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カテゴリ: 【教科別学習】

ある物体を真上に持ち上げるときは、その物体にはたらく重力重さ)と同じ大きさの力で持ち上げることができます。
摩擦力
ある物体を持ち上げないで横に引いたり押したりして動かそうとするときは、ある物体と床の面との間に「横に動くのをさまたげる力」=「摩擦力まさつりょく)」がはたらいており、その摩擦力と同じ大きさの力で押したり引いたりすると物体を横に動かすことができます。


摩擦力の特徴

知っておかないといけない摩擦力の特徴には次のようなものがあります。

(1)摩擦力の大きさは、物体を横に引いたり押したりする力と等しい(引いたり押したりしないときの摩擦力は0である)。

(2)摩擦力は、種類状態物体重さによって決まる。

(3)摩擦力は、接触している面積の大小とは関係しない。

(4)物体を引いても押しても動かないときの摩擦力を静止摩擦力、引いたり押したりしているときにはたらいている摩擦力を動摩擦力という。


摩擦力の図示

摩擦力は、物体と面との接触部にはたらく力であり、物体を引いたり押し摩擦力の図示たりする力とつり合う力なので、接触面の中心から、引いたり押したりする力と反対の向きに図示します。





(疑問点)
2つの力がつり合っているときの3条件は、2つの力が(1)同一直線上にあり、(2)向きが逆で、(3)大きさが等しい、ことです。
ところが、どのテキストでも、物体を引く力と摩擦力は「つり合っている」と記述されています。しかし、この2力は、向きは逆で、大きさは等しいのですが、同一直線上ではありません。
大いに疑問を感じるところですが、この点を説明しているテキストは見たことがありません。


摩擦力の大きさ

摩擦力は、物体を横に押したり引いたりする力と等しい大きさの力です。

摩擦力の大きさ引く力が0のとき、摩擦力の大きさも0です。

引く力がAで物体が静止したままのとき、摩擦力の大きさはAです。

引く力がBで物体が横に移動しているとき、摩擦力の大きさはBです。









摩擦力を決定するもの

摩擦力は、摩擦力=摩擦係数×抗力の式で求めることができます。


摩擦係数は、ふれあう種類状態によって決まります。

例えば、接触している物質が銅と鉄のときの摩擦係数は0.53、銅とガラスのときは0.68です。

一般に、すべりやすい物質の摩擦係数は小さく、すべりにくい物質の摩擦係数は大きいとイメージすることができます。


また、摩擦力=摩擦係数×抗力の式のうち、抗力は、重力に比例し(特に水平な面に置いた物体の場合、抗力=重力)、重力は質量に比例します。

つまり、同じ物質であれば「重いものほど摩擦力は大きい」といえます。


(参考)
摩擦係数摩擦係数は、左図のように斜面に物体を置き、ACの長さをかえて測定したときの、物体がすべりだしたときのAC/BCの大きさで求めます。

例えば、AC=5cm、BC=10cmのとき、摩擦係数は5/10=0.5です。

AC/BCの値は、(すべり落ちる力)/(斜面をおす力)の値と一致します。

また、図でわかるように、斜面をすべり落ちる力=摩擦力です。


摩擦力と接触する面積

ふれあう面積が大きくても小さくても摩擦力は変わりません。

つまり、同じ物体の置き方を変えて接触する面積が変わっても、摩擦力の大きさは変わりません。同じ力で、横に動かすことができます。


静止摩擦力と動摩擦力

中学生範囲の問題ではあまり見かけませんが、実は摩擦力は静止摩擦力動摩擦力に分かれます。

物体にひもをつけて横に引くとき、 途中まで物体は動きません。
引く力を大きくしていき、引く力がある大きさに達すると物体は横に移動を始めます。

物体が動かないときの摩擦力を静止摩擦力、物体が動き始めてからの摩擦力を動摩擦力といいます。

物体が動き出す前は、静止摩擦力と動摩擦力摩擦力=物体を引く力より、引く力を大きくすると摩擦力も比例して大きくなり、物体が動き始める直前に摩擦力は最大になります(このときの摩擦力を最大静止摩擦力といいます)。

