中1の理科は最初に植物を学びます。
顕微鏡の使い方を学び、水中の微生物を観察します。
テキストには、ミジンコやゾウリムシは運動するので動物、ケイソウやアオミドロは葉緑体をもち光合成をするので植物と書いてあります。

でも、ちょっと考えてみると、この分類はおかしいことに気づきます。
運動するのが動物であるならば、運動をしないものが植物でないとおかしい。
光合成をするのが植物であるならば、光合成しないものが動物のはずです。

どこかに、一種の「ごまかし」があるのです。

だから、ミドリムシは、緑色をしていて光合成をするから植物でもあるし、べん毛で動き回るから動物でもあって、どちらにもふくまれる「変わった奴」だと説明せざるをえません(子どもたちはおもしろいのですぐに覚えてくれるのはよいのですが)。

というわけで、生物の分類の仕方についてあらためて調べてみました。


生物界の分類法

生物はその特徴からグループごとに分類されてきました。

が上位からの分類綱目名です。

例えば、ヒトは、動物界→脊索動物門→脊椎動物亜門→哺乳綱→霊長目(サル目)→真猿亜目→狭鼻下目→ヒト上科→ヒト科→ヒト属→ヒト種に属します。

動物か植物かという分類は、この生物界の最上位の分類分けである「」の問題です。

長い間、生物は素朴に動物と植物とに分けられてきました。
これを、「界」が動物界植物界の2つなので2界説といいます。

ところが、科学が発達するにつれていろいろな生物を単純に動物と植物に2分できないことがわかってきました。

それで、生物を動物界と植物界と菌界の3界に分ける3界説、動物界と植物界と菌界原生生物界に分ける4界説を経て、今では生物を動物界植物界菌界原生生物界原核生物界(モネラ界)に分類する5界説が最も有力な考え方のようです。

まだ、中学校範囲では2界説にとどまっているというか、あえて5界説にはふれないで、ぼやかしたままでおいてあるわけです。
食物連鎖の単元で、生産者(植物)・消費者(動物)・分解者(菌類・細菌類)に分けて学んだりするのは3界説の考え方を取り入れたのかもしれません。


5界説

生物を、動物界植物界菌界原生生物界原核生物界(モネラ界)の5つに分類する考え方を5界説といいます。

動物界・・・細胞に核膜を持つ多細胞生物で、光合成をせず、他の物を食べて栄養分を吸収します。
簡単なつくりをした順に、海面動物(カイメン)・刺胞(しほう)動物(イソグンチャク)。
節足動物へと進化したグループが扁形(へんけい)動物(ヒル)・袋形(たいけい)動物(ワムシ)・環形動物(ミミズ)・軟体動物(イカ・タコ)・甲殻類(エビ・カニ)・ヤスデ類(ヤスデ)・ムカデ類(ムカデ)・クモ類(クモ)・昆虫類(バッタ・チョウ)。
そしてセキツイ動物に進化していったグループが毛ガク動物(ヤムシ)・棘皮(きょくひ)動物(ヒトデ)・原索動物(ホヤ)・魚類(ウナギ)・両生類(カエル)・ハ虫類(トカゲ)・鳥類(ハト)・哺乳類(ヒト)です。

植物界・・・細胞に核膜を持つ多細胞生物で、光合成をして自分で栄養分をつくります。
簡単なつくりの順に、紅藻(こうそう)類(テングサ)・緑藻類(アオサ)・カツ藻類(ワカメ)・シャジクモ類(シャジクモ)・コケ植物(スギゴケ)・シダ植物(ワラビ)・裸子植物(イチョウ)・被子植物単子葉類(ユリ)・被子植物双子葉類(サクラ)となります。

菌界・・・細胞に核膜を持つ多細胞生物で、胞子で生殖し、他のものから栄養分を吸収します。
接合菌類(ケカビ)・子ノウ菌類(アオカビ・コウジカビ)・担子菌類(キノコ)に分かれます。

原生生物界・・・細胞に核膜を持つ単細胞生物です。
繊毛(せんもう)虫類(ゾウリムシ)・根足虫類(アメーバ)・鞭毛(せんもう)虫類(ボルボックス)・細胞性粘菌類(タマホコリカビ)・変形菌類(クモノスホコリ)・卵菌類(ミズカビ)・ウズベン毛藻類(ヤコウチュウ)・ケイ藻類(ケイソウ)・ミドリムシ類(ミドリムシ)がふくまれます。

原核生物界(モネラ界)・・・細胞の核膜がない生物群です。
ウイルス(癌ウイルス)・細菌類(大腸菌)・ラン藻類(ユレモ)の3つです。



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