地方自治

地方のことを住民が自分たちで決定し自分たちで運営すること」を地方自治といいます。

「地方」・・・法律で地方自治をおこなう単位として認められている地域を地方公共団体地方自治体)といいます。
わが国では、都道府県市町村・東京都の23区が地方公共団体です。

「自分たちで決定」・・・地方のことはその地方の住民の意思によって決定することを住民自治といいます。

「自分たちで運営」・・・地方の運営を国とは独立した地方の機関がおこなうことを団体自治といいます。

住民」・・・人を、国の政治という見地からながめるときは「国民」、地方自治のにない手としてながめるときは「住民」と表現します。


地方自治は民主主義の学校

地方の政治は住民に密着したことがらを対象とします。住民は身近なことを自分たちで処理することを通して民主主義のプロセスを学んでいきます。

地方自治を通して民主主義を学んでいくので「地方自治は民主主義の学校」と言われます(イギリスの政治学者ブライスの言葉だそうです)。


日本国憲法と地方自治

日本国憲法は地方自治を認め、『第8章地方自治』で地方自治について定めています。


第92条 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。

法律として地方自治法とその他の法律が制定されています。


第93条 地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
2 地方公共団体の、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。


地方議会(都道府県議会市町村議会)と地方公共団体の首長を住民の直接選挙で選ぶことを明記しています。


第94条 地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。

地方のことは地方公共団体が処理すること、地方公共団体のきまりとして条例を定めることができることを定めた条文です。


第95条 一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。

地方特別法と住民投票について定めた条文です。


地方自治法

地方自治全般にわたる基本事項を定めた法律です。

日本国憲法が認めた地方自治の内容をさらに細かく定めた法律で、1947年、日本国憲法と同時に施行されました。

地方公共団体の種類・住民の選挙権・条例・住民の直接請求権・議会・首長・財務・地方税・国と地方公共団体との関係・都道府県と市町村との関係などについて定めています。

1999年に機関委任事務の廃止など全体の約3分の1が改正され、2006年の改正では出納長と収入役の廃止と副知事・副市町村長への一元化などがおこなわれました。


地方公共団体

一定の地域について国から自治の権限を与えられた団体を地方公共団体地方自治体)といいます。

地方自治法は、普通地方公共団体として都道府県市町村を、特別地方公共団体として特別区(東京都の23区)などを地方公共団体と規定しています。

地方公共団体は議決機関として都道府県議会市町村議会をもち、地方の行政を執行する機関である首長都道府県知事市町村長)と地方公務員で組織されています。また、財産を所有し、議会の議決に従って予算を執行します。

平成の大合併・・・1995年に改正された、「市町村の合併の特例に関する法律」(合併特例法)で、多くの市町村が合併しました。
それまで3232(市670、町1994、村568)あった市町村数は、2010年3月末で1728(市786、町757、村185)になり、ほぼ半減しました。


地方分権

国の権限や財源をできるだけ地方公共団体に移そうという主張と、その主張にそった実際の動きのことを地方分権といいます。

地方分権一括法・・・第一次分権改革の流れの中で、475の関連法案をまとめて1999年に成立した法律です。
地方に対する国の管理を極力少なくして、地方公共団体の自主裁量を認めることを目的とします。
地方分権一括法によって、国が地方公共団体に国の仕事を代行させていた機関委任事務が廃止され、地方公共団体が自主的に事務を執行する権限が拡大しました。

地方分権改革推進法・・・国から地方へ税源を移すことや地方交付税と国庫補助負担金を見直す改革をさらに進めるために、2007年に地方分権改革推進法が施行されました。


道州制

都道府県を合併してアメリカ合衆国の州のような広域の地方公共団体をつくり、効率的な行政をしようという主張を唱える人たちもいます。


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