やっと景気が良くなってきたとはいえ、私たちの給料もどんどん上がるかというと……そう話は簡単ではない。特に、男性の給料はこの15年ダダ下がり中で、いまや男性の4人に1人が年収300万円以下。そこで、年収200万円台の40代男性に、その実情を取材してみた。

正社員でも、年収は12年間ずっと横ばい



●里中勉さん(仮名・42歳・年収290万円)のケース
(独身、パチンコチェーン正社員、大阪府在住)

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 大学卒業後、正社員として飛び込みの営業職に就くも、営業不振ですぐに退職。それから、パン工場の契約社員、運送会社や鮮魚店の正社員を転々とした里中勉さん。仕事が長続きしなかった彼が、12年も勤めるパチンコチェーンに入社したのは、ある面接がきっかけだった。

「別の会社でアルバイトの面接を受けたんですが、面接官に『30歳にもなって、アルバイトの面接を受けるようじゃダメだ!』と叱られまして。学生時代にバイトしたパチンコチェーンならば、と意を決して中途採用に応募しました。そしたら、あっさり採用されて」

 働き慣れたパチンコ業での仕事ということもあり、心機一転頑張ったものの、その頑張りが給与に反映されることはなかった。

「入社した後に知ったんですが、ウチの会社の給与査定は、やる気などではなく完全に能力重視。なぜか僕より後に入社した若い後輩たちが、どんどん出世していきました。どういった基準で査定されているのかわかりませんが、若さも重要だったのかもしれません」

 そんな里中さんが初めて出世したのは、36歳のとき。ホールスタッフのまとめ役になった。

「と言っても、いわゆる一般的な役職よりも、地位は低いんですが(苦笑)。年収は少し上がりましたけど、それまでは年金などを引かれていなかったので、手元に残る額は以前とほとんど同じです」

 それから6年がたち、42歳になった今も給料は上がらず、月収21万円。だが、職場には20代、30代の社員が増え、店長も里中さんより若い。

「店長と話すと、『気を使われているな』ってよく思いますね」

 居心地の悪さを感じながらも、「続けられるうちは頑張りたい」と、彼は前向きだった。

 飲食店やサービス業では、数少ない正社員が長い時間働いて、時給がバイト以下ということも少なくないという。

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