話し手が、人に対して敬意をはらうときの表現が「敬語」です。

敬語の分類

敬語は、尊敬語、謙譲語、丁寧語の3種類に分類されます。

尊敬語・・・人に対して尊敬の気持ちを表わす表現
謙譲語・・・自分を人より下げる、へりくだった表現を使い、結果的に人に対する尊敬の気持ちを表わす表現
丁寧語・・・丁寧な言葉を使うことで人に敬意を表わす表現

例題1:文中の青色の太字で示した語は、(ア)尊敬語、(イ)謙譲語、(ウ)丁寧語のどの種類にあたりますか。それぞれ記号で答えなさい。


(1)私は駅でお待ちすることにします。
(2)田中先生が旅行にご出発になる
(3)一休みして、お茶でもいかがですか。
(4)お目にかかることができて光栄です。
(5)親戚のおばさんから時計をいただく


(簡単な解き方)
敬語の種類をたずねる問題は次のような覚え方をしておくと簡単にできるようになります。

尊敬語・・・他人に使う
謙譲語・・・自分自分の家族に使う
丁寧語・・・「です」「ます」など、他人にも自分にも使う

以上の基準から分類すると、
(1)お待ちする・・・待つのは自分だから謙譲語(イ)
(2)ご出発になる・・・出発するのは他人だから尊敬語(ア)
(3)お茶・・・自分にも他人にも使うから丁寧語(ウ)
(4)お目にかかる・・・会うのは自分だから謙譲語(イ)
(5)いただく・・・もらうのは自分だから謙譲語(イ)

(3)番のお茶の「お」が尊敬語か謙譲語か丁寧語かはむずかしい問題です。「お」には尊敬語の「お」もあれば、丁寧語の「お」もあるからです。

こういう場合、「お茶」の語をどう使うかを考えます。自分が「お茶」を飲むときも、人が「お茶」を召し上がる場合も、どちらにも使います。
ということは、「お茶」の「お」は自分にも人にも使うから、丁寧語です。

それに対して、例えば「お宅」というときの「お」は、人の家には用いますが自分の家のことを「お宅」とは言いませんから、尊敬語です。


お父さん・お母さんと父・母

敬語の誤った使い方で一番よく出題されるのが、「お父さん」、「お母さん」の使い方です。

家の中で、父親や母親に向かって「お父さん」、「お母さん」と言うときは、私とは違う人に向かって言葉を発しているので、父親、母親は「他人」になります。
このときの「お父さん」、「お母さん」は尊敬語であり、敬語の使い方としてはなんら問題はありません。正しい使い方です。

ところが、人に対して自分の父親や母親のことを「お父さん」、「お母さん」と言ってはいけません。
人に向かって発言するとき、自分の家族は自分側の人間、つまり「自分」に入ります。自分に敬語を使ってはいけない。人に父親、母親のことを言うときは、「父」、「母」と呼び捨てにしないといけません。


よく出る敬語は覚えておく

例題2:次の各文の( )内の語を敬語で言うとどうなりますか。指定字数のひらがなで書きなさい。

(1)これからお宅に(行き)ます。(四字)
(2)どうぞ温かいうちに(食べて)ください。(六字)
(3)静かに(見る)になってください。(三字)


(解答と解き方)
(1)「うかがい」
(2)「めしあがって」
(3)「ごらん」

敬語の問題を解くときのもう一つのコツは、よく出題される重要な敬語を覚えておくことです。
それほど数は多くありません。

最初から尊敬または謙譲を表わす動詞があります。
このような動詞を敬語動詞といいます。
正しい敬語をたずねる問題のほとんどは、この敬語動詞をきく問題ばかりです。


おもな敬語動詞

(1)言う
尊敬語・・・おっしゃる
謙譲語・・・申す
(2)行く・来る
尊敬語・・・いらっしゃる
謙譲語・・・参る

この2つがもっとも大切です。

(3)食べる
尊敬語・・・召し上がる
謙譲語・・・いただく

(4)見る
尊敬語・・・ごらんになる
謙譲語・・・拝見する


謙譲の敬語動詞を覚えなければいけないものには次のものがあります。

(1)与える
謙譲語・・・さしあげる
(2)もらう
謙譲語・・・いただく
(3)訪ねる
謙譲語・・・うかがう
(4)会う
謙譲語・・・お目にかかる
(5)聞く
謙譲語・・・うかがう・うけたまわる

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