浮力の意味、浮力が生まれる理由、アルキメデスの原理については、『浮力とは何か』でまとめました。
『浮力とは何か』で理解しておかないといけないポイントは次の2つでした。
1、ものの重さ-水に入れたときのものの重さ=浮力
2、浮力=ものの(水中の)体積
この稿では、上の2つのポイントをおさえた上で、いろいろな浮力の問題を解くときに必要になってくる大切なことがらをまとめます。
浮力の意味がわかっているかどうかを問う問題
例題1:あるものの重さをばねはかりではかったら120gでした。そのまま、ものを水に入れると、もの全部が水に入り、ばねはかりの目盛りは80gをさしました。
(1)ものにはたらいている浮力は何gですか。
(2)ものの体積は何立方cmですか。
(解き方)
(1)「ものの重さ-水に入れたときのものの重さ=浮力」より、ただものの重さをはかったときの重さと、ものを水中に入れて重さをはかったときの重さの差が、そのものにはたらいている浮力の大きさです。
だから、ものにはたらいている浮力は、
120-80=40g
です。
(2)「浮力=ものの(水中の)体積」より、水中のものにはたらいている浮力が40gであれば、そのものの、水中に入っている部分の体積も40立方cmです。
この問題ではもの全体が水に入っているので、このものの体積は40立方cmです。
注:「浮力=ものの(水中の)体積」は覚え方であって、もちろん単位は違います。浮力の単位はg、体積の単位は立方cmです。
浮力と体積と、数値の部分だけが等しくなります。
ものが水に浮いているとき
例題2:重さ60g、体積80立方cmの木片を水に入れたところ、木片は水に浮かびました。
(1)木片にはたらいている浮力の大きさは何gですか。
(2)木片の、水中に沈んでいる部分の体積は何立方cmですか。
(3)木片の上に何g以上のおもりをのせると、木片は完全に水に沈みますか。
(解き方)
(1)ものが水に浮いているとき、なぜものが浮くかというと、下向きにものを引っぱる重力(重さ)の大きさと、上向きにものを支えている浮力の大きさが等しいから、ものは浮いているのです。
大切なこと:ものが浮いているときは、重さ=浮力
だから、重さ60gのものが浮いているとき、そのものにはたらいている浮力も60gです。
(2)「浮力=ものの(水中の)体積」より、浮力が60gだったので、木片の、水に沈んだ部分の体積も60立方cmです。
(3)体積が80立方cmの木片を完全に水中に沈めると、「浮力=ものの(水中の)体積」より80gの浮力が生まれます。
だから、この80gの浮力にさからって木片を完全に水に沈めるには、80g以上の重さが必要です。
今、木片自体の重さが60gだから、重さを80gにするには、80-60=20g、あと20g以上の重さが必要です。
浮力と全体の重さ
例題3:ビーカーに水を入れて台はかりで重さをはかったところ、台はかりの目盛りは300gを示しました。
(1)水に重さが50gで体積が10立方cmのおもりを沈めたら、台はかりの目盛りは何gをさしますか。
(2)おもりをばねはかりにつるして、ゆっくりばねはかりを上にあげていくと、ばねはかりの目盛りが何gのとき、おもりはビーカーの底を離れますか。
(3)おもりがビーカーの底を離れたとき、ビーカーの下の台はかりの目盛りは何gをさしていますか。
(解き方)
(1)水に重さが50gで体積が10立方cmのおもりを沈めたら、台はかりの目盛りは何gをさしますか。
ビーカーと水を合わせた重さはが300gで、おもりの重さが50gです。
300gと50gを合わせた重さが下の台はかりにかかるので、台はかりの目盛りは300+50=350gをさします。
このとき、おもりには「浮力=ものの(水中の)体積」より、10gの浮力がはたらいていますが、この浮力は、おもりを持ち上げようとすると浮力の分だけ軽くなるという意味しかありません(台はかりの、のせる台を上に持ち上げる力ではありません)。
だから、浮力がはたらいていても、浮力に関係なく、台はかりには水とビーカーとおもりの重さを合わせた重さがかかります。
(2)おもりをばねはかりにつりして、ゆっくりばねはかりを上にあげていくと、ばねはかりの目盛りが何gのとき、おもりはビーカーの底を離れますか。
