今日の授業中の質問から。

例題:
次の傍線の語句の品詞名を答えなさい。

(1)
体の大きい動物。
体の大きな動物。

(2)
このやり方が一番よい。
こうするのが一番よい。

(3)
ここにはいろんな動物がいる。
ここにはさまざまな動物がいる。

(4)
その本は図書館にありますか。
それは図書館にある本ですか。

(5)
空におかしな形の雲が浮かんでいる。
空に変な形の雲が浮かんでいる。


(解答)
(1)「大きい」は、「い」で終わり、他の形にも活用するから形容詞。「大きな」は、名詞「動物」を修飾し、活用しないから連体詞
(2)「この」は、名詞「やり方」を修飾する連体詞。「こう」は、動詞「する」を修飾する副詞
(3)「いろんな」は、名詞「動物」を修飾し、活用しないから連体詞、「さまざまな」は「さまざまだ」とも活用するから形容動詞
(4)「その」は、名詞「本」を修飾する連体詞。「それ」は、助詞「は」がついて主語になっているから体言の代名詞
(5)「おかしな」は、名詞「形」を修飾し、活用しないから連体詞。「変な」は、「変だ」と活用するから形容動詞


N君の質問「先生のようにすらすら区別できません。連体詞を簡単に見つけるコツのようなものはないのですか?」

「勉強をしなくても、これさえ知っていたら簡単にわかるというコツはないと思うよ。勉強を進めているうちに習得できるコツはあるんだけどな。」

ということで、連体詞について次のような説明を加えました。


文中のはたらきから連体詞を見つける

連体詞とは、「連」「体」詞、つまり、「体言(名詞・代名詞)」に「連続(続く)」する言葉です。

連体詞のあとには必ず体言である名詞(+代名詞)が続き、名詞を修飾する連体修飾語としてはたらきます。

(2)
このやり方が一番よい。
こうするのが一番よい。

似た言葉でも、「この」は、「やり方」という名詞に続き、名詞を修飾していますが、「こう」は動詞の「する」を修飾する連用修飾語であり、副詞です。

このように、体言(名詞・代名詞)を修飾するか、用言(動詞・形容詞・形容動詞)を修飾するかで、連体詞と副詞を区別できます。

また、連体詞は必ず体言とくっついて体言を修飾します。修飾する体言なしに独立には存在できません。

(4)
その本は図書館にありますか。
それは図書館にある本ですか。

「その」は、名詞の「本」とくっついて名詞の「本」を修飾しているので連体詞です。
「それ」は、他の言葉の存在を必要とせず、助詞「は」がついて、それだけで主語になっています。だから、体言である代名詞です。

この2つの例のように、連体修飾語として体言を修飾しているかどうかで、連体詞と、副詞や名詞・代名詞を区別できます。


活用するかどうかで連体詞を見つける

連体修飾語になる言葉は、連体詞だけではありません。

活用形の中に「連体形」という言葉があることからわかることですが、活用のある自立語(用言)の動詞、形容詞、形容動詞の連体形も連体修飾語になります。

同じように連体修飾語になっている言葉が、連体形なのか、それとも動詞・形容詞・形容動詞なのかを見分ける視点は、「活用するかどうか」です。

(1)
体の大きい動物。
体の大きな動物。

「大きい」は、「大きくなる」、「大きかったら」というようにいろいろ形が変化します。そこから、活用する自立語=用言だと判断し、「い」で終わっているので形容詞と断定します。
「大きな」に、他の形はありません。活用しない語なので連体詞です。

(3)
ここにはいろんな動物がいる。
ここにはさまざまな動物がいる。

「いろんな」は、他の形は考えられません。活用しないので、連体詞です。

ところが、「さまざまな」は、「さまざまだ」と変形した言葉をすぐに思いうかべられます。活用する語です。「だ」と、「な」の両方に活用する語なので形容動詞です。

(5)
空におかしな形の雲が浮かんでいる。
空に変な形の雲が浮かんでいる。


(3)と同じです。
「おかしな」に活用する形はありません。活用しないので、連体詞です。

「変な」は、「変だ」と変形した言葉を思いうかべられます。活用する語であり、「だ」と「な」の両方に活用する語なので形容動詞です。


この3つの例からわかるように、活用があるかないかで、活用のない連体詞と、活用する動詞・形容詞・形容動詞とを区別できます。


おもな連体詞を分類して覚える

上で述べた、(1)連体修飾語だということから連体詞を見つける、(2)活用がないことから連体詞を見つける、の2つの方法は、ある程度文法がわかった人でないと、「言うは易く行うは難し(いうはやすくおこなうはかたし)」、なかなか困難です。

誰でもできる解き方として、代表的なものをいくつか覚えておいて、それに似ているかどうかで判定する方法が実は一番手っ取り早い。


3つに分類して覚える方法

私が子どもたちにすすめている分類法です。

おもな連体詞は、「この」と、「大きな」と、「あらゆる」の3つだと覚えます。
そして、この3つのどれかに似ていたら、連体詞と判断します。

(1)「この」の仲間・・・この、その、あの、どの

(2)「大きな」の仲間・・・大きな、小さな

(3)「あらゆる」の仲間・・・あらゆる、いわゆる

この分類法の長所は、覚えることが少なくてすむことと、よく出る問題は上記のものが多いので実戦的であることです。
短所は、3つのどれにも含まれない連体詞があって、あまり学問的とはいえないことです。


語尾で分類する方法

多くの文法のテキストが採用している分類法です。


今、私の手元にある1冊は、連体詞を次の4種類に分類しています。

(1)「~の」型・・・この、その、あの、どの、例の、ほんの

(2)「~る」型・・・ある、あらゆる、いかなる、いわゆる、来る(きたる)

(3)「~た(~だ)」型・・・たいした、とんだ

(4)「~な」型・・・大きな、小さな、いろんな、おかしな


別のテキストは、5種類に分類しています。

(1)「~の」の形・・・この、その、あの、どの、ほんの

(2)「~な」の形・・・大きな、小さな、おかしな、いろんな

(3)「~た、~だ」の形・・・たいした、たった、とんだ、ばかげた

(4)「~る」の形・・・ある、あらゆる、いわゆる、さる、きたる、いかなる、堂々たる

(5)「~が」の形・・・わが



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