日本国憲法は第3章『国民の権利及び義務(第10条~40条)』において国民の基本的人権を列挙しています。
しかし、国民の享有する権利は憲法に具体的に明記されたものに限りません。

憲法第13条「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」

憲法第13条の「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」の中には、時代の進展にともなって認められるようになった新しい人権もふくまれます。

環境権知る権利プライバシーの権利などが新しい人権です。


環境権

1960年代、高度成長時代の公害や環境破壊をきっかけに主張され始めた権利が環境権です。

日本国憲法第25条1項「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」

国民は健康で快適な環境のもとで生活する権利を有しています。

環境を守るための法律として、環境基本法環境アセスメント法が制定されました。

環境基本法(1993年)・・環境の保全についての基本理念と施策の基本を定めた法律です。環境基本法の制定により、公害対策基本法は廃止されました。

環境アセスメント法(1997年)・・道路・河川・鉄道・空港などの大規模な事業をおこなう前に環境アセスメント環境影響評価)をおこなって環境の保全をおこなわなければならないことを定めた法律です。


知る権利

情報化社会の進展にともない、行政機関によって情報が独占されたり隠されたりすることのないように、主権者である国民が行政機関の持つ情報を必要があれば自由に知ることができる権利が認められるようになりました。

国や地方公共団体が国民や住民の請求があれば情報を公開する制度を情報公開制度といい、それを保障するのが情報公開条例情報公開法です。

情報公開法(2001年)・・行政機関が持つ資料を、原則、公開しないといけないことを定めた法律です。個人情報や外交、防衛などに関する情報は非公開が認められますが、不服がある人は行政訴訟を起こすことができます。


プライバシーの権利

報道機関、マス・メディアの行き過ぎた個人情報の公開や、コンピューター社会の到来による情報の漏洩によって名誉人格権肖像権などが侵害されないように、個人の私生活や秘密が他人から干渉や侵害を受けない権利がプライバシーの権利です。

最近は、さらに積極的に、個人が自分に関する情報をコントロールすることができる権利もプライバシーの権利にふくまれます。

個人情報保護法(2003年)・・個人情報の適切な取り扱いと保護を国と地方公共団体や事業者の義務として定めています。個人情報の外部提供や目的外利用を禁止して、プライバシーがあばかれることのないように国民を守るための法律です。

また、『通信傍受法(重大犯罪の捜査に警察の通信傍受を認める法律)』や『住民基本台帳法』では、個人のプライバシーが侵されないように厳格な運用が要求されます。


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