力と圧力の単位の変遷
わが国は1951年の計量法で、計量の単位としてメートル法を採用しました。
さらに1954年の国際度量衡総会でメートル法を拡張した国際単位系(SI:The International System of Units)が採択され、日本は1991年の日本工業規格(JIS)より、国際単位系を採用することになりました。
その結果、2002年の学習指導要領に準拠した現行の教科書から、理科の単位も国際単位系にそったものにかわりました。
それまでの教科書では力の単位としてg重(グラム重)、kg重(キログラム重)をもちい、圧力の単位としてはg重/cm2(グラム重毎平方センチメートル)が使われていましたが、現行の教科書から力の単位はN(ニュートン)、圧力の単位はN/m2(ニュートン毎平方メートル)になっています。

N(ニュートン)
国際単位系による力の単位がN(ニュートン)です。
1kg(キログラム)の質量をもつ物体に1m/秒2(メートル毎秒毎秒)の加速度を生じさせる力を1N(ニュートン)と決めて、それを力の単位としました。
ニュートンを定義するのに「質量」と「加速度」の語が出てきますので、「質量」と「加速度」について理解しておく必要があります。
質量
国際単位系では、「プラチナ90%、イリジウム10%の合金でできた直径39mm、高さ39mmの円柱形の国際キログラム原器」の質量を1kgとします。
その国際キログラム原器の2個分の質量のものが2kg、3個分の質量が3kg、…であり、また、1000分の1個分が1gです。
質量は、その物体に固有の量であり、地球上であろうが月面上であろうが宇宙空間であろうが、どこにいっても質量は変わりません。
質量が大きいとその物体にはたらく重力も質量に比例して大きくなり、また質量の大きいものを動かすには大きな力を加えないといけませんが、質量と重力(重さ)・力とは、比例はするものの、まったく別のものです。
重さ
ふだんの生活では重さの単位としてkgやgを使っていますが、理科ではkgやgは質量の単位であり、重さの単位ではありません。
理科でいう重さとはその物体にはたらく重力のことであり、地球上だと、その物体と地球が引き合う力のことを重さといいます。
つまり、「重さ」は「重力」と「力」と同じものであり、質量とは別のものです。
重力は、引き合うものの質量に比例し、引き合うものの中心間の距離に反比例するので、地球より小さい質量の月面上だと、重力は地球の6分の1になります。つまり、月では物体の重さは地球上の重さの6分の1になります。
地球上で、質量1kgの物体にはたらく重力の大きさを1kg重(または1kgf)ということがあります(以前の理科の教科書は力の単位としてこちらを採用していました)。
1g重、1kg重のほうが生活感覚からはわかりやすいのですが、現行の教科書は力、重力、重さの単位として1Nを採用したので1g重、1kg重は使いません。
加速度
1秒間に変わる速さの量、式にすると「速さの変化÷秒」が加速度です。
運動している物体があり、aという時間のその物体の速さがxm/秒、bという時間のその物体の速さがym/秒のとき、「(y-x)m/秒÷(b-a)秒」が加速度です。
速さを変えるには(加速度を生じさせるには)、物体に力を加える必要があります。
例えば、ずっと100m/秒で運動し続けている物体は、速さが変化していないので(等速運動なので)加速度は0ですから、その物体にはまったく力がはたらいていません。
また、地球上で手に持った物体をはなすと、手をはなした瞬間の速さは0ですが、1秒後には9.8m/秒、2秒後には19.6m/秒と速さが変わります。1秒で9.8mずつ速くなっているので、加速度は9.8m/秒2です。
このとき(自由落下運動といいます)速さが変わるのは、重力という力が加わっているからです。
「100gの物体にはたらく重力を1Nとする」と書いてある理由
1kg(キログラム)の質量をもつ物体に1m/秒2(メートル毎秒毎秒)の加速度を生じさせる力が1ニュートンです。
ところで、力の分野の問題ではよく、「100gの物体にはたらく重力を1Nとする」と書いてあります。
なぜでしょうか?