物体が動き始めると、最大静止摩擦力>動摩擦力となり、動き始める直前の物体を引く力より小さい力で物体を移動し続けることができます。




摩擦力と仕事

仕事の大きさを求める一般的な公式は、仕事(J)=力の大きさ(N)×力の向きに動いた距離(m)です。

物体を持ち上げるときは、仕事(J)=重力の大きさ(N)×持ち上げた高さ(m)と言い換えることができます。

物体を面にそって動かすときは、仕事(J)=摩擦力の大きさ(N)×力の向きに動いた距離(m)となります。
仕事の大きさを求めるときは摩擦力だけを考慮すればよく、物体の重さは仕事を求める式には表れません(摩擦力が重さに比例することと混同しないようにする必要があります)。


例題:水平な面の上に置いた質量400gの物体をばねはかりで水平に引いた。次の問いに答えなさい。
例題1(1)引いているとき、ばねはかりは1Nを示したが物体は動かなかった。このとき物体がされた仕事は何Jか。

(2)物体が動き始めると、ばねはかりは3Nを示していた。物体と面との間にはたらいている摩擦力の大きさは何Nか。また、物体が50cm動いたとき、物体がされた仕事は何Jか。

(解き方と解答)
(1)引いているとき、ばねはかりは1Nを示したが物体は動かなかった。このとき物体がされた仕事は何Jか。

摩擦力=引く力より、摩擦力は1Nですが、「動かなかった」ので、移動した距離は0です。
仕事(J)=摩擦力の大きさ(N)×力の向きに動いた距離(m)の式にあてはめると、仕事=1N×0m=0
答えは0Jです。


(2)物体が動き始めると、ばねはかりは3Nを示していた。物体と面との間にはたらいている摩擦力の大きさは何Nか。また、物体が50cm動いたとき、物体がされた仕事は何Jか。

まず、摩擦力=引く力より、摩擦力の大きさは3Nです。

次に、仕事(J)=摩擦力の大きさ(N)×力の向きに動いた距離(m)の式にあてはめて、仕事=3N×0.5m=1.5J
物体がされた仕事は1.5Jです。

この問題では、物体の質量400gを考慮する必要はありません。




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位置エネルギーと運動エネルギーは相互に移り変わります。
また、位置エネルギーと運動エネルギーの和は常に一定です(力学的エネルギー保存の法則)。

この稿では、位置エネルギーと運動エネルギーの移り変わりについて、入試によく出題される発展問題の解き方を考察します。
(エネルギーの基本事項に関してはこちらを参照してください。)

考える際のポイントは次の2つです。

ポイント1
位置エネルギーは、高さ質量比例します。
物体の質量は変わらないので、位置エネルギーを考えるときは高さに目をつけます。
運動エネルギーは速さの2乗質量比例します。
物体の質量は変わらないので、運動エネルギーを考えるときは速さに目をつけます。

ポイント2
どの位置に物体があっても、力学的エネルギー保存の法則より、位置エネルギー+運動エネルギー=一定です。
だから、位置エネルギーが0のときに物体が持っている運動エネルギーは、最初、運動エネルギーが0のときにその物体が持っていた位置エネルギーと等しくなります。


力学的エネルギー保存の法則の発展問題

例題1:
図のような斜面で球体である物体を転がす実験をした。摩擦や空気による影響はないものとして、あとの問いに答えなさい。
力学的エネルギー保存
実験1、A点から球体を静かに転がし、斜面CF上での球体の到達点の高さを測定した。

実験2、斜面CFの傾斜をゆるくして斜面CGとし、実験1と同様の実験をおこなった。

(1)実験1で、球体の到達点はどこか。

(2)図2は、実験1で、A~E点間を運動する球体の位置エネルギーの変化を表したものである。このときの球体の運動エネルギーの変化を図2にかきなさい。
図2







(3)実験2で、球体はG点から飛び出した。そのあと、A点の高さまで到達するか。



(解き方)

