「運動とエネルギー」の発展問題のうち、力の合成・力の分解と、斜面上にある物体にはたらく力についてまとめておきます。
力の合成と分解
斜面上にある物体にはたらく力を理解するには、力の合成と力の分解について知っておかなければなりません。
ある力( f )とつりあう力(F)は、同一直線上で、向きが逆で、同じ大きさの力です(力のつりあいの3条件)。
1人で力 f に対抗しようと思えばFの力を出す必要があります。では2人で共同して対抗するときはそれぞれどんな力を出せばよいでしょうか。
それを解決する原理が「力の平行四辺形」です。
ある1点にF1とF2の2つの力がはたらくとき、2人の共同で生み出される力FはF1とF2を2辺とする平行四辺形の対角線で表わすことができるという法則です。
そして、このときのF1、F2を分力、共同で生み出された力Fを合力といいます。
力の合成
2力、F1とF2が与えられているとき、この2つの力の共同で生み出される合力Fを求めるのが「力の合成」です。
1、力F1の端の点Qを通り、力F2に平行な直線と、力F2の端の点Pを通り力F1に平行な直線を引き、引いた2つの直線の交点をRとします(F1とF2を2辺とする平行四辺形を書いたことになります)。
2、OとRを結んでできた線分ORが、合力のFです(平行四辺形の対角線が合力です)。
力の分解
力Fが与えられているとき、力Fと同じはたらきをする2つの分力F1とF2を求めるのが「力の分解」です。
このとき、2つの分力の方向が先に明示してあります。
1、合力Fの端の点Rを通り、2方向を示す直線に平行な2本の直線を書き、もとの与えられた直線との交点を求めます。
2、求められた交点をP、Qとすると、OP、ORが力Fの分力となります。
力の分解がわかって、初めて斜面の問題を考えることができます。
斜面におかれた物体にはたらく力
どんな物体にもはたらいている力は重力です。
ところが、斜面におかれた物体はまっすぐ下に落ちることはありません。摩擦力のない斜面では、斜面にそってすべり落ちるはずです。なぜでしょうか。
物体にはたらいている重力(赤色)は、斜面上では、斜面を垂直に押す力(ピンク色)と、斜面をすべり落ちようとする力(青色)に分解される、が答えです。
見方を変えると、重力と、斜面から物体がうける抗力(緑色)の合力が、斜面をすべり落ちようとする力だということになります。
斜面を垂直に押す力は、物体が斜面からうける抗力とつりあっているので、物体にはたらいている力は斜面をすべり落ちようとする力だけになり、だから物体は斜面にそってすべり落ちるわけです。
斜面をすべり落ちないように支える力
斜面をすべり落ちようとする力とつりあう力を考えればよいので、図の青色の点線の力、つまり、斜面をすべり落ちようとする力と同一直線上にあって、向きが逆で、大きさの等しい力で物体を支えてやると、物体は静止し続けます。
斜面で、支えていないのに物体が静止しているとき
斜面と物体との接触面に摩擦力がはたらき、その摩擦力が斜面をすべり落ちようとする力とつりあっていたら、物体は静止したままです。
相似
斜面をつくっている三角形と、重力と斜面を垂直に押す力を2辺とする三角形とは、相似(形が同じで、辺の比が等しい)になります。
また、斜面をつくっている三角形と、重力と斜面をすべり落ちようとする力を2辺とする三角形も、やはり相似です。
だから、斜面をつくっている三角形の辺の比が、図のように3:4:5であれば、斜面をすべり落ちようとする力:斜面を垂直に押す力:重力の比も3:4:5です。
したがって、例えば物体の質量が100gだとすると、
重力:すべり落ちようとする力=5:3、
重力は100g=1Nより、
すべり落ちようとする力をxとすると、
1:x=5:3
5x=3
x=0.6
となり、すべり落ちないように支えるには、0.6N(ばねはかりの目盛りで60g)の力が必要だということになります。
入試では、三平方の定理を使う問題も出題されます。
数学で習いますが、角度が90度・60度・30度の直角三角形の辺の比は1:2:√3です。
このとき、斜面をすべり落ちようとする力:重力:斜面を垂直に押す力の比も、1:2:√3です。
また、90度・45度・45度の直角三角形の辺の比は1:1:√2です。
この場合、斜面をすべり落ちようとする力:斜面を垂直に押す力:重力も1:1:√2です。
斜面の角度
以上の図を見てもわかるように、斜面が急斜面であるほど、すべり落ちようとする力は大きくなり、斜面を垂直に押す力は小さくなります。
斜面と運動
運動は、速さが一定である運動(等速直線運動が代表的)と、速さが変わる運動(時間に比例して速さが大きくなる落下運動が代表的)に分かれます。
斜面をすべり落ちている物体の運動は、落下運動と似た、時間に比例して速さが大きくなる運動です。
