸です)。

ひもをひくゆっくりひいたときと、すばやくひいたときで、物体より上のほうのひもが切れるか、物体の下につけたひもが切れるかがちがってきます。












下のひもをすばやくひいたとき

ひもをひく-2つりさげた物体は、つりさげられた状態で静止しているので、慣性の法則より、そのまま静止し続けようとします。

下のひもをすばやくひくと、物体は静止し続けようとするので、下のひもを物体とひもをひいた手でひっぱりあうことになり、物体の下につけたひものほうが切れてしまいます。




下のひもをゆっくりとひいたとき

ひもをひく-3物体の下のひもをゆっくりとひくと、その力が物体に伝わり、物体も下に動こうとします。

今度は天井と物体がひっぱりあって、物体の上につけたひものほうが切れてしまいます。








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「速さ」「平均の速さ」という言葉は、小学6年生の算数と、中学3年の理科の2ヶ所で出てきます(「瞬間の速さ」は中学理科でしか出てきません)。
この稿では、中学3年理科の『運動』の単元で出てくる「速さ」を取り上げます

速さ

世の中には、見ただけですぐにわかるものと、ぼんやりとはわかるものの計算をしないと正確にはわからないものとの2種類があります。

わかりやすい例は、長さと面積です。
長さは、定規やものさしをあてただけですぐに正しい数値を求められます。
面積は、正しい値を求めようと思えば、例えば長方形だと縦の長さと横の長さを求めた上で、縦×横の計算をしないと求められません。

速さは、後者と同じで、計算をしないと求められない値です。

面積の式、縦×横を知らない人、難しいと思う人は誰もいません。

同じように、速さを求めようと思ったら、
速さ移動距離÷移動するのにかかった時間
の式を、理屈抜きでまず覚える、
これが速さの問題を解くときの出発点です。

公式が長すぎると思う人は、
速さ距離÷時間
と覚えておけば、それで十分です。


余談:「理屈抜き」で覚えないといけない理由は、速さも面積と同様、「そう決めた」だけであって、そこに理屈はないから、です。
速さという概念があったほうが便利だ、では、距離÷時間を速さとしたら一番使いやすいのではないかと、「そう決めた」だけですから、なぜ「速さ=距離÷時間」なのかを考えてもあまり意味がありません。



次に、理科の公式で重要な単位です。

距離には、km、m、cmの3種類があり、時間には時間、分、秒の3種類があるので、単位はkm/時、km/分、km/秒と、m/時、m/分、m/秒と、cm/時、cm/分、cm/秒の9種類があることになります。

他の公式だと、単位は原則として一つです(例えば、圧力の単位はN/平方mだけを通常は使います)。
しかし、速さの単位だけは、上の9つのどれを使ってもかまいません。
計算の過程をそのまま反映させたらよいだけです。
例えば、ジェット機が2秒で0.4km進んだとすると、速さを求める式は0.4km÷2であり、答の単位は式の単位をそのまま使って0.2km/秒です。

(問題で、解答の単位を指定してあるときは別です。そのときの解き方は別稿で説明します。)

まとめます。

(1)速さの問題を解くときは、速さ=距離÷時間の式を覚えて、常にこの式にあてはめることだけを考える。

(2)速さとは何かと聞かれたときも、距離を時間でわったものですと答えればよい。

(3)速さの単位は、計算で使った距離と時間の単位をそのまま使えばよい(例えばm÷秒であればm/秒)。



「速さ」と「平均の速さ」と「瞬間の速さ」

どの教科書やテキストにも、
速さ」とは「物体が一定時間に移動する距離である」、
平均の速さ」とは「物体が同じ速さで動き続けたと考えたときの速さである」、
瞬間の速さ」とは「時間間隔をごく短くしたときの平均の速さである」、
と書かれています。

正直、さっぱりわかりませんね。

信号も何もないまっすぐな道路を、スピードを変えないで自動車で進んだとします。
100kmの距離を2時間で通り過ぎたら、速さは、距離÷時間の公式から100÷2=50km/時です。
このときだけは、「速さ」と「平均の速さ」と「瞬間の速さ」の3つがすべて同じで、一致します。

ところが、「スピードを変えないで」自動車を進ませることなど、実際には不可能です。
止まっていた自動車がだんだんスピードを上げて最高速度になり、スピードをあげたり落としたりしながらやがて減速して終点で止まる、というのが現実の姿です。

数学とちがって、理科では現実に運動する物体を対象とします。

だから、「速さ」以外に、「平均の速さ」と「瞬間の速さ」という言葉が必要になってきます。


平均の速さ

いろいろスピードを変えたけれども、最終的には100kmの距離を2時間で進んだわけだから、途中の速さの変化は一切無視して、速さを50km/だと考えようというのが「平均の速さ」です。

この「平均」は、算数の「平均」とは意味が違います。
ある地点では時速100kmで走っていて、次の地点では50kmで走っていたとして、速さは個数ではないので(100+50)÷2=75とはなりません。
進んだ距離によって、「平均の速さ」を表す数値はすべて違ってきます。

簡単に言うと、「平均の速さ」というとき、「平均」の語は、「途中の速さの変化は無視しよう」と言っているだけで、計算上は何の意味もありません。
他に言葉がないから「平均」と言っているだけで、単に「速さ」だと思ってください。


瞬間の速さ

目の前を自動車がすごいスピードで通過したとします。
そのとき、自動車のスピードメーターが90kmを表示していたとしたら、その90kmが、目の前を自動車が通過した瞬間の「瞬間の速さ」です。

ところで、自動車の外に立っている私がその自動車の「瞬間の速さ」を知りたいと思ったら、どうすればよいでしょうか?

