あたためた水に砂糖などの固体を多量に溶かすと、砂糖は水に溶けて見
えなくなります。
その水を冷やすと、溶けなくなった砂糖の粒がコップの底に沈殿してきて、目で見えるようになります。
同じように、あたたかい空気の中には多量の水が溶けており、気体の
水蒸気となって存在しています。水蒸気は気体なので目には見えません。
その空気を冷やすと、溶けなくなった水蒸気が水にもどります。
水蒸気が凝結して小さな水の粒(水滴)になって目に見えるようになったもののうち、空気中に浮かんでいるものを雲や霧(きり)、物の表面に付いたものを露(つゆ)や霜(しも)といいます。
雲…高い場所にある空気中に水滴がうかんでいる。
霧…地表近くにある空気中に水滴がうかんでいる。
露…空気中の水蒸気が水滴になって物の表面に付着している。
霜…気温が低いとき、空気中の水蒸気が氷となって物の表面に付着している。
雲のでき方
雲は、上昇気流によって空気のかたまりが上昇していくときにできます。
上昇気流ができるのは、(1)地面が太陽の熱であたためられ、地面の上の空気もあたためられて周りの空気より軽くなったとき、(2)風が高い山にぶつかって山の斜面にそって上昇するとき、(3)あたたかい空気(軽い)と冷たい空気(重い)がぶつかり、軽いほうのあたたかい空気が冷たい空気の上に向かって移動するときの3つであり、このとき雲ができます。
なぜ、上昇気流で雲ができるのか?
地表近くにある空気のかたまりは、上にのっている大気も多いので大きな気圧でぎゅっと押されています。
空気のかたまりが上昇すると、上にのっている大気が減り、それだけ気圧も小さくなり、まわりの大気から押される力が小さくなるので膨張します。
空気のかたまりは膨張すると急激に温度が下がります。
上空のほうが気温が低いので空気のかたまりの温度も下がって雲ができるのではありません。
周囲の気温に関係なく、空気のかたまりは膨張するだけで温度が下がるのです(最も重要な部分なので後でもう一度ふれます)。
温度が下がって露点に達すると空気に溶けていた水蒸気が液体の水になり、水滴となって空気中にうかんだ状態になります(露点についてはこちらを参照)。これが雲です。
気温が0°以下のときは水蒸気は氷の結晶なってうかびます。
雲ができるときの順序は、上昇する→膨張する→温度が下がる→露点に達する→雲ができる、です。
空気は膨張するだけで温度が下がる
空気などの気体は、温めたり冷やしたりしなくても(断熱)、ただ膨張させるだけ(断熱膨張)で温度が下がり、圧縮するだけ(断熱圧縮)で温度が上がります。
圧縮するだけで空気の温度が上がることは、家庭にある自転車の「空気入れ」で確かめることができます。
空気入れの吹き出し口を指で強く押さえて空気ができるだけ吹き出ないようにして、何度も空気入れを押します。そうすると、中の空気が圧縮されて温度が上がり、空気入れの本体やゴム管が熱くなっていることを確かめられます。
また、海に潜るときに使う酸素ボンベには液体酸素が入っていますが、酸素の凝固点は-219度であり、-219度まで冷やさないと気体の酸素は液体にはなりません。ではどうやって液体酸素をつくるかというと、酸素の気体を急激に膨張させるのです。そうすると、急激に温度が下がって酸素は液体になります(実際に空気から液体酸素をつくる工程はもっと複雑ですが原理は変わりません)。
気体が膨張するとき温度が下がるのは、膨張してまわりの空気の圧力にさからって気体の体積が大きくなるとき、気体の持っていた熱エネルギーが使われるからです。
雲をつくる実験
中を水でぬらした丸底フラスコの中に線香の煙を入れたものを用意します。大きい注射器とつなぎ、ピストンをすばやく引きます。

