漢字の訓読みと送りがなについてまとめます。


音読みと訓読み

日本語を構成する言葉は由来から3種類に分けられます。

和語・・・もとからの日本固有の言葉
漢語・・・中国語を起源とする言葉(「大根」のように、漢字の音(おん)で読む和製の言葉もふくむ)
外来語・・・中国語以外の外国の言葉を起源とする語

和語にあたる漢字は訓読みをし、漢語にあたる漢字は音読みをし、外来語はカタカナで表記します。

漢字は読み方から音読みと訓読みに分かれます。

音読み・・・中国での漢字の読み方にしたがった読み方。
訓読み・・・漢字を、似た意味の日本語にあてはめて読む読み方(例、日本語の「くに」に、似た意味の漢字である国(コク)の字をあてて、国を「くに」と読むようにした)。

音読みは、聞いただけでは意味がわかりません。(例:「カン」と聞いただけでは意味がわからない。間、管、冠・・・漢字を見て初めて意味がわかる。)
訓読みは、もともとの日本語に漢字をあてたものだから、聞いただけで意味がわかります。(例:漢字を見なくても「あいだ」で間、「くだ」で管、「かんむり」で冠とわかる。)

漢語音読みをし、和語訓読みをします。

熟語を構成する漢字は、ほぼ音読みをします。
例外として重箱読み(音読み+訓読み)、湯桶読み(訓読み+音読み)、ともに訓読み(足元(あしもと)など)があります。
逆に、送りがながあるときは、例外なく訓読みです。


送りがなについての規則

送りがなのつけ方については、次の3つの原則が成り立ちます。

、活用する語(動詞、形容詞、形容詞)は、活用する部分(活用語尾)を送りがなで表す(要するに、かたちが変わる部分を送りがなで表す)。

例えば、動詞の「書く」だと、書かない、書きます・・・、形容詞の「高い」だと、高かった、高く・・・、形容動詞の「見事だ」だと、見事だった、見事な・・・というふうに、形が変わらない部分を漢字で、形が変わる部分をひらがなで表わします。

、訓読みがいくつかあって、区別する必要があるときは違いがわかるように送りがなをつける。

例えば、「ほそい」と「こまかい」を区別するために、「細い」、「細かい」と表記します。

、送りがなをつけない表記が通例として認められているときは送りがなをつけなくてもよい。

例えば、「受け付け」を「受付」、「申し込み」を「申込」などの用例は誤りではありません。

作文や小論文を書いたり、漢字の書き取りの問題を解くときは、上記の3つの規則にしたがえばほとんど迷わずに書くことができます。


国が公文書の基準として定めた『送り仮名の付け方』

送りがなに関するさらに細かい規則としては国が定めた『送り仮名の付け方』があります(『送り仮名の付け方』(昭和四十八年内閣告示第二号)、『国語表記の基準・送り仮名の付け方』(文化庁))。

官庁の文書独特のわかりにくい文なので、『送り仮名の付け方』が列記している7つの規則(通則1~7)をわたし流にやさしく書き直して、入試によく出題されている漢字を中心に書き出してみました。


通則1、活用のある語は、活用語尾を送りがなとする。
(例)うけたまわる 承る、もよおす 催す、いきる 生きる、かんがえる 考える、いさぎよい 潔い、かしこい 賢い、おもだ 主だ

例外(1)形容詞のうち、語幹が「し」で終わるものは「し」から送りがなとする。
(例)いちじるしい 著しい、めずらしい 珍しい

例外(2)形容動詞のうち、語幹が「か」で終わるものは「か」から送りがなとする。
(例)しずかだ 静かだ、おだやかだ 穏やかだ、すこやかだ 健やかだ、なごやかだ 和やかだ

例外(3)おもに他の語と区別するための例外。
(例)おそわる 教わる、おどかす 脅かす、おびやかす 脅かす、ことなる 異なる、さからう 逆らう、やわらぐ 和らぐ、あぶない 危ない、あやうい 危うい、すくない 少ない、さかんだ 盛んだ、さいわいだ 幸いだ、しあわせだ 幸せだ

2通りの送りがなが認められるもの
あらわす 表す(表わす)、あらわす 著す(著わす)、あらわれる 現れる(現われる)、おこなう 行う(行なう)、ことわる 断る(断わる)


通則2(通則1の例外)、「生む」に助動詞の「れる」がついてできた語「生まれる」のように、2語以上の語が合わさってできた語は、もとの語(「生まれる」だと「生む」)の送りがなの規則にしたがう。
(例)てらす 照らす、とらえる 捕らえる、つもる 積もる、くらす 暮らす、おわる 終わる、つらなる 連なる
あやしむ 怪しむ、たしかめる 確かめる、こまかい 細かい、やわらかい 柔らかい

2通りの送りがなが認められるもの
うまれる 生まれる(生れる)、おとす 落とす(落す)、くらす 暮らす(暮す)、おわる 終わる(終る)


通則3、名詞は送りがなをつけない。
例外 次の語は、名詞だが送りがなをつける。
あたり 辺り、いきおい 勢い、さいわい 幸い、しあわせ 幸せ、たより 便り、なかば 半ば、みずから 自ら、わざわい 災い


通則4(通則3の例外)、活用のある語が名詞に変わったもの(例、動詞「動く」の連用形が名詞になった「動き」)や、「さ」などがついて名詞になったもの(例、形容詞「暑い」に「さ」がついて名詞になった「暑さ」)は、もとの動詞や形容動詞の送りがなの規則にしたがう。
(例)くもり 曇り、ねがい 願い、はれ 晴れ、かわり 代わり、こたえ 答え、むれ 群れ、はじめ 初め
たしかさ 確かさ、にくしみ 憎しみ

例外 次の語は送りがなをつけない。
おもむき 趣、いただき 頂、こころざし 志、はじ 恥

2通りの送りがなが認められるもの
きもり  曇り(曇)、とどけ 届け(届)、まつり 祭り(祭)


通則5、副詞・連体詞・接続詞は最後の1文字を送りがなにする。
(例)かならず 必ず、すでに 既に、ふたたび 再び、まったく 全く、もっとも 最も

例外
ただちに 直ちに、たえず 絶えず、たとえば 例えば


通則6、2つ以上の語が結びついた複合語は、もとのそれぞれの語の送りがなの規則にしたがう。
(例)かきぬく 書き抜く、うちあわせる 打ち合わせる、まちどおしい 待ち遠しい
うしろすがた 後ろ姿、はかまいり 墓参り、のびちぢみ 伸び縮み、ちのみご 乳飲み子、むりじい 無理強い

2通り以上の送りがなが認められるもの
うりあげ 売り上げ(売上げ・売上)、とりあつかい 取り扱い(取扱い・取扱)、のりかえ 乗り換え(乗換え・乗換)、もうしこみ 申し込み(申込み・申込)


通則7(通則6の例外)、複合語のうち、次の名詞は今までの慣例にしたがって送りがなをつけない。
(例)せきとり 関取、とりしまりやく 取締役
かきとめ 書留、きって 切手、こづつみ 小包、ふりかえ 振替、うけおい 請負、ぶあい 歩合、りょうがえ 両替、わりびき 割引、くみあい 組合、とりひき 取引、もうしこみ 申込
こんだて 献立、しあい 試合、ばあい 場合、わりあい 割合、おりもの 織物、たちば 立場、たてもの 建物


付表、次の語は送りがなをつけない。
いぶき 息吹、ざしき 桟敷、しぐれ 時雨、なごり 名残、なだれ 雪崩、ふぶき 吹雪、まいご 迷子、ゆくえ 行方


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