目の前の1mなら1mの距離を、自動車が0.04秒で通過したと測定して、速さ=距離÷時間の公式をもちいて1÷0.04=25m/秒。時速になおして、25×60×60=90000m/時=90km/時とするしか方法はありません。

しかし、「瞬間の速さ」といいながら、考えてみればこの場合の時速90kmは真の意味の「瞬間の速さ」ではありません。
0.02秒ときわめて短時間ですが、その間でも自動車の速さは変化している可能性が高い。
この90km/時という速さは、速さが変化しているかもしれない0.02秒間の「平均の速さ」でしかありません。

いくら測定時間を短くしようが、私たちは「平均の速さ」でしか「瞬間の速さ」を知ることはできないのです。


「速さ」と「平均の速さ」と「瞬間の速さ」、相互の関係

以上の考察からわかるように、理科で速さを表す3つの言葉、「速さ」「平均の速さ」「瞬間の速さ」は、別物ではありません。
実は同じものです。

現実の運動する物体の速さは刻々と変化しています。

そのことを最初から一切考慮にいれないときに使う言葉が「速さ」です。

刻々と変化することに注目して、注目した上でそれを横において、どれだけの距離をだれだけの時間で移動したかを表そうとする言葉が「平均の速さ」です。

刻々と変化している速さのうち、できるだけ短い時間を取り上げて、そのときの「速さ」を表す言葉が「瞬間の速さ」です。


実際に問題を解くときは

言葉は違っても、同じ式である、距離÷時間で求められるものが「速さ」「平均の速さ」「瞬間の速さ」ですから、実際に問題を解くときは「平均の」や「瞬間の」という言葉は無視していいのです。

どの言葉が問題で使われていようと、常に「距離÷時間」にしぼって、「距離÷時間」の式だけを使って「速さ」求めたらよいということを知っていたら、全然悩まずに問題を解くことができます。




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力の合成と力の分解の基本的なことがらはこちらでまとめました。
この稿で取り上げるのは、よく出題される問題の解き方・考え方です。

1つの点に3つの力がはたらいているときの力の合成と合力

1つの点に3つの力がはたらいているとき、その3つの力の合力はどうして求めたらよいでしょうか?

例題:点Oに3つの力F1、F2、F3がはたらいているとき、この3つの力の合力を求めよ。
3つの力の合力1つの点に2つの力がはたらいているとき、その2つの力と同じはたらきをする1つの力が合力です。

ということは、例えば、まず、F1とF2の合力を求め、その求めた合力と残ったF3との合力を求めれば、3つの力の合力を求められることになります。




まず、2つの力(例えばF1とF2)の合力を求めます。
3つの力の合力の2













次に、F1F2の合力と、残ったF3との合力を求めます。
3つの力の合力の3
















4つの力が1点にはたらいているときも、考え方は同じです。
2つの力の合力と2つの力の合力を見つけてさらにその合力を求めてもよいし、3つの力の合力を求めてその合力と残りの1つの力との合力を求めてもよいわけです。


合力と1つの分力がわかっているとき、もう1つの分力を求める

例題2:図で、F1は分力のうちの1つ、Fは合力である。もう1つの分力F2を求めよ。
もう1つの分力
平行四辺形の法則より、F1が1辺で、Fが対角線である平行四辺形をかけばよい。

このとき、3つの力の根もとが共通の1点であることに気づいておけば簡単に作図できます。


もう1つの分力の2(1)(2)(3)の順に線をひいて平行四辺形を先にかきます。

その後、F1とFの根もとから矢印F2をひけば、それがもう1つの分力です。











2本の糸で物体をつりさげたとき

例題3:図で、物体にはたらいている重力は1Nである。同じ長さの2本の糸のつくる角度が120°のとき、それぞれの糸はいくらの力で物体をひいているか。
2本の糸と合力








2本の糸と合力の2下向きの1Nの重力とつりあうには、同一直線上にあって上向きの1Nの力が必要です(左図の力F)。
その力を、2本の糸が物体をひく力F1とF2に分解すればよいことになります。
力の分解で平行四辺形の法則を使いたいので、まず重力と同じ長さで逆向きの力Fをかいて、力Fの矢印の先端を通る2辺をひいて、平行四辺形を作図します。
その平行四辺形の2辺にあたる矢印(F1とF2)が、求める分力です。

ところが、2本の糸の作る角度が120°のとき、FとF1、FとF2のつくる角は半分の60°になります。
それぞれの錯角も60°なので、平行四辺形は2つの正三角形に分割されます。
ゆえに、力Fが1Nであれば力F1も1N、同様に力F2も1Nということになります。

