誰でも簡単に電流回路の計算問題を解けるようになる方法を考察します。

計算問題を解くときに使う道具は、「電流の性質」、「電圧の性質」、「抵抗の性質」、「オームの法則」ですが、この稿では「電流の性質」、「電圧の性質」、「抵抗の性質」の3つについてまとめます。
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電流の性質

「電池の+極から流れ出た電流はそのまま-極にもどってくる」と考えます。

直列回路の場合

「電池の+極から流れ出た電流はそのまま-極にもどってくる」ので、1本道の直列回路の場合、どの場所で測定しても電流は等しい。

1左図のA点で電流が1.6Aだとすると、B点も、C点も、電流は1.6Aです。





並列回路の場合

「電池の+極から流れ出た電流はそのまま-極にもどってくる」ことは同じですが、途中で枝分かれする並列回路の場合、分かれる前の電流と、分かれた後の電流の和と、再び合流した後の電流が等しくなります。

2左図のD点で1.6Aの電流が流れていたとします。
その1.6Aの電流が分かれてE点とF点に流れます。したがって、E点に1.2Aの電流が流れていたとすると、F点を流れる電流は0.4Aです。
そして、再び合流した後、G点を流れる電流は1.6Aです。



電圧の性質

電流を流そうとするはたらき」が電圧です。

回路の途中にある豆電球や電気抵抗は電流の流れをさまたげるものです。
豆電球や抵抗がなければ、何もしないでも電流は流れます。

豆電球や抵抗があると、そこに電流を流すには力を加えて電流を押してやらないといけません。この、電流を流そうと押す力が電圧です。

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直列回路の場合

4例として、電流を流すために0.8Vの電圧が必要な抵抗と、0.7Vの電圧が必要な抵抗があるとすると、合わせて1.5Vの電圧で押す必要があります。
そのためには、電池が1.5Vの電圧で電流を押し出さないといけません。

つまり、電源の電圧は、各抵抗に必要な電圧の和になります。

抵抗が何もない回路の部分では、電流は何もしないでも流れるので、電圧は0Vです。


並列回路の場合

5並列回路の場合、左図の下の2つの抵抗に電気を流すのに必要な力で、電池は電流を押し出さないといけません。
例えば、電池から1.5Vの電圧で電流が押し出されると、2つの抵抗のどちらにも同じ電圧の1.5Vがかかります。

同じ電圧なので、もし2つの抵抗の大きさがちがえば、抵抗の小さいほうにたくさんの電流が流れ、抵抗の大きいほうに少ない電流が流れることになります(同じ抵抗なら、同じ量の電流が流れます)。

重要なことは、並列回路では、各抵抗にかかる電圧と、回路電圧にかかっている電圧と、電池の電圧とが、すべて等しいことです。

並列回路では、すべての電圧等しい」、これは直感ではわかりにくいので、特に意識しておく必要があります。


抵抗の性質

抵抗(電気抵抗)とは、「電流の流れにくさ」のことです。

豆電球も抵抗の1つですが、特に抵抗というときは電熱線や抵抗器のことを抵抗といいます。

抵抗とは、電流の流れるのをさまたげようとするもののことであり、「電流の流れにくさ」を抵抗の値と定義します。

直列回路の場合

6直列回路だと、電流の流れるのをじゃまする抵抗が2つ続くことになります。

それだけ電流は流れにくくなるので、全体の抵抗の値は大きくなります。






8例えば、Aの抵抗が8ΩでBの抵抗が7Ωだと、全体の抵抗は15Ωになります。

抵抗のない部分、Cの抵抗は0Ωです。




並列回路の場合

常識に反する結果になるように見えるのが並列回路の抵抗です。
並列回路だと、全体の抵抗はそれぞれ1つ1つの抵抗の値より小さくなります。

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例えば、左の回路図で、Dの抵抗が12Ω、Eの抵抗が18Ωだと、全体の抵抗は7.2Ωになります。

なぜでしょうか?





下の図のように理解すると納得できます。
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抵抗が並列に並ぶことで、回路の道幅が広くなっています。

せまい道だから流れるのをじゃまされていた電流が、道が広がったことによって流れやすくなるのです。




並列回路だと、全体の抵抗はそれぞれ1つ1つの抵抗の値より小さくなる」、これも非常に重要です。


(参考)
今の教科書では使いませんが、並列回路の抵抗の間には次の公式が成り立ちます。
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抵抗は「電流の流れにくさ」ですから、抵抗が大きくなると流れる電流は小さくなります。例えば、抵抗が2倍になると、2倍流れにくくなるので流れる電流は1/2になります。反比例です。
つまり、抵抗がR倍になると、流れる電流は1/Rになるのです。上の式はそのことを表しています。

9左の回路図で全体の抵抗が7.2Ωになるのはそれでです。

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