れている川を船が上るとき、船は川の流れの分だけ遅くなり、流れている川を下るとき、船は川の流れの分だけ速くなります。

川を上るとき、速さ=船の速さ流れの速さ
川を下るとき、速さ=船の速さ流れの速さ

(船だけの速さを「静水での速さ」ということがあります。)


流水算の基本問題:
(1)時速4kmで流れている川のA地からB地までは48kmです。静水で時速16kmで進む船がA地からB地まで往復するのに何時間何分かかりますか。

(2)ある川を船が50km上るのに4時間かかり、同じところを下るのに2時間30分かかりました。この川の流れの速さは毎時何kmですか。また、この船の静水での速さは毎時何kmですか。


(考え方・解き方)

(1)時速4kmで流れている川のA地からB地までは48kmです。静水で時速16kmで進む船がA地からB地まで往復するのに何時間何分かかりますか。

川を上るときの速さは(16-4)kmであり、川を下るときの速さは(16+4)kmだから、
48÷(16-4)=4時間
48÷(16+4)=2.4時間
0.4時間=60×0.4=24分だから、4+2.4=6時間24分

(2)ある川を船が50km上るのに4時間かかり、同じところを下るのに2時間30分かかりました。この川の流れの速さは毎時何kmですか。また、この船の静水での速さは毎時何kmですか。

上るときの速さは、50÷4=12.5km(船の速さ-川の速さ)
下るときの速さは、2時間30分=2.5時間だから、50÷2.5=20km(船の速さ+川の速さ)

1図から、上るときの速さと下るときの速さの差が、川の流れの速さの2倍であることがわかります。

(20-12.5)÷2=3.75km(川の流れの速さ)

船の静水での速さは、20-3.75=16.25km
または、12.5+3.75=16.25km

の流れの速さ=(上りの速さ-下りの速さ)÷2です。
また、
船だけの速さ=(上りの速さ+下りの速さ)÷2です。


では、実際の入試問題を解いてみましょう。

例題1:川にそって72kmはなれている2つの町をA船とB船が往復しています。A船は上りに9時間、下りに5時間かかります。B船は、上りにかかる時間と下りにかかる時間の比が3:2です。B船の静水での速さは毎時何kmですか。

(解き方)
A船の上りの速さは、72÷9=8km
A船の下りの速さは、72÷5=14.4km
川の流れの速さが、(14.4-8)÷2=3.2kmであることがわかります。

B船の上りと下りの時間の比がが3:2のとき、速さの比は、かかる時間とは逆の比になりますから2:3です。

そして、2と3の違いの1は川の流れの速さの2倍だから、川の流れの速さは比になおすと1÷2=0.5だということです。

つまり、川の流れの速さの3.2kmが、比の0.5にあたります。

比の1にあたる速さは3.2×2=6.4km

上りの速さは、比の3にあたる量だから6.4×3=19.2km。
B船の静水での速さは、それから川の流れの速さをひいた19.2-3.2=16kmです。


例題2:船が、ある川を上るときの速さは下るときの速さの3/5で、90km上るのにかかった時間は、下るのにかかった時間よりも4時間だけ多いといいます。この川の流れの速さは毎時何kmですか。

(解き方)

速さが3/5ということは、上るときの速さ:下るときの速さ=3:5だということです。

速さの比が3:5のとき、かかった時間の比は、速さの逆の比の5:3になります。
5と3のちがいは2です。4時間が、この比の2にあたります。

よって、比の1は4÷2=2時間。

上りにかかった時間は比の5だから2時間×5=10時間。
下りにかかった時間は比の3だから2時間×3=6時間。

上りの速さは90÷10=9km。
下りの速さは90÷6=15km。

以上より、この川の流れの速さは、(15-9)÷2=3kmです。


最後は、入試によく出る、グラフを使った問題です。

例題3:流れの速さが時速3kmの川にそってP地とQ地があります。静水での速さが時速15kmのA船と時速9kmのB船が同時にP地を出発してQ地に向かいました。A船はQ地について1時間後にP地に向か2い、B船がQ地に着くと同時にP地に着きました。グラフはそのようすを表わしています。P地とQ地は何kmはなれていますか。

(解き方)

A船の、上りの速さは15-3=12km、下りの速さは15+3=18km。

B船の上りの速さは、9-3=6km。

こんなときに使える技の一つに、「仮に距離を公倍数に決めてしまう」があります。
速さ12km、18km、6kmの最小公倍数は36なので、仮に距離を36kmと決めてしまいます。

このとき船Aが川を往復する時間は、36÷12=3時間、36÷18=2時間で、合計5時間です。
船BがP地からQ地までについやす時間は36÷6=6時間。

船AがQ地にいた時間は1時間なので、船AがPQを往復するのにかかった全時間は3+1+2=6時間となり、船BがPからQへ行くのにかかった時間6時間と一致しました。

予期した以上にうまくいって、P地とQ地との間の距離は36kmだと求められました。

(この問題の場合、仮に決めた36kmで、船Aが往復にかかった時間と船Bが上るのにかかった時間の差が1時間となり、いきなり正解が出てしまいましたが、そうならなかったとき、例えば、船Aがかかった時間と船Bの時間の差が0.5時間だったら、差が1時間になるように、仮に決めた36を2倍したら、正解が求められます。)


小学生範囲の問題では、裏技「仮に距離を公倍数に決めてしまう」が意外に使えます。



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