つまり、120°の角をつくる2本の糸で物体を支えるときは、常に、物体にはたらく重力と同じ大きさの力が糸にかかるということです。


2つの力のつくる角度と合力の大きさ

力の平行四辺形をかくとわかりますが、2つの力の角度が小さいほど合力は大きくなり、2つの力の角度が大きいほど合力は小さい力となります。
角度と合力
2つの力の角度が120°のとき、もとの2つの力の大きさと合力の大きさが等しくなります。








合力が最大になるときと最小になるとき

2つの力の角度が0°のとき(2つの力が同一直線上にあって同じ向きのとき)、2つの力をF1とF2、合力をFとするとF=F1+F2となり、合力は最大となります。

0°<角度<180°のとき、合力F<F1+F2です。

同じ大きさの2つの力の角度が180°のとき(2つの力が同一直線上にあって逆の向きで力の大きさが等しいとき)、合力は0になってしまいます。


三平方の定理と力の合成・分解

理科の力の問題で、数学で習う三平方の定理を使う問題もときどき見かけます。
三平方の定理と力



















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力の合成

つりあった力天井から物体を糸でつりさげたとき、物体にはたらく重力と、糸が物体をひく力とはつりあっています。









つりあった力2次に、2本の糸で同じ物体をつりさげたときを考えると、左の糸にはたらく力Aと右の糸にはたらく力Bの、2つの力から生まれた1つの力Cが、重力とつりあっていると考えられます。

この場合のように、1つの点にいくつかの力がはたらいているとき(左図だと力Aと力B)、それらの力から生まれる1つの力(左図だと力C)を見つけることを「力の合成」といいます。

また、見つけられた力Cのことを「合力(ごうりょく)」といいます。

力の合成・・・1つの点にいくつかの力がはたらいているとき、それらの力から生まれる1つの力を見つけること

いくつかの力がはたらく場合としては、
1、同一直線上にあって向きが同じとき
2、同一直線上にあって向きが逆のとき
3、同一直線上にないとき
の3つが考えられます。

この3つについて、順に考察します。


一直線上に、同じ向きの2つの力がはたらいているとき
同一直線上で向きが同じ同一直線上で同じ向きに2つの力がはたらいているとき、2つの力F1とF2から生まれる合力Fはどのような力でしょうか?

2人で協力して同じ綱(つな)を同じ向きにひっぱることを考えればわかります。
2人の力をたした力になるはずです。

つまり、同じ向きで、もとの2つの力をたした力になります。
合力F=F1+F2

一直線上にある、同じ向きの2つの力の合力=同じ向きで2つ力の


一直線上に、逆向きに2つの力がはたらいているとき
同一直線上で向きが逆同一直線上で逆の向きに2つの力がはたらいているとき、2つの力F1とF2から生まれる合力Fはどのような力でしょうか?

今度は、打ち消しあった力になるはずです。

つまり、大きいほうの力F1と同じ向きで、大きい力F1から小さい力F2をひいた大きさの力になります。
合力F=F1-F2

一直線上にある、逆向きの2つの力の合力=大きい力と同じ向きで2つ力の

なお、もとの2つの力の大きさが等しいときは、合力は0になります。


2つの力が一直線上にないとき

理科で出てくる量には、時間や温度のように「大きさ」だけで表される量(スカラー量といいます)と、力のように「大きさ」と「向き」の2つを考えないといけない量(ベクトル量といいます)とがあります。
そして、ベクトル量であるには平行四辺形の法則が成り立つことがわかっています。

平行四辺形の法則・・・1つの点にはたらく2つの力は、2つの力2辺とする平行四辺形対角線で表される1つの力でおきかえることができるという法則
平行四辺形の法則
平行四辺形の法則は、1直線上にない2つの力について例外なく成り立っている法則ですが、17世紀にニュートンが発見しました。

平行四辺形の法則を知ることで、私たちは簡単に合力を見つけることができます。

例題1:2つの力F1とF2の合力Fを作図して求めなさい。
例題1








まず、平行四辺形をかき、その対角線をかくと、それが合力です。

小学校のときに習った平行線のかきかたを使います。

1組目の平行な辺をかきます。
例題1の2









もう1組、平行な辺をひきます。

例題1の3









最後に対角線をかくと、それが合力です。

例題1の4









このとき、合力Fは、もとの2つの力F1とF2の和よりは小さい力になります。
合力F<F1+F2


力の分解
「力の合成」とは逆の操作をすることを、「力の分解」といいます。

力の分解・・・1つの点にはたらく1つの力を、同じはたらきをする2つの力に分けること

求められた2つの力を分力といいます。

力の合成と同様に、平行四辺形の法則が成り立ちますから、平行四辺形をかくことで2つの力を見つけることができます。

例題2:力Fの分力F1とF2を作図して求めなさい。
例題2
この種類の問題では、力Fだけではなくて、その根もとを通る2本の直線が必ずかいてあります(かいてないと、分力は決まりません)。

その2本の直線を2辺とする平行四辺形を作図します。
作図の仕方は力の合成と同じで、定規をすべらせて平行線をひきます。
もとの力Fの先端を通る2本の平行線をひきます。

