この稿では、標準的な計算問題を取り上げます。

問題を解くときに注意することは、

1、オームの法則V=IR、I=V/R、R=V/Iを使う前に、回路の性質である
(1)直列回路は電流が等しい、
(2)並列回路は電圧が等しい、
(3)並列回路の全抵抗は各抵抗より小さい、
の3つを先に考える。

2、オームの法則の3つの式をまちがえないように使うために、問題を解くときは次の図を覚えて、かいておく。

オームの法則1オームの法則2







3、理科では、問題文に書いてあること、わかったことを図にかき込んでから解く。


例題4:次の回路について、各問いに答えなさい。
例題4(1)BG間の抵抗の大きさは何Ωか。
(2)回路全体の抵抗の大きさは何Ωか。
(3)A点を流れる電流の大きさは何Aか。
(4)C点を流れる電流の大きさは何Aか。
(5)AB間の電圧の大きさは何Vか。
(6)EF間の電圧の大きさは何Vか。




(解答)
(1)BG間の抵抗の大きさは何Ωか。
BG間にある2つの抵抗がともに4Ωであることから、解くことができます。
同じ値の抵抗2つで並列になっているとき、2つを合わせた全体の抵抗はもとの抵抗の半分になります。
道が2倍に広がったので電流はそれだけ流れやすくなった、抵抗は半分になったと考えます。
よって、2Ω。
(2)回路全体の抵抗の大きさは何Ωか。
AB間の抵抗が3ΩでBG間の抵抗が2Ωであり、相互は直列になっていると考えて、3+2=5Ω。
求めた数値はすぐに図にかきこんでおきます。
(3)A点を流れる電流の大きさは何Aか。
例題4の2(2)より、回路全体の抵抗が5Ω、回路全体にかかっている電圧(電源の電圧)が6Vなので、回路を流れている電流はI=V/Rより、I=6/5=1.2A。
この問題のように、電流回路の標準的な問題では前の問題で求めた数値をもちいて後の問題を解いていきます。だから、後で解く問題のために、求めた数値をすぐに図にかいておかないといけないのです。




(4)C点を流れる電流の大きさは何Aか。
この問題を解くには2つの方例題4の3法があります。
まず、1つ目の方法。Aを流れている電流は1.2Aでした。それが並列になったところから2つに分かれて流れることになります。ところが、並列の部分の抵抗が4Ωどうしで等しいので、流れる電流も等しい、つまり二等分されて流れるということになります。よって、C点を流れる電流は1.2A÷2=0.6A。
もう1つの方法は、A点を流れる電流が1.2Aで、それが3Ωの抵抗を流れることからAB間の電圧を求めて、それを利用して解く方法です。AB間の電圧は、V=1.2×3=3.6V。すると、BG間の電圧は全電圧から3.6Vをひいた6-3.6=2.4V。CD間、EF間の電圧は並列回路だからBG間の電圧と等しいので2.4V。以上より、I=V/R=2.4/4=0.6A。
(5)AB間の電圧の大きさは何Vか。
V=IRより、1.2×3=3.6V。
(6)EF間の電圧の大きさは何Vか。
AB間の電圧が3.6Vで全体の電圧が6Vだから、6-3.6=2.4V。
または、Eを流れている電流も0.6A。V=IRより、0.6×4=2.4V


例題5:
図のように、電気抵抗4Ω、6Ω、3Ω、2Ωの電熱線P、Q、R、Sをつないだ回路をつくり、6Vの電圧をかけたところ、電流計は0.75Aを、電圧計は1.5Vを示した。これについて、次の各問いに答えなさい。
例題5(1)同じ大きさの電流が流れている電熱線はどれとどれか。次のア~エから1つ選び、その記号を書け。
ア PとQ  イ RとS  ウ QとR  エ PとS
(2)電熱線Pにかかっている電圧は何Vか。
(3)電熱線Sにかかっている電圧は何Vか。
(4)電熱線Qに流れている電流は何Aか。
(5)電熱線Rに流れている電流は何Aか。




(解答)
解き始める前に、問題に書いてあった数値で図にかいてないものをかき写しておきます。
例題5の2(1)同じ大きさの電流が流れている電熱線はどれとどれか。次のア~エから1つ選び、その記号を書け。
ア PとQ  イ RとS  ウ QとR  エ PとS
Pを流れていた電流がQとRに分かれた後、再び合わさってSを流れるので、答えはエです。
(2)電熱線Pにかかっている電圧は何Vか。
V=IRより、0.75×4=3V。
(3)電熱線Sにかかっている電圧は何Vか。
(1)よりSを流れる電流は0.75Aだから、V=IRより、0.75×2=1.5V。
または、全体の電圧が6Vで、Pの両端の電圧が3V、電圧計の電圧が1.5Vだから、6-3-1.5=1.5V。
例題5の3
(4)電熱線Qに流れている電流は何Aか。
電圧計が1.5Vだから、並列部分のQもRも両端にかかる電圧は同じく1.5V。
I=V/Rより、1.5/6=0.25A。
または、0.75Aの電流が分かれてQとRに流れ、抵抗はQ:R=6:3=2:1だから、逆に流れる電流はQ:R=1:2。0.75を1:2で分けた1のほうだから0.75×1/3=0.25A。
(5)電熱線R
に流れている電流は何Aか。
I=V/Rより1.5/3=0.5A。
または、0.75-0.25=0.5A。
または、0.75Aを1:2に分けた2のほうだから0.75×2/3=0.5A。



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