(1)実験1で、球体の到達点はどこか。


位置エネルギーの大きさを求める公式がありますが(
位置エネルギー(J)=物体にはたらく重力(N)×基準面からの高さ(m))、この問題は、公式をもちいて実際の位置エネルギーを求めさせる問題ではありません。

位置エネルギーは高さ質量比例すること、物体の質量は変わらないので、結局、位置エネルギーを考えるときは高さだけに注目すればよいこと、この2点をもちいて考察する問題です。

最初、手をはなしたときに球体のもつエネルギーは、高さ目盛り3で表される位置エネルギーのみです(手をはなした瞬間の運動エネルギーは0です)。

図のBで速さが最大になることで運動エネルギーは最大になり、このときの位置エネルギーは、基準面に到達したので、0です。
そして、図のCまで運動エネルギーはそのまま。
そこから坂道をのぼることで、速さは小さくなり、運動エネルギーは減少し、かわりに基準面からの高さが増すことで位置エネルギーが増加していきます。

力学的エネルギー保存の法則より、位置エネルギー+運動エネルギー=一定高さの目盛り3で表される位置エネルギー

最後に球体が止まる場所をたずねる問題ですから、そのときの運動エネルギーは0、つまり、高さの目盛り3で表される位置エネルギーをもつ場所まで到達します。

答えは、F点です。


(2)図2は、実験1で、A~E点間を運動する球体の位置エネルギーの変化を表したものである。このときの球体の運動エネルギーの変化を図2にかきなさい。

運動エネルギーを求める公式、運動エネルギー()=1/2×質量(kg)×速さ(m/秒)×速さ(m/秒)を使う問題ではありません。

運動エネルギーそのものを求めることはできないのです(正確に言うと、「中学生にそこまでは要求されない」)。

しかし、力学的エネルギー保存の法則、位置エネルギー+運動エネルギー=一定、この問題だと、位置エネルギー+運動エネルギー=一定=高さの目盛り3で表される位置エネルギーより、運動エネルギー自体は求められないものの、運動エネルギーが、高さの目盛りに象徴される位置エネルギーどれだけ分に相当するのかは求められます。

運動エネルギーそのものはわからない⇒位置エネルギーに置き換えて考える⇒位置エネルギー自体もその量を求める必要はない⇒位置エネルギーは高さに比例するから、高さの目盛りで位置エネルギーを推測する、という順になります。

長々と書きましたが、要するに、この球体のもっているエネルギーは常にその和が目盛りの高さ3相当分であるということですべての問いを解いていくということです。

位置エネルギー+運動エネルギー=一定=高さの目盛り3で表される位置エネルギーより、問い(2)の答えは次の図になります。
例題1解答









(3)実験2で、球体はG点から飛び出した。そのあと、A点の高さまで到達するか。

位置エネルギー+運動エネルギー=一定=高さの目盛り3で表される位置エネルギーより、点Aの高さまで到達し、その地点での運動エネルギーが0になるように運動するのであれば、点Aの高さにまで到達できます。しかし、そうなるには球体が次の図のように運動する必要があります。
解答2




これはありえません。

実際の球体の動きは次のようになるはずです。
解答3




つまり、球体が一番高くなったときでも、球体の速さは0ではないので、運動エネルギーも0ではありません。ということは、
力学的エネルギー保存の法則より、位置エネルギーが高さの目盛りの3相当分になることはないということです。

飛び出した球体が点Aの高さまで到達することはありません。


例題2:
例題2図のように、質量の等しい2個の鉄球P、Qを、それぞれなめらかな斜面上のA点、B点に置いて同時に静かに手をはなすと、鉄球P、Qはどうなるか。次のア~エから選び、記号で答えなさい。ただし、区間ABと区間BCの距離は等しい。
ア 鉄球PはC点に達する前に斜面上で鉄球Qに追いつく。
イ 鉄球PはC点で鉄球Qに追いつく。
ウ 鉄球Pは水平面上で鉄球Qに追いつく。
エ 鉄球Pは鉄球Qに追いつかない。


(解き方)