例題2の2






最後に、もとの力Fの根もとから平行四辺形の辺にそって2つの力をかくと、それが分力です。
画像2の3










力の合成・力の分解、作図のコツ・・・合力も分力も、力を表わす矢印の根もと共通の1点であることを常に意識しておく


この稿は、基本的なことだけにしぼりました。




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なぜ鉄はさびやすく金はさびないのか、なぜ亜鉛板と銅板を電解質の水溶液に入れると亜鉛板が陰極で銅板が陽極の電池になるのか、中学理科の範囲だとその理由までは習いません。

「なぜ」を習わないままに結果を暗記してもよいのですが、「なぜ」が気になる人もいるでしょう。

この稿では、『イオン化傾向』についてまとめることで、その「なぜ」を解明したいと思います。


イオン化傾向とは

金属は、-の電気を帯びた電子を手ばなして、+の電気を帯びた陽イオンになります(イオンについてはこちらを参照)。
金属には陽イオンになりやすい金属と陽イオンになりにくい金属があり、陽イオンへのなりやすさのことをイオン化傾向といいます。

イオン化傾向を、陽イオンになりやすい順に並べると次のようになります。

K>Ca>Na>Mg>Al>Zn>Fe>Ni>Sn>Pb>(H)>Cu>Hg>Ag>Pt>Au

Kカリウム>Caカルシウム>Naナトリウム>Mgマグネシウム>Alアルミニウム>Zn亜鉛>Fe鉄>Niニッケル>Snスズ>Pb鉛>(H)水素>Cu銅>Hg水銀>Ag銀>Pt白金>Au金

重要なのでいろいろ覚え方が考案されてきたのですが、私は次の覚え方を気にいっています。

貸そうかな、まあ、あてにするな、ひどすぎる借金

Kそう>Ca>Na>Mg>Al>Zn>Fe>Ni>Snる>Pb>(H)>Cu>Hg>Agる>しゃっPt>きんAu

水素は英語でhydrogenハイドロジェンなので「ひ」です。
水素は金属ではありませんが、陽イオンになる代表的な元素のひとつであり、イオン化傾向がからんでくる分野で重要なので、イオン化傾向の暗記の列に加えます。


イオン化傾向を調べる実験

銀イオンをふくんでいる硝酸銀水溶液の中に、銅を入れます。
イオン化傾向
しばらくすると、銅のまわりに銀色の物質が付着し、水溶液は青色に変化します。

銅のまわりに付着した銀色の物質は銀です。

水溶液が青色に変わるのは、銅が青色の銅イオンにかわり、水溶液に溶けたためです。

銅は電子を放出して銅イオンになります。
銅→銅イオン+電子
銅の電離


銀イオンは銅が放出した電子と結びついて銀になります。
銀イオン+電子→銀
銀の析出


銅が電子を手ばなして銅イオンにかわり、銀イオンが電子を受け取って銀にかわったのは、銅のほうが銀より陽イオンになりやすいからです。
つまり、イオン化傾向が銅>銀だからです。

同様に、銅イオンをふくむ青色の硫酸銅水溶液に鉄を入れると、鉄の表面に銅が付着し、青色であった硫酸銅水溶液は鉄イオンが溶けたために鉄イオンの色である緑色にかわります。
鉄のほうが銅より陽イオンになりやすいのです。
イオン化傾向は鉄>銅ということになります。

イオン化傾向の小さい金属のイオンをふくむ水溶液に、イオン化傾向の大きい金属を入れると、イオン化傾向の小さい金属のイオンはイオンであることをやめて金属になって付着します。イオン化傾向の大きい金属はイオンになって水溶液に溶けます。


イオン化傾向と酸化や還元などの化学反応

イオン化傾向が大きい金属ほど空気や酸や水と反応しやすいといえます。


金属と空気の反応

イオン化傾向のきわめて大きいカリウム~ナトリウムは、加熱しなくてもすぐに空気中の酸素と結びつき酸化されます。

次にイオン化傾向の大きいマグネシウム・アルミニウムは、加熱すると酸化されます。

亜鉛~水銀は、高い温度で加熱すると酸化されます。

イオン化傾向の小さい銀~金は酸化されません。

K>Ca>Na・・・加熱しなくても酸化
Mg>Al
・・・加熱すると酸化
Zn>Fe>Ni>Sn>Pb>(H)>Cu>Hg
・・・高温で加熱すると酸化
Ag>Pt>Au
・・・酸化しない



イオン化傾向が大きい=酸化されやすいということは、イオン化傾向が大きい=還元されにくいということです。


さらに、空気との反応以外の例として、イオン化傾向の大きいマグネシウムやアルミニウムなどの金属は、酸化物にふくまれている酸素と結びつき容易に酸化されます(酸化と同時に還元がおこるので、酸化物のほうは酸素をうばわれて還元されます)。

例えば、二酸化炭素に火をつけたマグネシウムを入れると、イオン化傾向の大きいマグネシウムは二酸化炭素にふくまれる酸素と結びついて酸化マグネシウムにかわり、二酸化炭素は酸素をうばわれて炭素にかわります。


