神奈川大学は横浜市と平塚市にキャンパスをもち約18,000人が学ぶ総合大学です。

神奈川大学の大きな特徴として奨学金制度の充実度が挙げられますが、そのなかでも最大の支援内容となっているのが「給費生試験」という独自の制度です。

文系400万円、理工系480万円に加え240万円の生活費まで支給!!

神奈川大学の給費生制度は、学費相当額が毎年給付されるうえ、地方出身学生など自宅外通学者には年額60万円もの生活支援金が支給されるという充実した内容となっています。

<給費生制度の内容>
  1. 入学金、委託徴収金を除く初年度納入金免除
  2. 年額100万円(文系学部)、年額120万円(理工系学部)×4年間給付
  3. 自宅外通学者には年額60万円×4年間給付

神奈川大学の年間の授業料と施設費は、文系学部89万円、理工系学部122万円となっているので学費を補うには十分な金額となっています。

しかも、多くの私立大学では給付型と言いながらも実質は減免型であるのに対して、神奈川大学の給費生には実際にお金が振り込まれるので、文系学部の学生の場合は余った奨学金を自由に使うことができます。

また、地方出身者にとって大きな負担となるのが生活費ですが、年額60万円もの生活支援金があれば大学近郊の賃貸物件でも十分に家賃を賄うことができるでしょう。

給費生として入学すれば、入学金の30万円と2万円程度の委託徴収金だけを用意しておけば、お金の心配をすることなく学修に集中できる環境が卒業まで与えられるということです。

では、給費生に採用されるにはどうすればいいのでしょうか。

毎年12月23日に実施される「給費生試験」

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神奈川大学 「給費生試験」

神奈川大学では、毎年12月23日に「給費生試験」を全国の主要都市19会場で実施しており、この試験結果をもとに給費生が選考されます。

全国の19都市で試験会場が設けられているというものポイントです。交通費負担を軽減できるほか、地方出身の私自身も経験しましたが、慣れない都会での受験は想像以上に緊張が強いられて普段通りの力が発揮できないことがあります。

<給費生試験会場 実施都市>
横浜/札幌/仙台/秋田/郡山/水戸/高崎/さいたま/千葉/新潟/金沢/甲府/松本/静岡/名古屋/広島/松山/福岡/那覇

給費生試験は一般入試と同等レベルの3科目で行われ、2014年度は全国で6,523名が受験し、268名が給費生の資格を獲得したそうです。

この結果をみると、かなりハードルが高いことがわかりますが、採用された場合のメリットを考えるとチャレンジする価値が十分にあるといえるでしょう。

また、仮に給費生に採用されなかったとしても、試験結果によって一般入試が免除され入学許可となるもう一つのアドバンテージも用意されており、その場合は大学入学後にその他の奨学金にチャレンジする道が残されています。

続いて、神奈川大学のその他の奨学金を見ていきましょう。

神奈川大の独自奨学金のほとんどが給付型!!

1ページ目で紹介した給費生制度以外にも、神奈川大学では様々な独自奨学金制度を設けており、そのほとんどが返済不要の給付型となっています。

<その他の神奈川大学独自奨学金>
  • 新入生奨学金 / 年間授業料の30%相当額を給付
  • 地方出身学生支援奨学金 / 15万円を給付
  • 修学支援奨学金 一種 / 年間授業料の50%相当額を給付
  • 修学支援奨学金 二種 / 年間授業料の30%相当額を給付
  • 海外活動支援奨学金 / 短期(5万円)、長期(最大80万円)を給付
  • 指定資格取得・進路支援奨学金 / 資格、進路により20万円か30万円を給付
  • 自己実現・成長支援奨学金 / 活動内容により一定額を給付
  • 村橋・フロンティア奨学金 / 毎年度決定額を給付
  • 激励奨学金 / 10万円を給付
  • 後援会給付奨学金 / 20万円を給付
  • 宮陵会奨学金 / 1万円~30万円を貸与
  • 宮陵会給付奨学金 / 学費半期分の50%相当額を給付
上記のほか、大学院生対象のものや約20団体の民間奨学金など数多くの給付型奨学金が用意されているようです。

これほどまでの奨学金制度を用意する理由について、大学のご担当者に訊いてみました。

今から80年前に始まった最も歴史のある奨学金制度

「給費生制度の歴史は古く、創立者の米田吉盛がイギリスのケンブリッジ、オックスフォード両大学の奨学金を参考に制度設計し、本学の前身である横浜専門学校時代の1933年(昭和8年)に、第一回の給費生試験が横浜のほか仙台、名古屋、京都、大阪、広島、福岡の6会場で実施されたのが始まりです。」(入試センター次長 千葉氏)

解説画像

創立者・米田吉盛氏(1898年~1987年)

日本学生支援機構に引き継がれている国の奨学金制度は、1943年(昭和18年)に設立された大日本育英会が始まりとされており、その10年前には独自で奨学金制度に取り組んでいたことに驚きを感じます。しかも、給付型奨学金が求められる現在からすると、米田氏は80年以上時代を先取りしていた独自奨学金の先駆者といえるでしょう。

「愛媛県出身の米田吉盛は12歳から丁稚で働かねばならない苦しい環境のもと、苦学して現在の中央大学を卒業し、29歳の時に若くして横浜学院(横浜専門学校)を設立したそうです」(千葉氏)

お金に苦労しながらも教育の重要性を体感した創立者自身の半生が、全国の学生を支援する給費生制度につながったことが想像できます。

全国主要都市で給費生試験を実施してきたからでしょうが、神奈川大学では地方出身学生が4割を占め、もうひとつの大きな特徴となっています。

「1970年代までは地方の学生が7割を占めていましたが、90年代には5割まで減少しています。様々な地域の出身者と交わることは学生にとっても得るものが大きく、またそれが本学の魅力だと思います。他大学に比べれば4割でも高いといえるでしょうが、それに甘んじることなく、これからも全国に本学の魅力を伝えていきたいと思っています」(千葉氏)

1ページ目で解説した神奈川大学の給費生試験のハードルは高く、狭き門であることは確かです。しかし、地元の国公立大学に進学しても学費だけで4年間で250万円は必要です。試験会場まで遠くなければ、意欲のある受験生は学費だけでなく生活費まで面倒をみてくれる給費生試験へのチャレンジを検討してみてはいかがでしょうか。