水蒸気(気体)と水滴(液体)

(1)砂糖やホウ酸を水に溶かすと、溶けて見えなくなります。
(2)砂糖やホウ酸などの溶質は、溶媒である水の温度が高いほどよく溶けます。
(3)溶けた水溶液を冷やしていくと、溶けていた溶質は溶けることができなくなって容器の底に沈殿として現れてきます。

同じことが、水と空気との間に起こっています。

(1)水は、空気にとけて見えなくなります。水は液体で目に見えます。空気にとけると気体の水蒸気であり、水蒸気は目には見えません。
(2)空気にとける水蒸気の量には限界があります(この量を飽和水蒸気量という)。空気の温度(気温)が高いほど水は空気にとけることができます。
(3)空気の温度を下げていくと、空気にとけきれなくなった水蒸気は水になって現われてきます。空気中に浮いていることはできないので、床や壁や窓ガラスに水滴となって出てきます。

水がいくら空気にとけているかは、空気1立方mに何gとけているかで表します(だから、単位はg/立法m)。気温10度だと1立方mに9.3g、気温20度だと17.3g、30度だと30.4gまで、空気にとけることがわかっています(誰か賢い人が、実験で見つけてくれた数値です)。

飽和水蒸気量




露点

今、目の前にある空気にどれくらいの水が水蒸気になってとけているか、学校の理科実験レベルで直接測る方法はありません。空気を切り取ることも、水蒸気だけを取り出すことも難しいからです。
そこで、次のような実験で、空気1立方mに含まれる水蒸気の量を求めます。

露点の実験前日から汲んで水を入れておいた金属製のコップを用意し、温度計で水温を測ります(汲み置きしてあったので、水温は部屋の温度と同じ温度です)。

氷入りの試験管で静かにかき混ぜます(当然、水温は下がり始めます)。

暖かい部屋の温度だと空気に溶けていた水蒸気が、冷やされると空気に溶けることができなくなって水滴になって現われてくるはずです。
この実験の場合、氷入りの試験管によって金属製のコップ内の水の温度は下がり始めます。コップのすぐ近くにある空気の温度もコップに冷やされて下がります。そうすると、ある温度に達したとき、コップの周りの空気にとけていた水蒸気がとけなくなって水滴になってコップの表面につき始めます。このときの温度が、その部屋の空気の露点です。

つまり、露点とは、水滴ができ始めるときの温度です。

例として、部屋の温度が20度、コップ内の水温が10度に下がったときに水滴ができ始めたとしましょう。
20度の飽和水蒸気量・・・17.3g
10度の飽和水蒸気量・・・9.4g
10度の空気は、空気1立方mに9.4gの水蒸気を含むことができるはずです。コップの周りの空気が、9.4gを少しだけ超える水蒸気を含んでいたから、10度で水滴が現われ始めたのです。
つまり、この部屋の空気は、気温20度で空気1立方mに約9.4gの水蒸気を含んでいたことがわかります。
こうして、空気1立方mに何gの水蒸気が含まれていたかを求めることができます。
露点とは、実際の空気1立方mに含まれている水蒸気の量が飽和水蒸気量である温度だということができます。

飽和水蒸気量のグラフ(2)















湿度

湿度を求める公式は、目の前にある(空気1立方mに実際に含まれている水蒸気量÷その気温での飽和水蒸気量)×100です。

湿度の式



(うしろの、×100は何のためにあるのかも確認のこと。例えば、数字の0.18は%にすると18%です。普段は意識していませんが、数値を%にするときは100倍をしているわけです。つまり、この×100は%になおすための×100です。)

水溶液の場合、濃度(%)は、(溶けているものの質量÷水溶液全体の質量)×100です。つまり、全体の「重さ」に対する溶けているものの割合を示すのが濃度の%です。
湿度(%)は違います。ある気温での、もうこれ以上とけない水蒸気量(飽和水蒸気量)を100%として、それに対する割合を表したものです。


湿度の計算問題

パターン1:公式を使うだけの問題

気温24度で、1立方mに17.3gの水蒸気を含む空気がある。この空気の湿度は何%か。四捨五入して整数で答えよ。
飽和水蒸気量



もっとも基本的な問題です。
理科の公式は、「そのまま覚えて、そのまま代入する」のが鉄則。

表より、24度の飽和水蒸気量は21.8gです。
湿度の式これを、公式にそのまま代入します。


湿度の計算(1)
(1)湿度の公式にそのまま代入


(2)×100を先に済ませるのがコツ
あとで、どこで四捨五入するか迷わなくてすみます


(3)そのあと、筆算をします


(4)小数点の位取りもまちがえないように


(5)筆算をすると、答えは79.3になります


(6)「四捨五入して整数で」だから、79%が答えです





パターン2:気温と露点から湿度を求める問題

部屋の気温が20度で、露点が14度であった。湿度は何%か。小数第1位を四捨五入して求めなさい。
飽和水蒸気量



何度か、14/20×100という式を書いている人を見たことがあります。気温の割合を求めたって何も出てきません。
気温は、表を使って水蒸気量を見つけるために使うだけです。
20度の飽和水蒸気量が17.3g、14度の飽和水蒸気量が12.1gです。露点は、実際の水蒸気量が飽和水蒸気量である温度のこと。だから、式は次のようになります。

湿度の計算(2)
(1)湿度の公式にそのまま代入


(2)×100を先に済ませる


(3)そのあと、筆算


(4)小数点の位取りもまちがえないように


(5)筆算をすると、答えは69.9


(6)「小数第1位を四捨五入して」とあるから、70%が答え





パターン3:湿度から水蒸気量を求める問題

気温が30度で湿度が75%の空気がある。この空気1立方mには何gの水蒸気が含まれているか。
飽和水蒸気量




理科らしい、正式なやり方は多分次のようになります。

湿度の計算(3)
(1)求めたい水蒸気量をxとして、湿度の公式にそのまま代入

(2)方程式なので、両辺に分母の30.4をかける

(3)方程式を解いて、水蒸気量22.8gを求める



ただし、この解き方は、かたすぎるというか、本当にレベルの高い人には向いた方法ですが、中学生にはどうなんだろうという気もします。

普通は、次のような解き方のほうがわかりやすいし、中学生らしい解き方かもしれません。

(解き方2)気温が30度だから、飽和水蒸気量は30.4g。これは、湿度100%なら水蒸気量は30.4gという意味である。
湿度が75%だから、その0.75倍。
よって、30.4×0.75=22.8g。



パターン3’:湿度から露点を求める問題

気温が22度で、湿度が29%の空気がある。この空気の露点は何度か。
飽和水蒸気量




気温22度の飽和水蒸気量は19.4gです。湿度29%から、空気1立方mに含まれている水蒸気量は19.4×0.29=5.626g

飽和水蒸気量の表で、5.626gの数値に一番近いのは気温2度のとき。
したがって、解答は2度。



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