金属と酸との反応

とは水素イオンをふくむ化合物であり、イオン化傾向が水素より大きい金属であるカリウム~鉛を酸に入れると金属は陽イオンに変わり、酸の水素イオンは陽イオンであることをやめて気体の水素になって出てきます。

K>Ca>Na>Mg>Al>Zn>Fe>Ni>Sn>Pb・・・酸に入れると水素を発生
>(H)>
Cu>Hg>Ag>Pt>Au
・・・酸に入れても水素を発生しない



中学生は以上の原則を知っていたらそれで充分ですが、実際に酸に金属を入れたときの反応は次のようになります。

イオン化傾向の大きいカリウム~鉄は、うすい塩酸や硫酸と反応して水素を発生します。

ニッケル~鉛は、うすい酸とはほとんど反応しません。

銅~銀は、硝酸や熱した濃い硫酸とだけは反応して溶けます。

白金と金は、濃い硝酸と濃い塩酸を1:3の割合で混合した王水とよばれる混合液とだけ反応して溶けます。

K>Ca>Na>Mg>Al>Zn>Fe・・・うすい塩酸や硫酸と反応し水素を発生
Ni>Sn>Pb
・・・うすい塩酸や硫酸とは反応しにくい
Cu>Hg>Ag
・・・硝酸と熱した濃い硫酸とだけに反応
Pt>Au
・・・王水とのみ反応



金属と水との反応

イオン化傾向の大きいカリウム~ナトリウムは、水と激しく反応して水素を発生します。


イオン化傾向と電池

うすい塩酸や硫酸に、導線で結ばれた2種類の金属板を入れたものが化学電池です。

うすい塩酸に導線でつないだ亜鉛と銅を入れたときを考えてみましょう。

イオン化傾向が大きい亜鉛は電子を手ばなして亜鉛の陽イオンにかわり、塩酸に溶け出します。
電子は導線を通ってイオン化傾向が小さい銅のほうへ移動します。
塩酸にふくまれている陽イオンの水素イオンは銅から電子を受け取って気体の水素になって銅の表面に付着します。
亜鉛と銅の化学電池


















亜鉛から導線を通って銅に移動する電子の流れが電流です。
「電子が-極(陰極)である亜鉛から+極(陽極)である銅に移動する」ことを、「電流は+極(陽極)の銅から-極(陰極)の亜鉛へ流れる」といっているのです。


最初に電池をつくったのはボルタです(電圧の単位ボルトはボルタに由来)。
ボルタのつくった電池は、うすい硫酸に亜鉛板と銅板を入れたものでした。



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塩酸や硫酸など、電解質の水溶液に2種類金属を入れると、電圧が生じ電流が流れます。この原理を利用して電気エネルギーを取り出す装置が化学電池です。

2種類の金属が必要です。同じ種類の金属を電解質に入れても電流は流れません。


化学電池で電流が流れる原理

(1)金属は、種類によって陽イオンなりやすいものとなりにくいものがあります。
マグネシウムは陽イオンになりやすく、次に、アルミニウム、亜鉛という順に陽イオンになりやすい順に並びます。

(2)2種類の金属を電解質に入れたとき、陽イオンになりやすいほうの金属が-極陽イオンになりにくい金属のほうが+極になります。

例えば、電解質であるうすい塩酸に亜鉛を入れたとき、陽イオンになりやすい亜鉛-極に、亜鉛に比べて陽イオンになりにくい+極になります。

(3)例えば、うすい塩酸に亜鉛と銅を入れたとき、亜鉛は2個電子を手離して陽イオンである亜鉛イオンになります。

亜鉛の電離




もともと電気的に中性であった亜鉛がイオンになるということは、亜鉛が-の電気を帯びている電子を手離して、電気的に+の電気を帯びるということです。
また、陽イオンになるということは、原子であった亜鉛であることをやめて、亜鉛のイオンになって水溶液に溶け出してしまうということです。

(4)亜鉛が手離した、-の電気を帯びた電子は、導線を通って陽極の銅の極へと移動します。この、電子の流れが電流となります。

亜鉛と銅の化学電池

(5)電子が移動してきたの極板には、電解質中の陽イオンが引き寄せられます。
水溶液が塩酸のとき、塩酸は+の電気を帯びた水素イオンと、-の電気を帯びた塩化物イオンとに分離していますから、銅の極板に陽イオンである水素イオンが近づいてきます。

そして、水素イオンは銅極にある電子を受け取り、電気的に中性になって、イオンであることをやめ水素の原子になります。そして2個の水素原子が結びつき、水素分子、水素の気体となって発生します。







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酸とアルカリを混ぜたとき、にふくまれている水素イオンアルカリにふくまれている水酸化物イオンが結びついてになります。

水素イオンと水酸化物イオンが過不足なく反応して水になったとき(溶液中に水素イオンも水酸化物イオンも存在しないとき)を中和点といいます。

中和点は、BTB溶液の色の変化をみたらわかります。

酸性の塩酸に、少しずつアルカリ性の水酸化ナトリウムを加えていきます。
最初は塩酸のほうが多いのでBTB溶液は黄色です。
水酸化ナトリウムを加えていくと、あるところで中性になり、BTB溶液は緑色になります。
さらに水酸化ナトリウムを加え続けると、BTB溶液は青色になります。