やはり、次の2つのポイントをもちいて考えます。

ポイント1
位置エネルギーは、高さ質量比例します。
物体の質量は変わらないので、位置エネルギーを考えるときは高さに目をつけます。
運動エネルギーは速さの2乗質量比例します。
物体の質量は変わらないので、運動エネルギーを考えるときは速さに目をつけます。

ポイント2
どの位置に物体があっても、力学的エネルギー保存の法則より、位置エネルギー+運動エネルギー=一定です。
だから、位置エネルギーが0のときに物体が持っている運動エネルギーは、最初、運動エネルギーが0のときにその物体が持っていた位置エネルギーと等しくなります。

まず、区間ABの距離と区間BCの距離が等しいことから、Aの高さはBの高さの2倍です。
Aの高さを2の高さ、Bの高さを1の高さとします。
鉄球Pは、手をはなした瞬間、高さ2で表される位置エネルギーを持っています(このときの運動エネルギーは0です)。
鉄球Qは、手をはなした瞬間、高さ1で表される位置エネルギーを持っています(このときの運動エネルギーは0です)。

鉄球Pが点Bに到達したとき、高さ1で表される位置エネルギーを失い、それが運動エネルギーにかわっています。このときの運動エネルギーは、高さ1で表される位置エネルギーに相当するエネルギーです。
鉄球Qが点Cに到達したとき、やはり、高さ1で表される位置エネルギーを失い、それが運動エネルギーにかわっています。このときの運動エネルギーは、高さ1で表される位置エネルギーに相当するエネルギーです。
ということは、点Bに到達した鉄球Pと、点Cに到達した鉄球Qの運動エネルギーが等しいということです。
質量の等しい2つの鉄球の持っている運動エネルギーが等しいということは、点Bに到達した鉄球Pと点Cに到達した鉄球Qの速さも等しいということです。
だから、
ア 鉄球PはC点に達する前に斜面上で鉄球Qに追いつく。
イ 鉄球PはC点で鉄球Qに追いつく。

の2つは、ありえません。

次に、鉄球Qは点Cに到達したあと、高さ1で表される位置エネルギーに相当する運動エネルギーをもったままで水平面を動き続けます。
鉄球Pは点Cに到達したあと、高さ2で表される位置エネルギーに相当する運動エネルギーをもったままで水平面を動き続けます。
鉄球Pの持つ運動エネルギーが鉄球Qの運動エネルギーの2倍だということは、点Cに到達して水平面を移動し始めると、鉄球Pのほうが鉄球Qよりも速いということです。
だから、
ウ 鉄球Pは水平面上で鉄球Qに追いつく。
ということになります。


例題3:
AD、DE、EFの3本のレールを図のようにつなげ、水平部分から1mの高さに重さ10Nの小球をおいて静かに手をはなしたところ、EF上のある高さまでのぼって再び滑り降り始めた。水平部分を基準面とし、摩擦や空気の抵抗はないとして、次の問いに答えなさい。
例題3(1)一般に、基準面から30cmの高さにある質量1kgの物体のもつ位置エネルギーは、基準面から20cmの高さにある質量1.25kgの物体のもつ位置エネルギーの何倍か。
(2)小球がC、D、Gの各点にあるとき、小球のもつ運動エネルギーは、それぞれ何Jか。
(3)小球がD点にあるときの速さは、G点にあるときの速さの何倍だったか。
例題3の2(4)レールEFを、図のように短くて傾きが急なEHにかえた。H点から飛び出した小球は、そのあとどのような運動をするか。図のア~ウから選び、記号で答えなさい。


(解き方)

(1)一般に、基準面から30cmの高さにある質量1kgの物体のもつ位置エネルギーは、基準面から20cmの高さにある質量1.25kgの物体のもつ位置エネルギーの何倍か。

位置エネルギーは、高さ質量比例する」を使って求めます。

30cmの高さにある質量1kgの物体のもつ位置エネルギーは、20cmの高さにある質量1.25kgの物体に比較すると、高さで30÷20=1.5倍、質量で1÷1.25=0.8倍。
1.5×0.8=1.2倍。


