人が財産を残して亡くなったとき、その財産はどうなるのでしょうか。
遺産相続
人が亡くなったとき残された財産を「遺産」、その処分の手続きを「相続」といいます。
わが国では、民法「第5編相続(第882条~第1044条)」が遺産相続について細かく定めています。
遺産相続の原則
人はいつでも「遺言」(ゆいごん・法律家は「いごん」と読むことが多い)を残すことができます。
遺言があるときは、原則として遺言に従います。
最近は遺言を残す人も増えていますが、ほとんどの人は遺言を残さないまま亡くなります。
遺言がないとき、遺産は法律の定めにしたがって相続されます。これを「法定相続」といいます。
法定相続人と法定相続分
法律で相続の権利を認められている人を法定相続人といいます。
民法の規定する法定相続人は、配偶者(夫が亡くなったときは妻、妻が亡くなったときは夫)、子、父・母、兄弟姉妹だけです。
配偶者、子、父・母、兄弟姉妹は法律上のものに限り、婚姻届を出していない配偶者(いわゆる内縁)などはふくまれません。
(1)被相続人(亡くなった人)に子があるときは、配偶者と子だけが相続します。
子には胎児(生まれる前の子)、養子、非嫡出子をふくみます。
民法が定めた遺産を相続する割合のことを法定相続分といいます。
配偶者と子が相続人のとき、法定相続分は配偶者が2分の1、子が2分の1です。
複数の子があるとき、子は2分の1の遺産をさらに平等な割合で相続します(均分相続)。
(例)1,000万円の遺産を残して被相続人が亡くなり、子どもが2人いるとき、配偶者は2分の1の500万円、子1人は子の相続分2分の1を平等に2でわった4分の1ずつ250万円を相続します。
子がいたが、親の被相続人より先に亡くなっていたとき、亡くなった子に子があれば(つまり、亡くなった被相続人に孫がいれば)、子が受け取るはずであった遺産を孫が相続します(代襲(だいしゅう)相続)。
(例)1,000万円の遺産を残して被相続人が亡くなり、子どもが2人いて、そのうちの1人が既に亡くなっていてその子が2人いるとき、配偶者は2分の1の500万円、生きている子1人は子の相続分2分の1を2でわった4分の1の250万円を相続し、亡くなった子が受け取ったはずの250万円を孫の2人が125万円ずつ相続します。
配偶者が既に亡くなっているときは、遺産の全額を子が相続します。
(2)被相続人に子がないときは、配偶者と亡くなった人の父・母が相続します。
このときの法定相続分は、配偶者が3分の2、父・母が3分の1です。
(例)被相続人が900万円の遺産を残して死亡し、子がないとき、配偶者が3分の2の600万円を相続し、残りの3分の1の300万円を父・母が半分ずつ150万円相続します。
配偶者が既に亡くなっているときは、遺産の全額を父・母が相続します。
(3)被相続人に子がなく、父・母も既に死亡しているときは、配偶者と亡くなった人の兄弟姉妹が相続人となります。
このときの法定相続分は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1です。
このように、配偶者は常に相続人となり、父・母は子がいないときのみ、兄弟姉妹は子も父・母もいないときのみ、相続人となります。
相続するもの
相続の対象になるのは、土地・家屋などの不動産や銀行預金、現金などのプラスの財産だけではありません。
亡くなった人が銀行から借りていたローンの返済義務、人からの借金などのマイナスの財産も相続します。
(例)1,000万円の現金と800万円の借金を残して被相続人が亡くなったとき、配偶者と子2人があれば、配偶者は2分の1ずつ、つまり現金の500万円と400万円の借金の返済義務を相続し、子の1人は現金の250万円と借金の200万円を相続することになります。
相続放棄
遺産を相続したくない人は、被相続人の死後3ヶ月以内であれば、家庭裁判所の手続きで相続する権利を放棄することができます(相続放棄)。
家庭裁判所
相続に関することがらを扱う(管轄(かんかつ)する)裁判所は家庭裁判所です。
相続に関して争いなどがあるときは、家庭裁判所の調停や審判で解決します。
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遺産相続