(3)おもりがビーカーの底を離れたとき、ビーカーの下の台はかりの目盛りは何gをさしていますか。
(2)おもりの重さは50gです。
そして、「浮力=ものの(水中の)体積」より、おもりには10gの浮力がはたらいています。
だから、ばねはかりでおもりを持ち上げるとき、50-10=40gの力で持ち上げることができます。
(3)ばねはかりで持ち上げる前は、水とビーカー、そしておもりの重さを合わせた350gの重さが下の台はかりにかかっていました。
ところが、その350gの重さのうち、ばねはかりが上向きに40gの力でおもりを引っ張ってくれることで、台はかりの台を押す力は40gだけ減少します。
だから、下の台はかりの目盛りは350-40=310gになります。
つまり、台はかりには、水とビーカーの重さの300gに、浮力の10gを加えた重さがかかっていることになります。
大切なこと:ビーカー・水・おもりの3つの重さが下の台はかりにかかる。
大切なこと:おもりをばねはかりで上に持ち上げるとき、ばねはかりの目盛りの分だけ、台はかりの目盛りは小さくなる。
台はかりにかかる力
=ビーカー+水+(おもりの重さ‐ばねはかりで上に引く力)
=ビーカー+水+浮力
氷を水に浮かべたときの台はかりの目盛りと水面の高さ
例題4:重さ30g、体積33立方cmの氷をビーカーに入れた水の中に入れると、氷は一部を水面の上に出して水に浮かびました。このとき、台はかりの目盛りは150gでした。
(1)水面より上に出ている氷の体積はいくらですか。
(2)氷がすべてとけたあとの台はかりの目盛りは何gを示しますか。
(3)氷がすべてとけたあと、氷がとける前に比べて水面の高さはどうなっていますか。
(解き方)
(1)水面より上に出ている氷の体積はいくらですか。
氷が水に浮いているとき、氷の重さ=氷にはたらく浮力であり、氷にはたらく浮力=氷の(水中の)体積です。
氷の重さが30gだから、氷にはたらいている浮力も30g、そして、氷の水中に沈んでいる部分の体積も30立方cmです。
だから、水面より上に出ている氷の体積は33-30=3立方cmです。
(2)氷がすべてとけたあとの台はかりの目盛りは何gを示しますか。
ビーカー・水・氷の重さが下の台はかりにかかっています。
ビーカー+水+氷=150g
氷がとけてもこの関係に変化はありませんから、氷がすべてとけたあとの台はかりの目盛りは150gのままです。
重さ30gの氷が水に浮いているとき、氷にはたらいている浮力も30gです。
この浮力は、氷にはたらく上向きの力であり、氷を水にうかべている力ですが、下の台はかりの台を上に持ち上げる力ではありません。
つまり、台はかりの目盛りには関係しません。
(3)氷がすべてとけたあと、氷がとける前に比べて水面の高さはどうなっていますか。
水は1gが1立方cmです。
だから、氷の重さが30gのとき、氷がとけて水になってしまうとその体積は30立方cmになります。
ところが、(1)で、氷の水中に沈んだ部分の体積は30立方cmでした。
つまり、氷のときも、とけて水になったあとも、氷によって増える体積は30立方cmのままで、かわりません。
水面の高さはずっと変化しません。
大切なこと:氷が水に浮かんでいるとき、氷がとけても水面の高さは変化しない。
水以外の液体と浮力
「ものを水に入れると、ものがおしのけた体積の水の重さと同じだけ軽くなる」がアルキメデスの原理です。
水以外の液体にものを入れると、「ものがおしのけた体積の液体の重さと同じだけ軽くなる」ことになります。
例題5:体積40立方cmのおもりの重さをばねはかりではかったら120gでした。おもりを密度0.8g/立方cmの液体に入れました。
(1)おもりにはたらいている浮力は何gですか。
(2)おもりを液体に入れたあと、ばねはかりの目盛りは何gを示しますか。
(解き方)
(1)水中におもりを入れたとき、おしのけた液体の体積は40立方cmであり、おしのけた液体の重さは0.8×40=32gです。
「ものがおしのけた体積の液体の重さと同じだけ軽くなる」ので、おもりにはたらいている浮力は32gです。
(2)120-32=88gだから、ばねはかりの目盛りは88gを示します。
大切なこと:水以外の液体にものを入れたときの浮力は、浮力=密度×(水中の)体積