しかし、BTB溶液では色の変化を観察するだけなので、どこが中和点なのかを正確に見つけることは困難です(どこまでが黄色でどこで緑色に変わったのか判別が難しい)。

そこで、正確に中和点を見つける方法として、溶液中を流れる電流を測定する方法が使われます。


硫酸と水酸化バリウムで中和点を見つける

ビーカーに硫酸をいれたものを用意します。
ステンレス板を電極として直流電流を流し、水酸化バリウム水溶液を加えていきながら、溶液中を流れる電流を測定します。

最初は、硫酸だけがビーカーに入っています。
1
ビーカーの中では硫酸が電離して、+の水素イオンと-の硫酸イオンが存在しています。
硫酸

このとき、モデルの図のビーカーの中に存在しているイオンの個数は6個です。












水酸化バリウムを加えます。
2
水酸化バリウムは、+のバリウムイオンと-の水酸化物イオンに電離しています。
水酸化バリウム












加えた水酸化バリウムにふくまれる水酸化物イオンは、硫酸にふくまれていた水素イオンと結びついて水になります。
水

3
加えた水酸化バリウムにふくまれるバリウムイオンは、硫酸にふくまれていた硫酸イオンと結びついて硫酸バリウムになります。
硫酸バリウム


硫酸バリウムは非電解質なので、水には溶けないで、ビーカーの底に沈殿します。

このとき、モデルの図のビーカーの中に存在しているイオンの個数は、イオンが水と硫酸バリウムになったために、3個に減少しています。



さらに、水酸化バリウムを加えます。
4水素イオンと水酸化物イオンは完全に反応して水になりました。
硫酸イオンとバリウムイオンも完全に反応して硫酸バリウムになって沈殿しました。

この段階が中和点です。

溶液中に存在するイオンの数は0個です。









さらに、水酸化バリウムを加えます。
5
加えた水酸化バリウム中の、バリウムイオンは反応する陰イオンが溶液中に存在しないのでバリウムイオンのままです。
水酸化物イオンも、結びつく陽イオンが存在しないので水酸化物イオンのままです。

モデルの図では、この段階で存在するイオンの数は3個です。

以上のモデルでは、溶液中に存在するイオンの個数は、6個→3個→0個→3個→と変化しました。

このとき、溶液中を流れる電流の大きさはどのように変化するでしょうか。



電流の変化

溶液中に存在するイオンの数が多いほど、溶液中を大きい電流が流れます。
モデルの図で、溶液中のイオンの個数は、6個→3個→0個→3個→と変化しました。

横軸に加えた水酸化バリウムの量、縦軸に溶液中を流れる電流の大きさをとってグラフをかくと、次の図のようになります。
6
このように、溶液中にイオンの数が多いほど溶液中を流れる電流が大きいことを利用して、中和点を正確に求めることができます。









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中1の『物質』水溶液の性質で学んだ酸性・アルカリ性・中性ですが、中2の『化学変化』では、酸・アルカリ・中和をイオンの見地から学習します。

この稿では、中2の学習事項である酸・アルカリ・中和とイオンについてまとめます。




水に溶けると、電離して水素イオンを生じる物質を酸といいます。

酸性の水溶液が示すいろいろな性質は、水溶液中の水素イオンが原因で生じます(青色リトマス紙を赤色にし、BTB溶液を黄色にするのは水素イオンです)。

酸の電離を表わす式

酸は、水溶液中で以下のように電離しています。

酸










酸は、水に溶けると、プラスの電気を帯びた陽イオンである水素イオンと、マイナスの電気を帯びた陰イオンに分かれます。


アルカリ

水に溶けると、電離して水酸化物イオンを生じる物質をアルカリといいます。

アルカリ性の水溶液が示すいろいろな性質は、水溶液中の水酸化物イオンが原因で生じます(赤色リトマス紙を青色にし、BTB溶液を青色にし、フェノールフタレイン溶液を赤色にするのは水酸化物イオンです)。

アルカリの電離を表わす式

アルカリは、水溶液中で以下のように電離しています。

アルカリ








アルカリは、水に溶けると、プラスの電気を帯びた陽イオンと、マイナスの電気を帯びた陰イオン水酸化物イオンに分かれます。


強酸と弱酸、強アルカリと弱アルカリ

塩酸硫酸硝酸は、水溶液中でほとんどが水素イオンと陰イオンに電離しており、強い酸性の水溶液となっています。これらの酸を強酸といいます。
酢酸炭酸は、水溶液中でわずかな分子しか電離しません。弱い酸なので弱酸といいます。

水酸化ナトリウム水酸化バリウムは、ほとんどが電離して陽イオンと水酸化物イオンに分かれている強アルカリです。
アンモニア水は、水溶液中であまり電離していない弱アルカリです。


