てこの原理

てこの原理はアルキメデスが発見したとされています。
てこの原理
てこの原理

おもり×支点までの距離=おもり×支点までの距離

左の図だと、
A×a=B×b

このときのA×aをてこを反時計回り(左回り)に回転させようとする力、B×bをてこを時計回り(右回り)に回転させようとする力と考えます。
てこでは、常に、反時計回り(左回り)の力=時計回り(右回り)の力の関係が成り立つわけです。


逆の比になる

A×a=B×bだと、2×3=3×2でわかるように、
A:B=b:aとなります。
つまり、おもりの比と、支点までの距離の比とは、になります(積が一定なので、反比例と考えることもできます)。


基本的な問題

例題1:図のてこはつりあっています。おもりAは何gですか。ただし、棒の重さは考えないものとします。
例題1
(解き方)
てこの原理で解く

おもり×支点までの距離=おもり×支点までの距離より、30×A=10×60
A=600÷30
=20g

逆の比で解く

A:60の比は30:10(=3:1)の逆になります。

A:60=1:3より、
A=20g


「てこの原理」で解くか「逆の比」で解くか

もちろん、どちらで解いてもよいのですが、やさしい問題は逆の比を使ってあっさりと暗算で解き、複雑な問題はてこの原理を使って慎重に解くのがよいでしょう。


支点が棒の端にある問題

支点が棒の中央でなくて棒の端にあっても、解き方はまったく変わりません。

例題2:図のてこはつりあっています。ばねはかりAは何gを示しますか。ただし、棒の重さは考えないものとします。
支点が端にあるとき
(解き方)
おもり×支点までの距離=おもり×支点までの距離より、A×60=60×40。
A=2400÷60
=40g

または、逆の比より、
A:60=40:60
A=40g


いくつもおもりがある、やや複雑な問題

複雑な問題では、てこを、時計回りにまわそうとする力の合計と、反時計回りにまわそうとする力の合計が等しいことを使います。

例題3:図のてこはつりあっています。おもりAは何gですか。ただし、棒の重さは考えないものとします。
複雑なてこ
(解き方)
おもり×支点までの距離=おもり×支点までの距離を使いますが、時計回りにまわそうとする力の合計と、反時計回りにまわそうとする力の合計が等しいことに的をしぼって考えていきます。

左側の2個のおもりの、反時計回りにてこをまわそうとする力の合計は、
10×40+A×20
=400+A×20・・・(1)
です。

右側の2個のおもりの、時計回りにてこをまわそうとする力の合計は、
10×10+20×(10+20)
=100+600
=700・・・(2)
です。

(1)(2)より、
400+A×20=700
等号の左側と右側のちがいは、400と700のちがいの300。
これが、A×20ですから、
A=300÷20
=15g
です。


例題4:図のてこはつりあっています。ばねはかりAは何gを示しますか。ただし、棒の重さは考えないものとします。
複雑なてこの2
(解き方)
支点を基準に、てこを時計回りにまわそうとする力は、
10×20+40×50
=200+2000
=2200
です。

てこを時計回りにまわそうとする力は、
A×40
です。

2つの力が等しいので、
A×40=2200
A=55g
です。





棒に重さがあるとき


ある物体の重さ全体が、1つの点にはたらいていると考えてよい点があります。
その点を重心といいます。
重心左図だと、重心でものを支えることができます。
ということは、ものの重さは重心という1点にはたらいていると考えてよい、ということです。

てこの問題で棒に重さがあるとき、棒の重さは重心にはたらいていると考えます。
そして、単純に言うと、棒の重心は棒の「真ん中」にあると考えてください。

例題5:長さ60cmの棒の左端に50gのおもりをつるし、棒の左端から棒に重さがあるとき10cmのところをひもで支えると、棒は水平になってつりあった。この棒の重さは何gですか。

(解き方)
棒の重さは、重心(棒の中心)にあると考えます。




この問題だと、棒の真ん中の端から30cmのところが重心で、そこに棒の重さがかかっています。
棒に重さがあるときの2反時計回りにまわそうとする力は、50×10=500です。
時計回りにまわそうとする力は、
棒の重さ×20です。

よって、棒の重さは、
棒の重さ×20=500だから、
500÷20=25gです。





モビールの問題

いくつかのてこが組み合わされたものをモビールといいます。
モビールの問題では、てこを「上に引く力下に引く力等しい」ことも使います。
上に引く力と下に引く力
左図で、てこを下に引く力は20+30=50gです。

このとき、てこを上に引く力(ばねはかりの目盛り)は、つなひきと同じで、下に引く力と等しい50gです。









例題5:図のように重さを考えない棒やひもで作ったモビールがつりあっモビールています。おもりAの重さ、おもりBの重さ、ばねはかりCの目盛りはそれぞれ何gですか。

(解き方)
まず、おもりAの重さを求めましょう。
左下のてこで、支点までの距離が20cm:10cm=2:1だから、
おもりの比は逆になります。
100g:Ag=1:2
よって、A=200gです。

次に、左下のてこを下に引く力は100+A=100+200=300g
つまり、アの点にかかっている力は300gです。

今度はおもりBの重さを求めます。
アにかかる力とBの比は、右上のてこの、支点までの距離10:30=1:3の逆の比になります。
300:B=3:1
B=100gです。

最後に、Cのばねはかりの目盛りを求めます。
右上のてこで、てこを下に引く力はアの300gとBの100gの合計の400gです。
だから、右上のてこを上に引く力(ばねはかりの目盛り)も、同じ400gです。


右と左で幅がちがう棒の問題

最後に、ちょっと難しい問題を取り上げます。

例題6:だんだん細くなっている長さ60cmの棒ABをもちいて、図1のように一方の端を地面に置いて他方の端をばねはかりでつるしたところ、A点でつるした場合は300gでしたが、B点でつるした場合は100gでした。
また、図2のように棒のP点を糸でつるしたところ棒は水平になりました。
(1)棒の重さは何gですか。

(2)AP間の距離は何cmですか。
幅のちがうてこ幅のちがうてこの2


















(解き方)
幅のちがうてこの3棒の重心を、左図の赤丸の場所だと仮定します(幅がちがう棒なので、重心は真ん中ではありません)。

図1の左で、時計回りにまわそうとする力は300×60=18000です。
反時計回りにまわそうとうする力は、棒の重さ×aです。
棒の重さ×a=18000・・・(1)

図1の右で、反時計回りにまわそうとする力は100×60=6000です。
時計回りにまわそうとする力は棒の重さ×bです。
棒の重さ×b=6000・・・(2)

(1)(2)より、棒の重さ×a:棒の重さ×b=18000:6000=3:1

ところが、棒の重さは共通だから、
a:b=3:1

棒の長さ60cmをa:bの3:1で分けると、a=45cm、b=15cmとわかります。

もう一度、図1の左にもどって、
300×60=棒の重さ×45

棒の重さは、300×60÷45=400gです。


(2)AP間の距離は何cmですか。

点Pは重心だから、AP=15cmです。



てこの問題を解くときに大切なこと(まとめ)

1、てこの原理「おもり×支点までの距離おもり×支点までの距離」の式か、逆比「おもりの比がA:Bなら、支点までの距離はB:A」かのどちらかで解く。

2、複雑な問題は、「時計回りにまわそうとする力の合計=反時計回りにまわそうとする力の合計」を使う。

3、棒に重さがあるときは、重心に棒の重さがかかっていると考える。

4、モビールの問題は、てこを「上に引く力下に引く力等しい」を使う。




理科の全目次はこちら
理科 分野別学習目次