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『浮力とは何か』で理解しておかないといけないポイントは次の2つでした。
1、ものの重さ-水に入れたときのものの重さ=浮力
2、浮力=ものの(水中の)体積
この稿では、上の2つのポイントをおさえた上で、いろいろな浮力の問題を解くときに必要になってくる大切なことがらをまとめます。
浮力の意味がわかっているかどうかを問う問題
例題1:あるものの重さをばねはかりではかったら120gでした。そのまま、ものを水に入れると、もの全部が水に入り、ばねはかりの目盛りは80gをさしました。
(1)ものにはたらいている浮力は何gですか。
(2)ものの体積は何立方cmですか。
(解き方)
(1)「ものの重さ-水に入れたときのものの重さ=浮力」より、ただものの重さをはかったときの重さと、ものを水中に入れて重さをはかったときの重さの差が、そのものにはたらいている浮力の大きさです。
だから、ものにはたらいている浮力は、
120-80=40g
です。
(2)「浮力=ものの(水中の)体積」より、水中のものにはたらいている浮力が40gであれば、そのものの、水中に入っている部分の体積も40立方cmです。
この問題ではもの全体が水に入っているので、このものの体積は40立方cmです。
注:「浮力=ものの(水中の)体積」は覚え方であって、もちろん単位は違います。浮力の単位はg、体積の単位は立方cmです。
浮力と体積と、数値の部分だけが等しくなります。
ものが水に浮いているとき
例題2:重さ60g、体積80立方cmの木片を水に入れたところ、木片は水に浮かびました。
(1)木片にはたらいている浮力の大きさは何gですか。
(2)木片の、水中に沈んでいる部分の体積は何立方cmですか。
(3)木片の上に何g以上のおもりをのせると、木片は完全に水に沈みますか。
(解き方)
(1)ものが水に浮いているとき、なぜものが浮くかというと、下向きにものを引っぱる重力(重さ)の大きさと、上向きにものを支えている浮力の大きさが等しいから、ものは浮いているのです。
大切なこと:ものが浮いているときは、重さ=浮力
だから、重さ60gのものが浮いているとき、そのものにはたらいている浮力も60gです。
(2)「浮力=ものの(水中の)体積」より、浮力が60gだったので、木片の、水に沈んだ部分の体積も60立方cmです。
(3)体積が80立方cmの木片を完全に水中に沈めると、「浮力=ものの(水中の)体積」より80gの浮力が生まれます。
だから、この80gの浮力にさからって木片を完全に水に沈めるには、80g以上の重さが必要です。
今、木片自体の重さが60gだから、重さを80gにするには、80-60=20g、あと20g以上の重さが必要です。
浮力と全体の重さ
例題3:ビーカーに水を入れて台はかりで重さをはかったところ、台はかりの目盛りは300gを示しました。
(1)水に重さが50gで体積が10立方cmのおもりを沈めたら、台はかりの目盛りは何gをさしますか。
(2)おもりをばねはかりにつるして、ゆっくりばねはかりを上にあげていくと、ばねはかりの目盛りが何gのとき、おもりはビーカーの底を離れますか。
(3)おもりがビーカーの底を離れたとき、ビーカーの下の台はかりの目盛りは何gをさしていますか。
(解き方)
(1)水に重さが50gで体積が10立方cmのおもりを沈めたら、台はかりの目盛りは何gをさしますか。
ビーカーと水を合わせた重さはが300gで、おもりの重さが50gです。
300gと50gを合わせた重さが下の台はかりにかかるので、台はかりの目盛りは300+50=350gをさします。
このとき、おもりには「浮力=ものの(水中の)体積」より、10gの浮力がはたらいていますが、この浮力は、おもりを持ち上げようとすると浮力の分だけ軽くなるという意味しかありません(台はかりの、のせる台を上に持ち上げる力ではありません)。
だから、浮力がはたらいていても、浮力に関係なく、台はかりには水とビーカーとおもりの重さを合わせた重さがかかります。
(2)おもりをばねはかりにつりして、ゆっくりばねはかりを上にあげていくと、ばねはかりの目盛りが何gのとき、おもりはビーカーの底を離れますか。
(3)おもりがビーカーの底を離れたとき、ビーカーの下の台はかりの目盛りは何gをさしていますか。