(2)小球がC、D、Gの各点にあるとき、小球のもつ運動エネルギーは、それぞれ何Jか。

この問題の場合、運動エネルギーを直接求めることはできません。

力学的エネルギー保存の法則、位置エネルギー+運動エネルギー=一定を使って考えます。
「位置エネルギーが0のときに物体が持っている運動エネルギーは、最初、運動エネルギーが0のときにその物体が持っていた位置エネルギーと等しくなる」を活用します。

この小球が最初B点でもっていた位置エネルギーは、
位置エネルギー(J)=物体にはたらく重力(N)×基準面からの高さ(m)
より、
10N×1m=10J。

つまり、この問題では、常に、
位置エネルギー+運動エネルギー=10J
です。

C点のとき

小球がC点でもっている位置エネルギーは、10N×0.4cm=4J。
だから、C点でもつ運動エネルギーは10-4=6J。

D点のとき

基準面に達したので、位置エネルギーは0。
だから、運動エネルギーは10J。

G点のとき

G点で小球がもつ位置エネルギーは、10N×0.75m=7.5J。
だから、G点でもつ運動エネルギーは10-7.5=2.5J。


このように、運動エネルギーそのものを求めないで、まず位置エネルギーを求めて、その結果から運動エネルギーを推測するのが解くときのコツです。


(3)小球がD点にあるときの速さは、G点にあるときの速さの何倍だったか。

問い(2)で求めたことから、D点の運動エネルギーは10J、G点の運動エネルギーは2.5J。
運動エネルギーは、10÷2.5=4倍。

「運動エネルギーは速さの2乗質量比例する」から、速さの2乗が4倍ということになり、速さは2倍。


(4)レールEFを、図のように短くて傾きが急なEHにかえた。H点から飛び出した小球は、そのあとどのような運動をするか。図のア~ウから選び、記号で答えなさい。

例題1の(3)で考察したように、運動エネルギーが0ではないので、もとの高さまで到達することはありません。

答えはア。





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仕事

物体にを加えて、その力の向きに物体を動かしたとき、「仕事」をしたという。

力を加えても動かないとき、仕事の大きさ=0であり、仕事をしたとはいえない。

重力に逆らって持ち上げたときは、力の向きに移動したから仕事である。
持ち上げたまま横に動いたとき
は、加えた力の向き(上向き)と移動の向き(水平方向)が違うから、仕事をしたとはいえない。

仕事の大きさ()=の大きさ()×移動距離

物体を持ち上げるとき
加える力は、物体にはたらく重力と同じ大きさである。
仕事(J)=重力(N)×持ち上げた高さ(m)

床に置いた物体を横に動かすとき
加える力は、物体と床の面との間にはたらく摩擦力と同じ大きさである。
仕事(J)=摩擦力(N)×移動距離(m)


仕事の原理

滑車斜面を理科では「道具」ということがある。
動滑車斜面を使うと、物体にはたらく重力よりは小さい力で物体を動かすことができる。
しかし、この場合、大きい距離を移動させないと同じ高さに到達しない。

定滑車

定滑車天井に固定された滑車を定滑車という。

aNの物体を持ち上げるにはaNの力でひもを引かないといけない。また、bm持ち上げるには、ひももbm引く必要がある。

つまり、定滑車は、物体の移動の向き(上向き)と、ひもを引く向き(下向き)が違うだけで、力も距離も等しいままである。






動滑車

動滑車
物体を移動させると、滑車も動く滑車を動滑車という。

図を見たらわかるように、2人で協力して物体を持ち上げているのと一緒だから、aNの重力に逆らって物体を持ち上げるには半分のa/2Nですむ。

ところが、物体をbm持ち上げるには、ひも2倍の2bm引かないといけない。

仕事の大きさは、a×bと、a/2×2b=a×bとなって、動滑車を使っても使わなくても、仕事の大きさは変わらない。






斜面

斜面
斜面で、1Nの重力をうけている物体を斜面にそって引き上げるのに、左の図では1×3/5=0.6Nの力を加えればよい。
ところが移動距離は5mである。
この場合の仕事の大きさは、0.6×5=3J