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力の合成と分解
斜面上にある物体にはたらく力を理解するには、力の合成と力の分解について知っておかなければなりません。
ある力( f )とつりあう力(F)は、同一直線上で、向きが逆で、同じ大きさの力です(力のつりあいの3条件)。
1人で力 f に対抗しようと思えばFの力を出す必要があります。では2人で共同して対抗するときはそれぞれどんな力を出せばよいでしょうか。
それを解決する原理が「力の平行四辺形」です。
ある1点にF1とF2の2つの力がはたらくとき、2人の共同で生み出される力FはF1とF2を2辺とする平行四辺形の対角線で表わすことができるという法則です。
そして、このときのF1、F2を分力、共同で生み出された力Fを合力といいます。
力の合成
2力、F1とF2が与えられているとき、この2つの力の共同で生み出される合力Fを求めるのが「力の合成」です。
1、力F1の端の点Qを通り、力F2に平行な直線と、力F2の端の点Pを通り力F1に平行な直線を引き、引いた2つの直線の交点をRとします(F1とF2を2辺とする平行四辺形を書いたことになります)。
2、OとRを結んでできた線分ORが、合力のFです(平行四辺形の対角線が合力です)。
力の分解
力Fが与えられているとき、力Fと同じはたらきをする2つの分力F1とF2を求めるのが「力の分解」です。
このとき、2つの分力の方向が先に明示してあります。
1、合力Fの端の点Rを通り、2方向を示す直線に平行な2本の直線を書き、もとの与えられた直線との交点を求めます。
2、求められた交点をP、Qとすると、OP、ORが力Fの分力となります。
力の分解がわかって、初めて斜面の問題を考えることができます。
斜面におかれた物体にはたらく力
どんな物体にもはたらいている力は重力です。
ところが、斜面におかれた物体はまっすぐ下に落ちることはありません。摩擦力のない斜面では、斜面にそってすべり落ちるはずです。なぜでしょうか。
物体にはたらいている重力(赤色)は、斜面上では、斜面を垂直に押す力(ピンク色)と、斜面をすべり落ちようとする力(青色)に分解される、が答えです。
見方を変えると、重力と、斜面から物体がうける抗力(緑色)の合力が、斜面をすべり落ちようとする力だということになります。
斜面を垂直に押す力は、物体が斜面からうける抗力とつりあっているので、物体にはたらいている力は斜面をすべり落ちようとする力だけになり、だから物体は斜面にそってすべり落ちるわけです。
斜面をすべり落ちないように支える力
斜面をすべり落ちようとする力とつりあう力を考えればよいので、図の青色の点線の力、つまり、斜面をすべり落ちようとする力と同一直線上にあって、向きが逆で、大きさの等しい力で物体を支えてやると、物体は静止し続けます。
斜面で、支えていないのに物体が静止しているとき
斜面と物体との接触面に摩擦力がはたらき、その摩擦力が斜面をすべり落ちようとする力とつりあっていたら、物体は静止したままです。
相似
斜面をつくっている三角形と、重力と斜面を垂直に押す力を2辺とする三角形とは、相似(形が同じで、辺の比が等しい)になります。
また、斜面をつくっている三角形と、重力と斜面をすべり落ちようとする力を2辺とする三角形も、やはり相似です。
だから、斜面をつくっている三角形の辺の比が、図のように3:4:5であれば、斜面をすべり落ちようとする力:斜面を垂直に押す力:重力の比も3:4:5です。
したがって、例えば物体の質量が100gだとすると、
重力:すべり落ちようとする力=5:3、
重力は100g=1Nより、
すべり落ちようとする力をxとすると、
1:x=5:3
5x=3
x=0.6
となり、すべり落ちないように支えるには、0.6N(ばねはかりの目盛りで60g)の力が必要だということになります。
入試では、三平方の定理を使う問題も出題されます。
数学で習いますが、角度が90度・60度・30度の直角三角形の辺の比は1:2:√3です。
このとき、斜面をすべり落ちようとする力:重力:斜面を垂直に押す力の比も、1:2:√3です。
また、90度・45度・45度の直角三角形の辺の比は1:1:√2です。
この場合、斜面をすべり落ちようとする力:斜面を垂直に押す力:重力も1:1:√2です。
斜面の角度
以上の図を見てもわかるように、斜面が急斜面であるほど、すべり落ちようとする力は大きくなり、斜面を垂直に押す力は小さくなります。
斜面と運動
運動は、速さが一定である運動(等速直線運動が代表的)と、速さが変わる運動(時間に比例して速さが大きくなる落下運動が代表的)に分かれます。
斜面をすべり落ちている物体の運動は、落下運動と似た、時間に比例して速さが大きくなる運動です。
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