(2)おもりの重さは50gです。
そして、「浮力=ものの(水中の)体積」より、おもりには10gの浮力がはたらいています。
だから、ばねはかりでおもりを持ち上げるとき、50-10=40gの力で持ち上げることができます。
(3)ばねはかりで持ち上げる前は、水とビーカー、そしておもりの重さを合わせた350gの重さが下の台はかりにかかっていました。
ところが、その350gの重さのうち、ばねはかりが上向きに40gの力でおもりを引っ張ってくれることで、台はかりの台を押す力は40gだけ減少します。
だから、下の台はかりの目盛りは350-40=310gになります。
つまり、台はかりには、水とビーカーの重さの300gに、浮力の10gを加えた重さがかかっていることになります。
大切なこと:ビーカー・水・おもりの3つの重さが下の台はかりにかかる。
大切なこと:おもりをばねはかりで上に持ち上げるとき、ばねはかりの目盛りの分だけ、台はかりの目盛りは小さくなる。
台はかりにかかる力
=ビーカー+水+(おもりの重さ‐ばねはかりで上に引く力)
=ビーカー+水+浮力
氷を水に浮かべたときの台はかりの目盛りと水面の高さ
例題4:重さ30g、体積33立方cmの氷をビーカーに入れた水の中に入れると、氷は一部を水面の上に出して水に浮かびました。このとき、台はかりの目盛りは150gでした。
(1)水面より上に出ている氷の体積はいくらですか。
(2)氷がすべてとけたあとの台はかりの目盛りは何gを示しますか。
(3)氷がすべてとけたあと、氷がとける前に比べて水面の高さはどうなっていますか。
(解き方)
(1)水面より上に出ている氷の体積はいくらですか。
氷が水に浮いているとき、氷の重さ=氷にはたらく浮力であり、氷にはたらく浮力=氷の(水中の)体積です。
氷の重さが30gだから、氷にはたらいている浮力も30g、そして、氷の水中に沈んでいる部分の体積も30立方cmです。
だから、水面より上に出ている氷の体積は33-30=3立方cmです。
(2)氷がすべてとけたあとの台はかりの目盛りは何gを示しますか。
ビーカー・水・氷の重さが下の台はかりにかかっています。
ビーカー+水+氷=150g
氷がとけてもこの関係に変化はありませんから、氷がすべてとけたあとの台はかりの目盛りは150gのままです。
重さ30gの氷が水に浮いているとき、氷にはたらいている浮力も30gです。
この浮力は、氷にはたらく上向きの力であり、氷を水にうかべている力ですが、下の台はかりの台を上に持ち上げる力ではありません。
つまり、台はかりの目盛りには関係しません。
(3)氷がすべてとけたあと、氷がとける前に比べて水面の高さはどうなっていますか。
水は1gが1立方cmです。
だから、氷の重さが30gのとき、氷がとけて水になってしまうとその体積は30立方cmになります。
ところが、(1)で、氷の水中に沈んだ部分の体積は30立方cmでした。
つまり、氷のときも、とけて水になったあとも、氷によって増える体積は30立方cmのままで、かわりません。
水面の高さはずっと変化しません。
大切なこと:氷が水に浮かんでいるとき、氷がとけても水面の高さは変化しない。
水以外の液体と浮力
「ものを水に入れると、ものがおしのけた体積の水の重さと同じだけ軽くなる」がアルキメデスの原理です。
水以外の液体にものを入れると、「ものがおしのけた体積の液体の重さと同じだけ軽くなる」ことになります。
例題5:体積40立方cmのおもりの重さをばねはかりではかったら120gでした。おもりを密度0.8g/立方cmの液体に入れました。
(1)おもりにはたらいている浮力は何gですか。
(2)おもりを液体に入れたあと、ばねはかりの目盛りは何gを示しますか。
(解き方)
(1)水中におもりを入れたとき、おしのけた液体の体積は40立方cmであり、おしのけた液体の重さは0.8×40=32gです。
「ものがおしのけた体積の液体の重さと同じだけ軽くなる」ので、おもりにはたらいている浮力は32gです。
(2)120-32=88gだから、ばねはかりの目盛りは88gを示します。
大切なこと:水以外の液体にものを入れたときの浮力は、浮力=密度×(水中の)体積
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