斜面を使わずに直接持ち上げるときの仕事の大きさは1×3=3J

結局、斜面を使っても使わなくても仕事の大きさは変わらない。

このように、仕事では、道具を使っても使わなくても力×距離の値は常に一定である。このことを「仕事の原理」という。


仕事率

仕事の「能率」を表わしたもの。
仕事でわって、1秒にどれだけの仕事をしたかを示す。
単位はワット)である。

仕事率)=仕事)÷

仕事(J)=力(N)×距離(m)であった。この式を仕事率の式に代入してみる。

仕事率(W)=仕事(J)÷秒
=力(N)×距離(m)÷秒
=力(N)×(距離(m)÷秒)
=力(N)×速さ(m/秒)

つまり、仕事率(W)=力(N)×速さ(m/秒)と表わすこともできる。


電力(W)と仕事率(W)

電力(W)は、電気器具の仕事率(W)のことである。

電気では、熱量)=電力)×
仕事では、仕事)=仕事率)×


仕事とエネルギー

仕事は、実際にある力である距離を移動させた量であり、エネルギーは、仕事をしたら、ある力のものをある距離移動させることができる可能性である。
比喩的に言えば、仕事は過去形、エネルギーは未来形。

位置エネルギー

重力に逆らって物体をある高さまで持ち上げるとき、した仕事の大きさは重力×高さであり、これが位置エネルギーとして蓄えられたと考えればよい。

位置エネルギー)=重力)×基準面からの高さ

位置エネルギーは、重力比例し、高さ比例する。

運動エネルギー

運動している物体が別の物体にあたって押すとき、別の物体はある速さで動き始めてやがて速さはだんだん遅くなり、最後に速さ0になって静止する。
速さの変わる運動だから、次の諸公式が成り立つ。

運動する物体が別の物体を押す力は、力=質量×加速度
また、速さの変わる運動だから、移動距離=速さ×時間÷2
また、速さ=加速度×時間

これらの式を仕事=力×距離の式に代入すると、

仕事の大きさ=力×距離
=(質量×加速度)×(速さ×時間÷2)
=質量×(加速度×時間)×速さ÷2
=質量×速さ×速さ÷2

運動エネルギー)=質量kg)×速さm/秒)×速さm/秒)÷

運動エネルギーは、質量比例し、速さの2乗比例する。




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他のものに力を加えることができる能力のことをエネルギーといいます。

エネルギーには、電気エネルギー、エネルギー、化学エネルギー、エネルギー、エネルギー、ばねなどの弾性エネルギーなどがありますが、この稿で取り上げるのは、位置エネルギー運動エネルギーです。

両者を合わせて力学的エネルギーといいます。

(仕事とエネルギーの関係についてはこちらの『仕事とエネルギー』を参照してください。)


位置エネルギー

高いところにある物体は、落下すると他のものを動かすことができます。
この、高いところにある物体がもつエネルギーを位置エネルギーといいます。

ある面を基準にしたとき、基準から高いところにある物体ほど大きい位置エネルギーを持つはずです。
また、質量の大きい物体ほど大きい位置エネルギーを持ちます。
つまり、位置エネルギーは、高さ質量比例します。

(物体の質量は変わりません。だから、位置エネルギーを考えるときは高さに目をつけます。)


エネルギーの単位J(ジュール)

基準面から高さ1mのところにある、質量100g(この物体にはたらいている重力1N(ニュートン))の物体が持つ位置エネルギーを(ジュール)と決めました。


位置エネルギーを求める式

位置エネルギー)=物体にはたらく重力)×基準面からの高さ


運動エネルギー

運動をしている物体は、ものに衝突するとものを動かすことができます。
この、運動している物体がもつエネルギーを運動エネルギーといいます。

運動をしている物体は、速さが速いほど大きい運動エネルギーをもちます。そして、運動エネルギーは速さ2乗に比例することがわかっています(運動エネルギーを求める式についてはこちらも参照のこと)。
また、質量の大きい物体ほど運動エネルギーは大きくなります。
つまり、運動エネルギーは速さの2乗質量比例します。