実験によって、地球上にある物体を落下させると、すべての物体は9.8m/秒2の加速度で加速することがわかっています。
(正確には、9.8m/秒2は平均値であり、場所によって加速度は違います。一般に高緯度の地点のほうが低緯度の地点より加速度は大きくなります。例えば、札幌の加速度は9.80m/秒2、那覇の加速度は9.79m/秒2です。)
そうすると、「質量1kgの物体に1m/秒2の加速度を生じさせる力が1N」であり、地球上にある質量1kgの物体に加わる加速度は9.8m/秒2であるということから、地球上の質量1kgの物体にはたらく重力は、1Nの9.8倍の、9.8Nだということになります。
1kg・・・1m/秒2・・・1Nだから、
1kg・・・9.8m/秒2・・・9.8N
また、1kgにはたらく重力=9.8Nだから、(その10分の1の)100gにはたらく重力=0.98Nです。
このように、正確には「100gの物体にはたらく重力は0.98N」なのですが、0.98だと計算がややこしくなるし、0.98は1に非常に近いので、それで中学生の問題だと「100gの物体にはたらく重力を1Nとする」と、近い数値で書いてあるのです。
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わが国は1951年の計量法で、計量の単位としてメートル法を採用しました。
さらに1954年の国際度量衡総会でメートル法を拡張した国際単位系(SI:The International System of Units)が採択され、日本は1991年の日本工業規格(JIS)より、国際単位系を採用することになりました。
その結果、2002年の学習指導要領に準拠した現行の教科書から、理科の単位も国際単位系にそったものにかわりました。
それまでの教科書では力の単位としてg重(グラム重)、kg重(キログラム重)をもちい、圧力の単位としてはg重/cm2(グラム重毎平方センチメートル)が使われていましたが、現行の教科書から力の単位はN(ニュートン)、圧力の単位はN/m2(ニュートン毎平方メートル)になっています。

N(ニュートン)
国際単位系による力の単位がN(ニュートン)です。
1kg(キログラム)の質量をもつ物体に1m/秒2(メートル毎秒毎秒)の加速度を生じさせる力を1N(ニュートン)と決めて、それを力の単位としました。
ニュートンを定義するのに「質量」と「加速度」の語が出てきますので、「質量」と「加速度」について理解しておく必要があります。
質量
国際単位系では、「プラチナ90%、イリジウム10%の合金でできた直径39mm、高さ39mmの円柱形の国際キログラム原器」の質量を1kgとします。
その国際キログラム原器の2個分の質量のものが2kg、3個分の質量が3kg、…であり、また、1000分の1個分が1gです。
質量は、その物体に固有の量であり、地球上であろうが月面上であろうが宇宙空間であろうが、どこにいっても質量は変わりません。
質量が大きいとその物体にはたらく重力も質量に比例して大きくなり、また質量の大きいものを動かすには大きな力を加えないといけませんが、質量と重力(重さ)・力とは、比例はするものの、まったく別のものです。
重さ
ふだんの生活では重さの単位としてkgやgを使っていますが、理科ではkgやgは質量の単位であり、重さの単位ではありません。
理科でいう重さとはその物体にはたらく重力のことであり、地球上だと、その物体と地球が引き合う力のことを重さといいます。
つまり、「重さ」は「重力」と「力」と同じものであり、質量とは別のものです。
重力は、引き合うものの質量に比例し、引き合うものの中心間の距離に反比例するので、地球より小さい質量の月面上だと、重力は地球の6分の1になります。つまり、月では物体の重さは地球上の重さの6分の1になります。
地球上で、質量1kgの物体にはたらく重力の大きさを1kg重(または1kgf)ということがあります(以前の理科の教科書は力の単位としてこちらを採用していました)。
1g重、1kg重のほうが生活感覚からはわかりやすいのですが、現行の教科書は力、重力、重さの単位として1Nを採用したので1g重、1kg重は使いません。
加速度
1秒間に変わる速さの量、式にすると「速さの変化÷秒」が加速度です。
運動している物体があり、aという時間のその物体の速さがxm/秒、bという時間のその物体の速さがym/秒のとき、「(y-x)m/秒÷(b-a)秒」が加速度です。
速さを変えるには(加速度を生じさせるには)、物体に力を加える必要があります。
例えば、ずっと100m/秒で運動し続けている物体は、速さが変化していないので(等速運動なので)加速度は0ですから、その物体にはまったく力がはたらいていません。
また、地球上で手に持った物体をはなすと、手をはなした瞬間の速さは0ですが、1秒後には9.8m/秒、2秒後には19.6m/秒と速さが変わります。1秒で9.8mずつ速くなっているので、加速度は9.8m/秒2です。
このとき(自由落下運動といいます)速さが変わるのは、重力という力が加わっているからです。
「100gの物体にはたらく重力を1Nとする」と書いてある理由
1kg(キログラム)の質量をもつ物体に1m/秒2(メートル毎秒毎秒)の加速度を生じさせる力が1ニュートンです。
ところで、力の分野の問題ではよく、「100gの物体にはたらく重力を1Nとする」と書いてあります。
なぜでしょうか?
実験によって、地球上にある物体を落下させると、すべての物体は9.8m/秒2の加速度で加速することがわかっています。
(正確には、9.8m/秒2は平均値であり、場所によって加速度は違います。一般に高緯度の地点のほうが低緯度の地点より加速度は大きくなります。例えば、札幌の加速度は9.80m/秒2、那覇の加速度は9.79m/秒2です。)
そうすると、「質量1kgの物体に1m/秒2の加速度を生じさせる力が1N」であり、地球上にある質量1kgの物体に加わる加速度は9.8m/秒2であるということから、地球上の質量1kgの物体にはたらく重力は、1Nの9.8倍の、9.8Nだということになります。
1kg・・・1m/秒2・・・1Nだから、
1kg・・・9.8m/秒2・・・9.8N
また、1kgにはたらく重力=9.8Nだから、(その10分の1の)100gにはたらく重力=0.98Nです。
このように、正確には「100gの物体にはたらく重力は0.98N」なのですが、0.98だと計算がややこしくなるし、0.98は1に非常に近いので、それで中学生の問題だと「100gの物体にはたらく重力を1Nとする」と、近い数値で書いてあるのです。
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