これっておかしくない?シリーズその1(国語文法編)

中学生になったばかりの子が国語嫌いになるきっかけの一つは、国語文法を習い始めることです。
ま、新しい分野を毛嫌いして勉強しないほうも悪いんですが、これはあまりにも子どもがかわいそうだと思われる事例も多々あります。


単語

中1の国語文法の冒頭はどの本を見ても、「文章・段落・文・文節・単語」です。この順に小さい単位になっていく、そこまではよい。

問題は最後の「単語」です。
単語は「言葉の最小の単位」と書いてありますが、要するに品詞が違えば別の単語なわけで、単語を理解しようと思えば、10個の品詞をある程度理解していないと、まず(というか絶対に)無理です。

「この文章の内容は見事だ」の「見事だ」が1つの単語で、「この文章の内容がわかった」の「わかった」は2つの単語であることなんて、さらに「わかった」を単語別に切ると「わかっ」と「た」であるなんて、小学校で名詞や動詞という言葉さえもほとんど習っていない中1の子にわかるはずがありません。

形容動詞というものがあること、「わかる」という動詞があって、さらに動詞は活用といって語尾が変化すること、その活用形の中に連用形と言われるものがあり、さらに連用形に「かっ」があること、これらのうち何一つ知らない子に単語とその区切り方を理解しろなんてのは土台無茶苦茶です。

ところが問題集には、単語の切れ目に線を引けなんてのがいきなり出てくる。
さらに驚くべきことに、単語が何個含まれる文か、などという問題を中1の1学期の定期テストで出題する先生さえいたりする。

まぐれあたり以外にどうやって正解しろというんでしょう。


連体修飾語・連用修飾語

怒りを抑えて気を取り直して文法書の次のページをめくったら、今度は「文節相互の関係」が出てきます。

主語述語の関係、並立の関係、補助の関係、ここまではよい。主語述語は小学校で習っているし、「並立」「補助」も、「並立」「補助」という漢字で意味を推測できるから何とかなります。

修飾被修飾の関係も、それだけだったらわかるように説明しようと思えばできる。

ところが学校の文法問題集を持参してテスト勉強をしている子が、「先生、わかりません。」と言って見せるのを覗いたら、連体修飾語と連用修飾語の違いがわからないと解けない問題が載っている。そりゃ、わからんわ。

さらに学校の先生が授業中説明されたのでしょう、赤字で連体修飾語、連用修飾語とメモったりしている。
体言も、用言も、全然習っていない子に連体修飾、連用修飾を教えて、この先生一体何を考えているんだろうと、顔には出さず心中で罵倒せずにはいられない(学校の先生の悪口を言っても子どもにとって何の益もないので、塾では学校の悪口は決して言いませんが)。

毎年、連体修飾、連用修飾をこの時期質問されるので、特定の本、特別の先生の話ではありません。この時期、全国あちこちで、中1の子が一斉に首をひねっているはずです。

「わからないのは、あなたたちの責任じゃないよ。」

(追記:『連体修飾語・連用修飾語』については、中学1年生でもわかってもらえるように、こちらで説明を加えました。ご覧ください。)


出版社にも言いたい

国語の副読本として『中学国文法』などと名づけられたテキストを学校に納入し、生徒全員に強制的に購入させている出版社にも言いたい。
学問的な体系はさておき、読まされる子どものことをもうちょっと考えて本を作っていただきたい。どの本も、みな同じような章立てで、代わりばえしない内容で、芸がなさすぎるのとちゃいますか?


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