栄光学園中の入試問題の特徴と、四谷大塚で栄光学園中を目指す受験生のための学習法や注意点について、算数・国語・理科・社会の教科別に説明します。
【算数】栄光学園中・算数の入試問題の特徴

 栄光学園の算数は問題数が比較的少なく、その場でじっくり考えさせる問題が並んでいます。前半に計算問題や問題集でよく見かける問題も出題されていたこともありましたが、近年は「その場で考えさせる」という傾向がより顕著な問題になっています。ここまで徹底して考えさせる問題が出題されると、標準的な問題の解法を身につけててきぱきと処理するという中学受験算数において「一般的」な学習だけでは栄光学園の算数は攻略できないと考えるべきでしょう。

 栄光学園の算数で求められている力は与えられた問題に対して論理的に考え抜く力です。ほぼ毎年見られる「すべて答えなさい」という問題では、闇雲に全部書き出せる問題はなく、何かつ1基準を決めてそれを元に順に1つ1つ調べ尽くすような問題ばかりです。また問題の多くでは途中過程を書くことも要求されますが、これは答えが出なかったとしてもどこまできちんと考えられたかを見ていることの表れでしょう。

 しかし、基本的、標準的な学習をせずに難しい問題を考えるだけではいけません。基礎学力は、じっくりと考えるための土台作りだからです。また併願校の受験を考えても基礎学力をつけておくことは大切です。少し難しい問題に取り組むときは、解法を覚えて当てはめるのではなく、「なぜその方法なのか」「他にもっといい方法はないか」などといろいろ考えてみることが栄光学園の問題への対応力を育みます。

■このような点に注意して学習しましょう

 過去問を見ると、どんな学習をすれば得点力がつくのか不安になることもありますが、その過去問こそが栄光学園のポリシーの表れであり、それを1問1問じっくりと考えることが最良の対策です。解けない問題があっても焦らず、理解していく過程を楽しむことが大切です。標準的な解法をマスターしながら、考えることを楽しむ余裕ももって学習をしていきましょう。東京出版の「中学への算数」の問題や別冊「わくわく算数100題」「日々のチャレンジ演習」などの問題の一部はじっくりと考えるうえでいい練習となります。

■塾別の対策

 四谷大塚の通常の学習で使用される「予習シリーズ」は標準的な解法の習得を主にしたものです。したがってその内容をきちんと学習することはどの学校を受験するうえでも必要なものですが、それだけでは栄光学園の対策には不足しています。

 四谷大塚の「実力完成問題集」や「入試実戦問題集」や市販の「中学への算数」およびその別冊にある中学入試に出された問題でパズル的要素の強いもの(このような問題の場合、予備知識はそれほど必要としないことが多いです)に取り組んでみるとよいでしょう。

 四谷大塚において栄光学園向けの対策が行われるのは6年生後期からの特訓コースになります。栄光学園の傾向を踏まえた問題を学習しますが、その解法を理解して使えるようにするだけでなく、自分で考えてなぜその解法に至ったのかということを納得することが大切です。

【国語】栄光学園中・国語の入試問題の特徴

 栄光学園の国語は、50分で70点満点。説明文または論説文、物語文と漢字の書き取りで構成されます。読解問題2問は、合計約10題程度の構成で、大部分が原則的に本格的記述問題です。字数指定がなくても、記述問題で要求される字数は1題につき50字程度です。

 出題内容は、論理的文章であれば、内容理解、要約、理由説明、物語文では心情理解です。漢字は簡単で、読解問題の中での知識問題はほとんど出題されません。

■このような点に注意して学習しましょう

 栄光学園の入試傾向に受験生が戸惑うのは、論理的文章の記述問題です。論理的文章の内容理解を記述させる中学校は少ないからです。この対策が十分かどうかに、栄光学園の国語攻略はかかっています。類題校は、物語文対策が武蔵、麻布、駒場東邦、論理的文章対策が桜蔭です。

■塾別の対策

 四谷大塚の予習シリーズは、栄光学園の記述対策の基礎編と考えましょう。早目に過去問を演習する、類題校の過去問を演習するなどして、実践演習をするのがよいでしょう。

 予習シリーズの使い方を工夫することでも実践演習になります。予習シリーズの物語文の心情理解に関する記号選択問題、自然科学系の文章の内容理解に関する記号選択問題を記述問題にして訓練します。正解がわかっていてもそれを実際に内容的に一致させて記述問題として答えるのは難しいです。

 1週間に1問50字程度で5問、自分で記述訓練して予習シリーズを栄光学園向けに再利用してほしいです。また、栄光学園は言語知識分野においては、漢字以外ほとんど出題されないので、予習シリーズのボリュームたっぷりの知識分野には力を入れすぎないようにしましょう。

【理科】栄光学園中・理科の入試問題の特徴

 非常に対策が立てにくい問題です。大問は2~3題、1つのテーマにそって、物理、化学、生物、地学の4つの視点から問いが組み立てられています。年毎に出題単元の割合は変化し、それぞれに科学的、論理的な思考と理解力を問われる、高度な問題です。

■このような点に注意して学習しましょう

 1つのテーマにそって、深く掘り下げていく問題の場合、何が出るかという予測もできません。全単元を深く学習しておくことしか対策はありません。強いて言えば、物理単元が重要です。なぜその現象が起きるのか、なぜその結果になったのかなどを、筋道立てて説明する練習をしておく必要があります。

■塾別の対策

 クラスとしては、Cコースの上位またはSクラスであることが必要です。また、栄光学園に実績がある校舎であれば、なお有利です。どの大手塾でもあることですが、担当講師の指導法とその学校の相性があるものです。やはり上位校の講師は、難関校に適した解法を知っているものです。

 小6の2学期から志望校対策を行っていくことになります。その際、応用力完成問題集は必ず解き込むようにしてください。また、志望校別特訓にも出来る限り参加するようにしてください。


【社会】栄光学園中・社会の入試問題の特徴

 栄光学園の社会は40分で50点満点。例年、1つのテーマを様々な角度から掘り下げる形をとっています。図表を読み取ったり、作図する問題、比較的長めの記述問題などもあり、バラエティに富んだ、バランスのいい出題です。

 記述問題は、麻布のように本格的な記述力が必要なのは2問程度で、残りは知識を30字以内または程度の短文で記述するような問題です。記号選択問題や語句記入問題の難易度が標準なので、栄光学園の社会の合否の分岐点はやはり記述問題の出来不出来になりそうです。

■このような点に注意して学習しましょう

 政治、時事社会分野は出題が少ないので、特殊な対策は必要ありません。出題形式が総合問題になっているので、単元をまたいだ総合的な学力をつける必要があります。知識をいろいろな角度から引っ張り出せるだけの柔軟な記憶力も養成です。

 短文で解答できる記述問題は部分点がないと考えて対策を講じましょう。類題校として、麻布、武蔵、駒場東邦などがあります。

■塾別の対策

 栄光学園の社会の特徴に合わせて記述問題を重点的に学習しましょう。記述問題の正答率を上げるためには、予習シリーズを暗記ではなく理解と記憶に力点を置いて読むことが必要です。特に、因果関係や事実関係を考えながら解くことが大切です。

 栄光学園は1つの大きなテーマを巡って総合問題のかたちで出題するので、このような出題傾向に沿った問題もやる必要があります。予習シリーズの知識を活性化するためにも、四谷大塚生は入試問題集などから同じようなタイプの問題を10題程度演習をしましょう。