夏休み企画・国語編、今日は「活用のある自立語」=「用言」=「動詞・形容詞・形容動詞」の覚え方をまとめます。

まず、動詞の「活用形」と「活用の種類」から。
最初にこの2つをしっかり区別しておきましょう。
活用形」とは、動詞の変化の形、未然形・連用形・終止形・連体形・仮定形・命令形の6つのことです。
活用の種類」とは、動詞の変化の仕方5種類、五段活用、上一段活用、下一段活用、カ行変格活用、サ行変格活用のどれにあたるかのことです。


活用形

未然形・連用形・終止形・連体形・仮定形・命令形の6つが、「何に続くか」を正確に覚えてください。ここが曖昧だと理解も中途半端になってしまいます。

未然形…「ない」と「う」に続きます。例:「書か」ない、「書こ」う
連用形…「ます」「た」に続きます。例:「書き」ます、「書い」た
終止形…言い切りの形(辞書に載っている形)です。例:「書く」
連体形…体言、名詞に続きます。「とき」に続くと覚えてもよい。例:「書く」とき
仮定形…助詞の「ば」に続きます。例:「書け」ば
命令形…ひとに命令する形です。例:「書け」

そして、上の例で変化していない(活用していない)「書(か)」の部分を語幹といいます。

未然…「ない」「う」
連用…「ます」
「た」
終止…言い切り
連体…「とき」
仮定…「ば」
命令…命令


と、しっかり覚えておいてください。
それだけで、活用形の問題はほぼ100%正解することができます。


活用の種類

動詞の変化の仕方が、五段活用、上一段活用、下一段活用、カ行変格活用、サ行変格活用のどれにあたるかの問題です。

ものを覚えるときの鉄則、「代表例を覚え、そこから類推する」は、ここでも最も有効な暗記法です。代表的なものを1つだけ頭に刻んでおきます。
五段活用…書く
上一段活用…見る
下一段活用…寝る
カ行変格活用…来る
サ行変格活用…する

そうすると、「似る」は「見る」と同じ、「出る」は「寝る」と同じ、「勉強する」は「する」の仲間というふうに見当をつけることができます。

もう一つの覚え方
助動詞の「ない」をつけたとき、何の段で活用するかで五段活用、上一段活用、下一段活用の3つは識別できます。「ない」の前を伸ばして読んでみてください。
歩かァない…ァ(ア段)になったら五段活用
起きィない…ィ(イ段)になったら上一段活用
考えェない…ェ(エ段)になったら下一段活用

余談:「歩く」のように、歩かない・歩きます・歩く・歩くとき・歩けば・歩け・歩こうと、ア行・イ行・ウ行・エ行・オ行の5つ全部に変化するものが五段活用です。
「起きる」は起きない・起きます・起きる・起きるとき・起きれば・起きろ起きよと5行のうち「起きィ」だけ、上の方のイ一段でしか活用しないので上一段活用です。
同様に「考える」は下のほうの行、エの段一段の活用しかないので下一段活用ということになります。


残ったカ行変格活用、サ行変格活用ですが、この2つは「ない」をつけての分類はしません。
含まれる動詞が少ないので、カ行変格活用は「来る」の1語だけ、サ行変格活用は「する」と「~する」(例:努力する、練習する)だけと覚えたほうが間違いません。


動詞について:おまけ

音便

発音しやすいように本来とは違う発音に変わることを音便と言います。
「書きた」は「書いた」になる…イ音便
「飲みだ」が「飲んだ」になる…撥(はつ)音便
「待ちて」が「待って」になる…促(そく)音便

自動詞と他動詞

国語では別の説明をしている本が多いのですが、英語と同じと覚えたほうが後々便利だと思います。
自動詞…目的語をとらない  例:音が出るの「出る」
他動詞…目的語(~を)をとる  例:音を出すの「出す」

可能動詞

「~できる」という意味を持たせると別の動詞になります。例:読む(普通の動詞)→読める(可能動詞)
もとの動詞は五段活用、可能動詞になると下一段活用の動詞です。

補助動詞

「これは本である」の「ある」、「犬が走っている」の「いる」などを補助動詞と言います。「ある」「いる」にほとんど意味がありません。
「本がある」の「ある」、「犬がいる」の「いる」は「存在する」という意味がありますから、補助動詞ではなく普通の動詞です。


形容詞・形容動詞の活用形

動詞と違って「ない・う」「ます・た」「言い切り」「とき」「ば」「命令」では考えないのが普通です。
動詞と異なり、形容詞、形容動詞とも活用語尾が決まっている、つまり1種類しかありませんので、お経のように何度も唱えて丸暗記します。

形容詞

未然形「かろ」、連用形「かっ」「く」、終止形「い」、連体形「い」、仮定形「けれ」、命令形はない、と覚えます。「かろ・かっ・く・い・い・けれ」と何度も唱えて暗記してください。
連用形だけ「かっ・く」の2つがある、命令形は存在しない、この2点を忘れないように。

「青い」でも、「長い」でも、「強い」でも、語幹の「あお」「なが」「つよ」が違うだけで、語尾が「かろ・かっ・く・い・い・けれ」と活用することは共通です。

形容動詞

形容詞と同じ覚え方をします。
未然形「だろ」、連用形「だっ」「で」「に」、終止形「だ」、連体形「な」、仮定形「なら」、命令形はない、と覚えます。「だろ・だっ・で・に・だ・な・なら」と何度も唱えて暗記してください。
連用形だけ「だっ・で・に」の3つある、命令形は存在しないことの2点を忘れないように。

「見事だ」でも、「静かだ」でも、「大切だ」でも、語幹の「見事」「静か」「大切」が違うだけで、語尾が「だろ・だっ・で・に・だ・な・なら」と活用することは共通です。


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