『単位量あたりの大きさ』も、子どもたちがてこずる単元です。


まず、用語でつまずく
てこずる一つ目の理由は用語です。
子どもにとって、「単位量」は初めて目にする語であり、「~あたり」も、今の子が日常生活で使う言葉ではありません。
問題の説明に入る前に、単位量の語が示す内容、~あたりの意味を解説しなければならない辛さがあります。

余談:私が一番なんとかしてほしい語は、小学3年生で習うリットルの単元名、「かさ」です。いっそのこと容積とでも名づけてくれたほうがどれだけわかりやすいことか。

言葉や概念の説明をひとしきりした後、問題の説明に入ります。


単位量あたりの大きさを求める
例題:ガソリン10リットルで20km走る自動車がある。1リットルあたり何km走ることができるか?また、1km走るのに何リットルのガソリンを使うか?

単位量の意味、~あたりの考え方をいろいろな角度から説明しても、説明に納得してもらえませんし、なかなかうまく解けるようにはなりません。
で、結局、1ページほど問題と悪戦苦闘させた後、「難しいね、実は、こんな考え方もあるんだけど…」ということで次のようなやり方を提案します。

(教え方)式を立てるとき、求めたい答えの単位と同じ単位をもつ数量を、式の前に持っていきなさい。そして式の後(うしろ)に「~あたり」がついたほうの数値を入れなさい。

1リットルあたり何km走るか?だと、kmを聞いているから20kmが前、~あたりがついているリットルが後、だから20÷10=2km。
1km走るのに何リットルか?だと、リットルを尋ねているからリットルが前、kmが後、10÷20=0.5リットル。

効果
算数がそう得意でない子には、「~あたり」のついたほうがいつも後!が、効きます。

が、子どもたちに本当に知ってほしいのは、算数では、式の前のほうの数値についた単位と答えの単位は一致するんだよ!のほうです(これは実は正確ではありません。後述します。)

この説明で、なんとか全員ができるようになります。
 
しかし、まだ正解ではない
(この、「できるようになります」は、式ができて、その式の答えも出てくるという意味です。問題の答えとして合っているかどうかは、また別問題です。つい油断すると、次のようなことをしてしまいます。
Aの公園は30平方mで6人の子どもが遊んでいます、Bの公園は40平方mで10人の子どもが遊んでいます。どちらの公園がこんでいますか?
式は、面積÷人数でも、人数÷面積でもどちらでもよいのですが、往々にして出てきた順番通りに面積÷人数で解く子のほうが多い。で、A30÷6=5、B40÷10=4、解答欄を見ると、数字の大きい方だからでしょう、Aと書いてある。
「式の前のほうの単位と答えの単位は一緒だよ。だから5平方m、4平方mだよね。(そうだよ!と子ども。)狭い家と広い家、どっちがこんでるの?広い家のほうがこんでるの?」と言うと、やっと、「ああ!」と間違いに気づく。算数というより国語の間違いをする子が多いのも最近目につきます。)


人口密度を求める問題
『単位量あたりの大きさ』では人口密度も学習します。

人口密度=人口÷面積の公式は全員すっと覚えます。

うちで使っている教科書準拠のワークだと、教科書と同じで、人口密度の問題には電卓マークがついています。
去年までは「電卓なんか算数ちゃうわ!塾では人間電卓でいけ!」と言って、電卓は使わせずに筆算をさせていました。今年は、架空の数字で作られた、ちゃんと割り切れる問題は筆算でさせますが、実際の地理の統計の数字を用いた、割り切れない問題は塾でも電卓を使わせるようにしました。今の子ども、電卓さえちゃんと扱えない子がいることがわかってきたからです。ところが、電卓を使っても、最初は正解率2割程度です。

例題:京都府(面積4613平方km、人口264万人)の人口密度を上から2けたの概数で求めなさい。

まず、問題中の人口の万の字を見落としてしまう(264万の万が算数で意味があるということに気づかないのかも)子が珍しくありません(というかほとんどです)。「眺めて」はいますが、ちゃんと「読んで」はいないのです。

さらに万を指摘して2640000÷4613と電卓で計算して572.295686104が表示されても、答えを見たら57人と書いている子が続出します。筆算をさせないとこうなります。

まともに説明しても一様にぽかんとしています。「君な、財布に572円持ってて、約何円持ってるかって聞かれて、約57円って答えるの?」と言うと初めてわかってくれます。

これが現代の普通の子の実態です。ゆとり世代、おそるべし。

算数の全目次はこちら
小学校 算数 分野別学習目次