(物体の質量は変わりません。だから、運動エネルギーを考えるときは速さに目をつけます。)

物体を別のものに衝突させたとき、質量が2倍になったときの運動エネルギーは2倍ですが、速さが2倍になったときの運動エネルギーは2×2=4倍になります。
つまり、質量が2倍になるより速さが2倍になるほうが衝突の衝撃は4÷2=2倍になるということです。
交通標語でスピードの出し過ぎをいましめる文句があることには理由があるのです。


運動エネルギーを求める式

運動エネルギー)=1/2×質量kg)×速さm/秒)×速さm/秒


力学的エネルギー保存の法則

斜面に転がる物体を置いて手をはなします。物体はだんだん速さをましながら斜面をころげ落ちていくはずです。

最初に手をはなした瞬間、一番高い位置にあるので位置エネルギー最大です。手をはなした瞬間の速さは0ですから運動エネルギーは最小のです。

一番下の位置まで物体がころげ落ちたとき、高さは最小であり、その位置を基準面とすると位置エネルギーです。逆に、物体の速さはその地点で最大になっているので運動エネルギー最大です。

このように、位置エネルギーと運動エネルギーは相互に移り変わります。また、位置エネルギーと運動エネルギーの和は常に一定です。
このことを、力学的エネルギー保存の法則といいます。

力学的エネルギー保存の法則 位置エネルギー+運動エネルギー=一定


ふりこ

ふりこは、位置エネルギーと運動エネルギーの変換が(摩擦や空気抵抗がなければ)永遠にくりかえされる道具です。
ふりこ






ふりこ2ふりこのおもりが左端と右端にあるとき、高さが最大で速さは0です。
このとき、位置エネルギーは最大で、運動エネルギーは0です。

ふりこのおもりが一番下にきたとき、基準面に達しているので高さは0となり、位置エネルギーは0です。おもりは下にきたときが一番速くなり、このとき運動エネルギーは最大です。

どの位置におもりがあっても、力学的エネルギー保存の法則より、位置エネルギー+運動エネルギー=一定です。

例えば、おもりが一番下にきたとき、そのおもりが持っている運動エネルギーは、左端と右端の位置にあるおもりが持っている位置エネルギーと等しくなります。



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落下運動は、だんだん速さが大きくなる運動です。

落下運動でだんだん速さが大きくなる理由

物体の速さを変えるには、力を加える必要があります。

等速直線運動は、運動をしている向きに力がはたらいていないので速さが変わりません。
運動している物体にも重力がはたらいているのではないかと思われがちですが、重力の向きは鉛直下向きであり、水平方向に移動している物体の運動に関係する力ではありません(静止している物体にも重力ははたらいているのに、物体が横向きに運動することはないことを考えれば納得できます)。

落下運動にはたらいている力も重力です。
ところが、水平方向に運動している等速直線運動と違い、落下運動の場合は重力のはたらく向きが運動の向きと同じ向きなので、運動をしている物体をさらに同じ下向きに重力がぐいっ、ぐいっと引っ張ることになり、だんだん速さが大きくなっていきます。


落下運動では、速さが時間に比例する

落下している物体には、常に一定の重力がはたらき続けています。
下の図で、矢印は1の速さを生じさせる力だとします。a 秒ごとにこの力を加え続けます。そうすると、最初の a 秒は1の速さで進み、次の a 秒は1+1=2の速さ、次の a 秒は2+1=3の速さで物体は進むはずです。
力がはたらき続ける図








同じことが落下運動でも言えるはずです。 a 秒ごとに重力が1の速さを生み出すとします。次の a 秒で2の速さ、次の a 秒は3の速さ・・・・と、時間に比例して速さは大きくなります。
重力がはたらき続ける図
この a 秒が無限にゼロに近づいても理屈は同じです。瞬間、瞬間に重力によって速さが大きくなり続けることになります。