人が亡くなったとき残された財産を「遺産」、その処分の手続きを「相続」といいます。
わが国では、民法「第5編相続(第882条~第1044条)」が遺産相続について細かく定めています。
遺産相続の原則
人はいつでも「遺言」(ゆいごん・法律家は「いごん」と読むことが多い)を残すことができます。
遺言があるときは、原則として遺言に従います。
最近は遺言を残す人も増えていますが、ほとんどの人は遺言を残さないまま亡くなります。
遺言がないとき、遺産は法律の定めにしたがって相続されます。これを「法定相続」といいます。
法定相続人と法定相続分
法律で相続の権利を認められている人を法定相続人といいます。
民法の規定する法定相続人は、配偶者(夫が亡くなったときは妻、妻が亡くなったときは夫)、子、父・母、兄弟姉妹だけです。
配偶者、子、父・母、兄弟姉妹は法律上のものに限り、婚姻届を出していない配偶者(いわゆる内縁)などはふくまれません。
(1)被相続人(亡くなった人)に子があるときは、配偶者と子だけが相続します。
子には胎児(生まれる前の子)、養子、非嫡出子をふくみます。
民法が定めた遺産を相続する割合のことを法定相続分といいます。
配偶者と子が相続人のとき、法定相続分は配偶者が2分の1、子が2分の1です。
複数の子があるとき、子は2分の1の遺産をさらに平等な割合で相続します(均分相続)。
(例)1,000万円の遺産を残して被相続人が亡くなり、子どもが2人いるとき、配偶者は2分の1の500万円、子1人は子の相続分2分の1を平等に2でわった4分の1ずつ250万円を相続します。
子がいたが、親の被相続人より先に亡くなっていたとき、亡くなった子に子があれば(つまり、亡くなった被相続人に孫がいれば)、子が受け取るはずであった遺産を孫が相続します(代襲(だいしゅう)相続)。
(例)1,000万円の遺産を残して被相続人が亡くなり、子どもが2人いて、そのうちの1人が既に亡くなっていてその子が2人いるとき、配偶者は2分の1の500万円、生きている子1人は子の相続分2分の1を2でわった4分の1の250万円を相続し、亡くなった子が受け取ったはずの250万円を孫の2人が125万円ずつ相続します。
配偶者が既に亡くなっているときは、遺産の全額を子が相続します。
(2)被相続人に子がないときは、配偶者と亡くなった人の父・母が相続します。
このときの法定相続分は、配偶者が3分の2、父・母が3分の1です。
(例)被相続人が900万円の遺産を残して死亡し、子がないとき、配偶者が3分の2の600万円を相続し、残りの3分の1の300万円を父・母が半分ずつ150万円相続します。
配偶者が既に亡くなっているときは、遺産の全額を父・母が相続します。
(3)被相続人に子がなく、父・母も既に死亡しているときは、配偶者と亡くなった人の兄弟姉妹が相続人となります。
このときの法定相続分は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1です。
このように、配偶者は常に相続人となり、父・母は子がいないときのみ、兄弟姉妹は子も父・母もいないときのみ、相続人となります。
相続するもの
相続の対象になるのは、土地・家屋などの不動産や銀行預金、現金などのプラスの財産だけではありません。
亡くなった人が銀行から借りていたローンの返済義務、人からの借金などのマイナスの財産も相続します。
(例)1,000万円の現金と800万円の借金を残して被相続人が亡くなったとき、配偶者と子2人があれば、配偶者は2分の1ずつ、つまり現金の500万円と400万円の借金の返済義務を相続し、子の1人は現金の250万円と借金の200万円を相続することになります。
相続放棄
遺産を相続したくない人は、被相続人の死後3ヶ月以内であれば、家庭裁判所の手続きで相続する権利を放棄することができます(相続放棄)。
家庭裁判所
相続に関することがらを扱う(管轄(かんかつ)する)裁判所は家庭裁判所です。
相続に関して争いなどがあるときは、家庭裁判所の調停や審判で解決します。
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