高校入試で、小論文が出題される学校があります大学入試でさえ、系統的に学ぶのは難しい小論文。中学生にとっては、さらに難物です。何をどう書けばよいのか?作文と小論文はどう違うのか?

そこで、まず、実際に中3生が書いた、模範的な小論文の例を示して、皆さんの参考にしていただければと思いました。
公立高校入試の直前、私の塾で小論文の添削指導をしました。提出された小論文の中で、私がほぼパーフェクトと評価した小論文です。

課題は、平成22年度大阪府公立高校入試で出題された題名のうちの一つです。


小論文の課題:『身近な人たちの言葉に感動した経験をもとに、「ことばの大切さ」という題で、あなたの考えを書きなさい。(600字程度で書くこと)』


答案

なぜ言葉が大切なのかと問われれば、多くの人々は、自分が考えたり、感じたりしたことを相手に伝えるには、言葉で話さなければ伝わらないからだと答えるだろう。確かに、言葉にしなければ伝わらないことはたくさんあると思う。しかし、言葉の大切さとは、それだけなのだろうか。
先日、学校で、普段は腕っぷしが強くて、先生の言うことなどあまり聞かないような友人が、担任の先生に対して、「ありがとう」と言っているのを見かけた。その友人は、顔を真っ赤にして、とても照れくさそうにしていて、いつもの友人からは想像できないような態度だった。しかし、僕はその時、これが本当の友人の姿なのだと自然と思うことができたのである。おそらく、担任の先生も、それが分かっていたから、やさしい笑顔で友人の言葉を受けとめていたのだと思う。
また、普段はお調子者の友人が、自分の将来の夢について話してくれたとき、とても真剣に話してくれた。僕も自然と友人の話に聞き入ることができた。
これらの体験を通して、自分が本当に伝えたいことを相手に伝えようとするとき、同時に自分らしさも相手に伝わることが分かった。
つまり、言葉は単に相手に何かを伝えるためのものではなく、自分らしさを知ってもらう意味でも大切なのである。言葉が伝えてくれるものは多い。そこに言葉の大切さがあるのである。
(586字)


私は、中学生の小論文としてはほぼ完璧だと評価したのですが、如何でしょうか?


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