日本の大学など高等教育における年間支出額(学費や生活費など)は、先進国のなかで上位に位置します。しかしながら、教育支出の公費割合は最低水準にあり、学生への支援制度が遅れていると指摘されています。
高等教育の年間支出額は上位
下表は、高等教育(大学・大学院・専門教育)課程における学生一人当たりの年間教育支出額をランキングにしたものです。※OECDに加盟する34ヶ国を対象、2011年のデータ
順位 | 国名 | USドル |
---|---|---|
1位 | アメリカ | 26,021 |
2位 | カナダ | 23,226 |
3位 | スイス | 22,882 |
4位 | デンマーク | 21,254 |
5位 | スウェーデン | 20,818 |
6位 | ノルウェー | 18,840 |
7位 | フィンランド | 18,002 |
8位 | オランダ | 17,549 |
9位 | ドイツ | 16,723 |
10位 | 日本 | 16,446 |
※購買力平価ベースでUSドルに換算している。
※教育支出額には、学費・生活費・研究開発費を含む。
日本は16,446USドル(約131万円、2011年の為替平均レートを使用)で10位となっており、OECD平均の13,958USドルより比較的に高い位置にあります。
また、国公立の高等教育機関における平均授業料は5,019USドルとなっており、授業料が有償であり且つ比較可能な国のうち、5番目の高さです。
教育支出の公費割合は最低水準
日本は、奨学金制度など教育への公的支援が他の先進諸国と比べて不十分であると言われています。下表は、各国政府の歳出に対する公的教育費の割合をランキング(一部抜粋)にしたものです。※OECD加盟のうち31ヶ国を対象、2011年のデータ
順位 | 国名 | 対歳出比 | 対GDP比 |
---|---|---|---|
1位 | ニュージーランド | 5.5% | 1.9% |
2位 | カナダ | 4.7% | 2.0% |
3位 | ノルウェー | 4.5% | 2.6% |
4位 | デンマーク | 4.2% | 2.4% |
5位 | スイス | 4.1% | 1.4% |
10位 | アメリカ | 3.5% | 1.3% |
13位 | オーストラリア | 3.3% | 1.1% |
14位 | ドイツ | 3.1% | 1.4% |
18位 | イギリス | 2.7% | 1.3% |
22位 | 韓国 | 2.6% | 0.8% |
26位 | フランス | 2.3% | 1.3% |
29位 | ポルトガル | 2.1% | 1.0% |
30位 | 日本 | 1.8% | 0.8% |
31位 | イタリア | 1.7% | 0.8% |
※歳出は、一般政府(国・地方自治体・社会保障基金)による支出を表す。
出典: OECD - Education at a Glance 2014
日本の公的教育費はOECD加盟国のなかで最低水準にあり、政府の全体経費を示す歳出に対して1.8%、500兆円規模のGDP(国内総生産)に対して0.8%となっています。
日本の高等教育への支出割合において、約65%は私費(個人負担)で賄われており、OECD平均の31%と比べて倍以上であるのが現状です。
OECDはこの状況について、日本の高等教育における学費は相対的に高いものの、奨学金など公的補助を受ける学生は全体の40%に過ぎないとし、財政上の支援制度が遅れていることを指摘しています。