中和とイオン

酸性の水溶液とアルカリ性の水溶液を混ぜたとき、酸性の水溶液にふくまれていた水素イオンとアルカリの水溶液にふくまれていた水酸化物イオンが結びついてができます。

このことを中和といいます。

中和がおこなわれるとき、酸の陰イオン(水素イオンでないほう)とアルカリの陽イオン(水酸化物イオンでないほう)とで、塩(えん)ができます。

塩酸水酸化ナトリウムを混ぜたときを考えてみましょう。
中和










塩酸に少しずつ水酸化ナトリウムを加えていきます。
中和2
プラスの電気を帯びた水素イオンと、マイナスの電気を帯びた水酸化物イオンは、結びついて水になります。

塩酸にふくまれていた塩化物イオンと、加えた水酸化ナトリウムにふくまれていたナトリウムイオンとでできる塩化ナトリウムは電解質なので、イオンのまま水に溶けています。




中和3以上のことを、変化したイオンだけに着目すると次の式になります。
中和の式

これが中和を表わす式です。







中和点

酸の水溶液とアルカリの水溶液を混ぜたとき、酸にふくまれていた水素イオンとアルカリにふくまれていた水酸化物イオンが過不足なく反応したときを中和点といいます。

中和点は、水溶液中を流れる電流を測定することで見つけることができます。
中和点で電流は最小になります。





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化学変化の発展分野である、原子の構造、イオン、電解質と非電解質、イオンと電気分解、イオンと酸・アルカリ、中和についてまとめました。

原子の構造

すべての原子は、質量の大きい原子核とそのまわりを回っている電子から構成されています。原子核は、+の電気を帯びた陽子と電気を帯びていない中性子からできています。

原子の構造(炭素)左の図は炭素の原子ですが、炭素は6個の陽子と中性子でできた原子核と、そのまわりを回っている6個の電子から構成されています。

陽子と中性子の個数と質量は等しく、陽子と電子の個数も等しいことがわかっています。



原子核に含まれる陽子(+の電気を帯びている)の個数と、そのまわりを回っている電子(-の電気を帯びている)の個数は等しいので、原子全体はプラスでもマイナスでもない、電気を帯びていない状態にあります。

イオン

原子核のまわりを回っている電子の軌道はいくつかのをに分かれます。一番近い層には2個の電子、その外側の層には8個の電子、さらにその外側には8個の電子と、層に含まれる電子の数も決まっています。

ナトリウム左の図はナトリウムの原子です。
陽子の個数は11個、原子核全体で帯びているプラスの電気は11です。
電子の個数も11個で、帯びているマイナスの電気も11です。
この状態では、原子全体はプラスでもマイナスでもありません。

ところが、原子は、一番外側の層の電子の数が8個のときに安定するという性質があります。

ナトリウムの場合、内側から2番目の層の電子の個数が8個、その外側の層の電子の個数は1個ですから、外側の電子1個を手放すと、一番外側の層の電子の個数が8個となって安定します。

一番外側の層の電子を手放してしまうと、原子核のプラスの数は11、電子のマイナスの数は10となり、全体では1のプラスになってしまいます。
この、電気を帯びてしまった状態の原子をイオン、+の電気を帯びたので陽イオン+イオンといいます。


塩素左の図は塩素原子です。
陽子の数、原子核の帯びているプラスの電気は17です。
電子の個数も17個、帯びているマイナスは17です。
原子全体はプラスでマイナスでもありません。

塩素原子の一番外側の層の電子の個数は7個です。
あと1個、電子を他からもらうと、電子の個数が8個になって安定します。

他の原子が手放した電子を1個受け取ると、外側の電子の数が8個になって安定しますが、原子核のプラスの電気の量は17個、電子のマイナスの量は18個になり、全体では1のマイナスを帯びてしまいます。
全体で電気を帯びてしまったのでイオン、負の電気を帯びたので陰イオン-イオンといいます。

陽イオン(+イオン)・・・電子を手放してプラスの電気を帯びたイオン。
水素金属のイオンが多い。

陽イオン右肩の数字で帯びたプラスの電気の数を表わします。

水素イオンは1個の電子を手放し+1の電気を帯び、銅イオンは2個の電子を手放し+2の電気を帯びています。





陰イオン(-イオン)・・・電子を受け取ってマイナスの電気を帯びたイオン。
塩化物イオン(塩素の原子がイオンになったもの)や、原子が2個以上結びついて陰イオンになったものが多い。

陰イオン右肩の数字で帯びた電気の数を表わします。

塩化物イオンは1個電子を受け取り-1の電気を帯び、硫酸イオンは2個電子を受け取り-2の電気を帯びています。




電解質と非電解質

物質が水に溶けるとき、分子のままで水に溶けてしまうものと、陽イオンと陰イオンに分かれて溶けてしまうものの2種類に分かれます。

電離・・・物質が水に溶けるとき、陽イオン陰イオンに分離すること。

電解質・・・水に溶けて陽イオンと陰イオンに分かれる物質のこと。電離する物質といってもよい。ばらばらになったイオンが電極に引かれるので、水溶液を電流が流れます
塩化ナトリウム(食塩)、塩化水素(水溶液が塩酸)などの酸、水酸化ナトリウムなどのアルカリ、塩化銅などは電解質です。

