仕事

物体にを加えて、その力の向きに物体を動かしたとき、「仕事」をしたという。

力を加えても動かないとき、仕事の大きさ=0であり、仕事をしたとはいえない。

重力に逆らって持ち上げたときは、力の向きに移動したから仕事である。
持ち上げたまま横に動いたとき
は、加えた力の向き(上向き)と移動の向き(水平方向)が違うから、仕事をしたとはいえない。

仕事の大きさ()=の大きさ()×移動距離

物体を持ち上げるとき
加える力は、物体にはたらく重力と同じ大きさである。
仕事(J)=重力(N)×持ち上げた高さ(m)

床に置いた物体を横に動かすとき
加える力は、物体と床の面との間にはたらく摩擦力と同じ大きさである。
仕事(J)=摩擦力(N)×移動距離(m)


仕事の原理

滑車斜面を理科では「道具」ということがある。
動滑車斜面を使うと、物体にはたらく重力よりは小さい力で物体を動かすことができる。
しかし、この場合、大きい距離を移動させないと同じ高さに到達しない。

定滑車

定滑車天井に固定された滑車を定滑車という。

aNの物体を持ち上げるにはaNの力でひもを引かないといけない。また、bm持ち上げるには、ひももbm引く必要がある。

つまり、定滑車は、物体の移動の向き(上向き)と、ひもを引く向き(下向き)が違うだけで、力も距離も等しいままである。






動滑車

動滑車
物体を移動させると、滑車も動く滑車を動滑車という。

図を見たらわかるように、2人で協力して物体を持ち上げているのと一緒だから、aNの重力に逆らって物体を持ち上げるには半分のa/2Nですむ。

ところが、物体をbm持ち上げるには、ひも2倍の2bm引かないといけない。

仕事の大きさは、a×bと、a/2×2b=a×bとなって、動滑車を使っても使わなくても、仕事の大きさは変わらない。






斜面

斜面
斜面で、1Nの重力をうけている物体を斜面にそって引き上げるのに、左の図では1×3/5=0.6Nの力を加えればよい。
ところが移動距離は5mである。
この場合の仕事の大きさは、0.6×5=3J

斜面を使わずに直接持ち上げるときの仕事の大きさは1×3=3J

結局、斜面を使っても使わなくても仕事の大きさは変わらない。

このように、仕事では、道具を使っても使わなくても力×距離の値は常に一定である。このことを「仕事の原理」という。


仕事率

仕事の「能率」を表わしたもの。
仕事でわって、1秒にどれだけの仕事をしたかを示す。
単位はワット)である。

仕事率)=仕事)÷

仕事(J)=力(N)×距離(m)であった。この式を仕事率の式に代入してみる。

仕事率(W)=仕事(J)÷秒
=力(N)×距離(m)÷秒
=力(N)×(距離(m)÷秒)
=力(N)×速さ(m/秒)

つまり、仕事率(W)=力(N)×速さ(m/秒)と表わすこともできる。


電力(W)と仕事率(W)

電力(W)は、電気器具の仕事率(W)のことである。

電気では、熱量)=電力)×
仕事では、仕事)=仕事率)×


仕事とエネルギー

仕事は、実際にある力である距離を移動させた量であり、エネルギーは、仕事をしたら、ある力のものをある距離移動させることができる可能性である。
比喩的に言えば、仕事は過去形、エネルギーは未来形。

位置エネルギー

重力に逆らって物体をある高さまで持ち上げるとき、した仕事の大きさは重力×高さであり、これが位置エネルギーとして蓄えられたと考えればよい。

位置エネルギー)=重力)×基準面からの高さ

位置エネルギーは、重力比例し、高さ比例する。

運動エネルギー

運動している物体が別の物体にあたって押すとき、別の物体はある速さで動き始めてやがて速さはだんだん遅くなり、最後に速さ0になって静止する。
速さの変わる運動だから、次の諸公式が成り立つ。

運動する物体が別の物体を押す力は、力=質量×加速度
また、速さの変わる運動だから、移動距離=速さ×時間÷2
また、速さ=加速度×時間

これらの式を仕事=力×距離の式に代入すると、

仕事の大きさ=力×距離
=(質量×加速度)×(速さ×時間÷2)
=質量×(加速度×時間)×速さ÷2
=質量×速さ×速さ÷2

運動エネルギー)=質量kg)×速さm/秒)×速さm/秒)÷

運動エネルギーは、質量比例し、速さの2乗比例する。




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