例えば、「友人の家をホウモンする」のホウモン、訪門とまちがえる人がいます。正しくは訪問です。
「彼のセンモンは哲学だ」のセンモンも多くの人が書きまちがえます。専門が正しい漢字で、「専」の右上に点を打ってはいけませんし、「門」は「問」ではありません。
また、フクザツのフクは「複」で、オウフクのフクは「復」です。
この稿では、書きまちがえやすいからよく出題される問題のうち、「複雑」や「往復」のように、部首の意味を考えたら正しい漢字が書ける問題を集めてみました。
部首の意味を考えたら正しく書ける漢字
次のカタカナの部分を漢字に直しなさい。
(1)名詞のフクスウ形。
フクスウのフクは「多数ある、複雑である」の意味。
部首のころもへんが織物の糸の複雑さを表す部首だから、ころもへんの「複」を使います。
正解は「複数」。
(2)予習とフクシュウが大切だ。
フクシュウは一度学んだことをもう一度見直すこと。行って戻る往復の「復」と同じ意味。
ぎょうにんべんが行き来することを表す部首だから、ぎょうにんべんの「復」を使います。
正解は「復習」。
帰り道の意味の「復路」の「復」も同様です。
(3)水の表面チョウリョク。
表面チョウリョクとは水の表面が引っ張る力のこと。
弓の弦を引っ張るの張ると同じ意味だから、ゆみへんの「張」です。
正解は「張力」。
(4)テチョウにメモする。
テチョウは紙をとじたノート。昔のノートは布で張ってあったから、布に関係する部首であるはばへんの「帳」を使います。
正解は「手帳」。
(5)カンソウした気候。
カンソウのソウは乾いたという意味の漢字のはず。
このソウはひへんの「燥」です。
正解は「乾燥」。
(6)機械をソウサする。
機械を扱うのは手だから、てへんのはず。
正解は「操作」です。
(7)近寄るのはキケンです。
キケンは「けわしい」の意味。
「陸」、「防ぐ」、「陵」など、こざとへんは盛り上がった丘を表す部首です。
キケンのケンは「険」です。
正解は「危険」。
(8)別の案をケントウする。
ケントウはいろいろ調べ考えること。
木でできたものに関係する部首のきへんの「検」です。
「検査」、「点検」などと同じ用法です。
正解は「検討」。
(9)理科のジッケン。
ジッケンのケンはいろいろ試すこと。
「試験」、「体験」など、うまへんの「験」が、試す意味で使う漢字です。
正解は「実験」。
(10)彼はシンケンだ。
刀を意味する部首がりっとうです。「刈る」、「刑」など。
刀をまじめに扱わないとけがをすることから、シンケンのケンは「剣」。
正解は「真剣」。
(11)人権をオカす。
人権をオカすのは人です。
人を表すにんべんの「侵」を使います。
正解は「侵す」。
(12)過ちをオカす。
人としてしてはいけないことをすること。
人でないもの、つまり、けものがするようなことから、けものへんの「犯」です。
正解は「犯す」。
「オカす」には、「危険をオカす」で使う「冒す」もあります。
(13)備品をコウニュウする。
ものを買うことがコウニュウです。コウニュウするにはお金が必要。
昔、貝がお金として使われたことから、お金に関係する部首がかいへんです。
コウニュウのコウはかいへんの「購」です。
正解は「購入」。
(14)建物のコウゾウを調べる。
木で組み立てられていることから「構造」や「構成」。
きへんの「構」です。
正解は「構造」。
(15)コウドウでコウギする。
コウドウは話を集まって聞く場所のこと、コウギも話をすることです。
言葉に関係する部首のごんべんの「講」のはず。
正解は「講堂」、「講義」です。
(16)排水コウがつまる。
この場合のコウは水が流れるみぞのこと。
水を表す部首のさんずいの「溝」です。
正解は排水「溝」。
(17)規則にイハンする。
イハンはしてはいけないことをすること、道をあやまること。
しんにょうが道や歩くことを表す部首なので、イハンのイはしんにょうの「違」。
正解は「違反」。
(18)イダイな業績だ。
イダイは偉いこと。
偉いのは人だから、にんべんの「偉」です。
正解は「偉大」。
(19)経度とイド。
経度は縦の線、イドは横の線。
糸に関係するから、いとへんの「緯」です。
正解は「緯度」。
(20)戦争のギセイ者。
ギセイとはいけにえにささげられたもののことです。
昔、人はいけにえとして牛を神にささげたことから、ギセイのギもセイもうしへんです。
正解は「犠牲」者。
(21)イッシュンのシュンカンだった。
イッシュンもシュンカンも、目をまばたきするつかの間のこと。
目を表す部首のめへんの「瞬」です。
正解は「一瞬」、「瞬間」。
(22)教会でレイハイする。
レイハイは神に祈ること。
「神」、「祈る」でわかるように、しめすへんは神や信仰に関係する部首です。
レイハイのレイはしめすへんの「礼」です。
正解は「礼拝」。
なお、礼拝をキリスト教では「れいはい」、仏教では「らいはい」と読みます。
(23)秋のシュウカク。
シュウカクは穀物を取り入れること。
穀物に関係する部首はのぎへんです。シュウカクのカクはのぎへんの「穫」。
正解は「収穫」。
(24)獲物をカクトクする。
カクトクはけものを手に入れること。
けものへんの「獲」です。
正解は「獲得」。
(25)地球にキカンする。
キカンは帰ってくること。
道に関係する部首、しんにょうの「還」です。
正解は「帰還」。
(26)カンキョウ問題を考える。
カンキョウは自分のまわりの意味。
王の権威を表す宝石の一つが耳輪などの玉(ぎょく)あったことから、おうへん(たまへん)が、輪、ぐるっとまわったものを表す部首です。
カンキョウのカンはおうへん(たまへん)の「環」です。
正解は「環境」。
(27)カイチュウ時計をハカイする。
カイチュウ時計とは腕時計とちがってポケットに入れて持ち運びする時計です(今でも電車の運転手や車掌が携帯しています)。ふところに入れるので心臓に近いということで、心を表す部首のりっしんべんの「懐」の字をもちいます。
ハカイのカイはばらばらにこわすこと。土の塊がばらばらにこわれることに由来する字なのでつちへんの「壊」です。
正解は「懐中」、「破壊」。
(28)コウガイに移転したコウカがあった。
コウガイは市街地を外れた場所のこと。人の住む場所を表すおおざとの「郊」を使います。近郊農業の「郊」も同じです。
コウカは力が役にたつことだからちからの「効」です。
正解は、「郊外」、「効果」。
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