非電解質・・・水に溶けるとき電離しないで分子のままで溶ける物質のこと。水に溶けた分子が電気を帯びていないので電極に引かれることはなく、水溶液を電流は流れません
砂糖エタノールが非電解質の代表的な例です。

電離の式

電離式塩化ナトリウムがナトリウムイオンと塩化物イオンに電離
塩化水素が水素イオンと塩化物イオンに電離
水酸化ナトリウムがナトリウムイオンと水酸化物イオンに電離
塩化銅が銅イオンと塩化物イオンに電離


電気分解とイオン

水溶液中の電極のうち、電源の+極につながったほうを陽極、電源の-極につながったほうを陰極といいます。

陽極には-の電気を帯びた陰イオンが引き寄せられ、陽極に電子渡します。電子を渡した陰イオンはイオンでなくなり原子に戻り、陽極に付着します(気体の場合は分子になって陽極に付着します)。

陰極には+の電気を帯びた陽イオンが引き寄せられ、陰極から電子受け取ります。電子をもらった陽イオンはイオンであることをやめて原子に戻り、陰極に付着します(気体の水素だと分子になって付着します)。

塩化銅水溶液の電気分解

塩化銅の電気分解



陽イオンである銅イオン陰極に引かれます。
陰イオンである塩化物イオン陽極に引かれます。

陰極では、銅イオンが2個の電子を受け取って銅原子になり、陰極に付着します。

陽極では、塩化物イオンが陽極に電子を1個渡し、塩素原子になります。そして2個の塩素原子が結びつき、塩素分子になって出てきます。

銅イオンの色は青色です。電気分解が進むと、銅イオンが減って銅原子になるので、水溶液の青色はだんだん薄くなっていきます
陰極に付着した銅原子の色は赤かっ色です。
塩素水に溶けやすい気体なので、発生した塩素分子は水に溶けてしまいます。

塩酸(塩化水素の水溶液)の電気分解

塩酸の電気分解


陽イオンである水素イオン陰極に引かれます。
陰イオンである塩化物イオン陽極に引かれます。

陰極では、水素イオン電子を受け取って水素原子になり、2個の水素原子が結びついて水素分子になります。

陽極では、塩化物イオンが陽極に電子を1個渡し、塩素原子になります。そして2個の塩素原子が結びつき、塩素分子になって出てきます。

水素水に溶けにくい気体なので水素分子は泡となって陰極に付着しますが、塩素はほとんどが水に溶けてしまいます。


水の電気分解

純粋な水は電流が流れにくいので、水を電気分解するときは電気が流れやすくなるように水酸化ナトリウム硫酸を加えます。このとき、水が電気分解されて、水酸化ナトリウムや硫酸が電気分解されることはありません。

水溶液中にアルミニウム以上にイオンになりやすい金属の陽イオンがあるときは、水の分子が陰極から電子を受け取り、水素と水酸化物イオンが発生します(水酸化ナトリウムの場合)。

水溶液中に、銅も溶かす酸の陰イオンだけがあるとき、水の分子が陽極に電子を渡し、酸素と水素イオンが発生します(硫酸の場合)。


酸とアルカリ

・・・電解質で、電離して水素イオンが発生する物質。
炭酸以外は水素の化合物です(炭酸は二酸化炭素と水が反応して水素イオンを生じる)。

おもな酸の電離の式

酸の電離の式塩化水素が水素イオンと塩化物イオンに電離
硫酸が水素イオンと硫酸イオンに電離


アルカリ・・・電解質で、電離して水酸化物イオンが発生する物質。
水酸化アンモニウム(アンモニア水)以外はOH(水酸基と呼ばれる)を含む化合物です(水酸化アンモニウムはアンモニアと水が反応して水酸化物イオンを生じる)。

おもなアルカリの電離の式

アルカリの電離の式水酸化ナトリウムがナトリウムイオンと水酸化物イオンに電離
水酸化バリウムがバリウムイオンと水酸化物イオンに電離


中和

酸とアルカリを混ぜるとき、必ず、酸に含まれる水素イオンとアルカリに含まれる水酸化物イオンが結びついて水ができます。

中和・・・水素イオンアルカリ水酸化物イオンが結びついてができる反応

塩酸水酸化ナトリウムを反応させたとき

中和1



酸の水素イオンとアルカリの水酸化物イオンが結びつく

水ができる

このとき、塩化ナトリウムは電解質なので、ナトリウムイオンと塩化物イオンは水に溶けたままの状態で残ります。

硫酸水酸化バリウムを反応させたとき

中和2
酸の水素イオンとアルカリの水酸化物イオンが結びつく

硫酸の硫酸イオンと水酸化バリウムのバリウムイオンも結びつく

水と硫酸バリウムができる

この反応では、塩(えん:中和で、水以外にできるものを塩という)である硫酸バリウムは非電解質なのでイオンでは存在せず、硫酸バリウムの固体となって水溶液の底に白い沈殿となって現れます。

いずれにしても、酸とアルカリを混ぜ合わせると必ず水素イオンと水酸化物イオンが結びついて水ができるので、中和の式をいえと問われたら下のように答えます。

中和を表わす式

中和の式





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