ピストンを引くことで、フラスコ内の空気は膨張します。
空気は膨張することで温度が下がります。
露点に達し、フラスコ内の水蒸気が水滴になってフラスコの中が曇ります(雲ができます)。
線香の煙を入れるのは、線香の煙の粒子が水蒸気が凝結するときの核になって雲ができやすくなるからです。
ピストンを押すと、フラスコ内の空気は圧縮され、温度が上がり、雲は消えます。
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その水を冷やすと、溶けなくなった砂糖の粒がコップの底に沈殿してきて、目で見えるようになります。
同じように、あたたかい空気の中には多量の水が溶けており、気体の

その空気を冷やすと、溶けなくなった水蒸気が水にもどります。
水蒸気が凝結して小さな水の粒(水滴)になって目に見えるようになったもののうち、空気中に浮かんでいるものを雲や霧(きり)、物の表面に付いたものを露(つゆ)や霜(しも)といいます。
雲…高い場所にある空気中に水滴がうかんでいる。
霧…地表近くにある空気中に水滴がうかんでいる。
露…空気中の水蒸気が水滴になって物の表面に付着している。
霜…気温が低いとき、空気中の水蒸気が氷となって物の表面に付着している。
雲のでき方
雲は、上昇気流によって空気のかたまりが上昇していくときにできます。
上昇気流ができるのは、(1)地面が太陽の熱であたためられ、地面の上の空気もあたためられて周りの空気より軽くなったとき、(2)風が高い山にぶつかって山の斜面にそって上昇するとき、(3)あたたかい空気(軽い)と冷たい空気(重い)がぶつかり、軽いほうのあたたかい空気が冷たい空気の上に向かって移動するときの3つであり、このとき雲ができます。
なぜ、上昇気流で雲ができるのか?

空気のかたまりが上昇すると、上にのっている大気が減り、それだけ気圧も小さくなり、まわりの大気から押される力が小さくなるので膨張します。
空気のかたまりは膨張すると急激に温度が下がります。
上空のほうが気温が低いので空気のかたまりの温度も下がって雲ができるのではありません。
周囲の気温に関係なく、空気のかたまりは膨張するだけで温度が下がるのです(最も重要な部分なので後でもう一度ふれます)。
温度が下がって露点に達すると空気に溶けていた水蒸気が液体の水になり、水滴となって空気中にうかんだ状態になります(露点についてはこちらを参照)。これが雲です。
気温が0°以下のときは水蒸気は氷の結晶なってうかびます。
雲ができるときの順序は、上昇する→膨張する→温度が下がる→露点に達する→雲ができる、です。
空気は膨張するだけで温度が下がる
空気などの気体は、温めたり冷やしたりしなくても(断熱)、ただ膨張させるだけ(断熱膨張)で温度が下がり、圧縮するだけ(断熱圧縮)で温度が上がります。
圧縮するだけで空気の温度が上がることは、家庭にある自転車の「空気入れ」で確かめることができます。
空気入れの吹き出し口を指で強く押さえて空気ができるだけ吹き出ないようにして、何度も空気入れを押します。そうすると、中の空気が圧縮されて温度が上がり、空気入れの本体やゴム管が熱くなっていることを確かめられます。
また、海に潜るときに使う酸素ボンベには液体酸素が入っていますが、酸素の凝固点は-219度であり、-219度まで冷やさないと気体の酸素は液体にはなりません。ではどうやって液体酸素をつくるかというと、酸素の気体を急激に膨張させるのです。そうすると、急激に温度が下がって酸素は液体になります(実際に空気から液体酸素をつくる工程はもっと複雑ですが原理は変わりません)。
気体が膨張するとき温度が下がるのは、膨張してまわりの空気の圧力にさからって気体の体積が大きくなるとき、気体の持っていた熱エネルギーが使われるからです。
雲をつくる実験
中を水でぬらした丸底フラスコの中に線香の煙を入れたものを用意します。大きい注射器とつなぎ、ピストンをすばやく引きます。

ピストンを引くことで、フラスコ内の空気は膨張します。
空気は膨張することで温度が下がります。
露点に達し、フラスコ内の水蒸気が水滴になってフラスコの中が曇ります(雲ができます)。
線香の煙を入れるのは、線香の煙の粒子が水蒸気が凝結するときの核になって雲ができやすくなるからです。
ピストンを押すと、フラスコ内の空気は圧縮され、温度が上がり、雲は消えます。
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