また、仮に決めた a 秒ごとに、速さは一定数の1ずつ大きくなり続けます。この定数のことを「加速度」といいます。

重力の加速度は、物体の質量に関係なく9.8m/秒2乗
加速度


であることがわかっています。
落下する物体の瞬間の速さm/秒)=9.8×落下時間

落下し始めて1秒後の速さは9.8m/秒だということになります。

加速度は、くわえたが大きいほど大きくなり、また物体の質量が大きいほど小さくなります。
「物体に力がはたらくと加速度が生じ、加速度はくわえた比例し、物体の質量反比例する」と公式化されています。

力の単位はNですが、これは、質量1kg の物体に1m/秒2乗の加速度を生じさせる力を1Nと決めたものです。


質量が違う物体の落下する速さ

「物体に力がはたらくと加速度が生じ、加速度はくわえた比例し、物体の質量反比例する」。
質量が2倍になると、はたらく重力も2倍になります。これだけだと、力が2倍なので加速度は2倍です。
ところが、加速度は質量の2倍に反比例もするので、質量が2倍になると加速度は今度は2分の1になってしまいます。

質量が2倍になっても、加速度はもとの2倍2分の1、すなわち1倍になってしまって、もとのままです。

質量が変わっても加速度は変化しない、ということです。

つまり、形・体積が同じで空気抵抗が同じであれば、重いものも軽いものも同じ速さで落下します(ガリレオがピサの斜塔でおこなったとされる実験が有名です)。


速さと距離

運動する物体の速さと進んだ距離との関係をグラフを使って考えてみましょう。

まず、わかりやすい等速直線運動から。
等速直線運動の場合、時間に関係なく速さ一定なので、横軸に時間、縦軸に速さをとってグラフを書くと図のようになります。
等速直線運動速さのグラフ











等速直線運動時間距離の関係を表すグラフは、距離=速さ×時間より、距離が時間に比例するグラフです。
等速直線運動距離のグラフ











視点をかえて、等速直線運動の速さのグラフ距離がどこに表われているかを考えてみましょう。
等速直線運動速さと距離のグラフ距離=速さ×時間です。
bcm/秒の速さでa秒間に進んだ距離は、b×a=ab cm、つまり、図の長方形の面積距離を表わしていることがわかります。
速さのグラフでは距離面積で表わされる」これは重要です。





次は、落下運動の速さ、距離のグラフです。

落下運動では、速さ時間比例します。
落下運動速さのグラフ
速さ÷時間が加速度ですから、左の速さのグラフでは、傾き加速度を表わしています。








次は、落下運動距離を表わすグラフです。
距離=速さ×時間、ところが落下運動の速さ=加速度×時間ですから代入すると距離=(加速度×時間)×時間となり、距離時間の2乗比例していることがわかります。
つまり、落下運動では、距離のグラフは2乗に比例のグラフになります。

落下運動距離のグラフ
速さ=距離÷時間です。
2乗に比例のグラフで、距離÷時間は、yの増加量÷xの増加量ということになり、これは数学でいう「変化の割合」です。
つまり、理科では、速さ変化の割合ということもできます。




最後に、落下運動の速さのグラフでは、どこに距離が表われているかを考えてみましょう。
落下運動速さと距離グラフ
速さのグラフでは距離面積で表わされる
左の図の三角形の面積が落下運動の距離を表わしていることになります。

三角形の面積ですから、b×a÷2
つまり、
落下運動距離速さ×時間÷2であることがわかります。

さらにこの式に、速さ=加速度×時間を代入して、
落下運動の
距離=加速度×時間×時間÷
距離=9.8×時間×時間÷
であることがわかります。


放り出された物体の運動

放物運動













横の向き(水平方向)には、落ち始めてからは何の力もはたらいていないので、速さは変わりません。等速直線運動と同じで、横向きに等間隔で進みます。

縦の向き(鉛直方向)には重力がはたらいています。落下運動と同じで、時間に比例して速さは大きくなっていきます。
単位時間あたりに縦向きに移動する距離は、時間の2乗に比例して大きくなります。


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「運動とエネルギー」の発展問題のうち、力の合成・力の分解と、斜面上にある物体にはたらく力についてまとめておきます。


力の合成と分解

斜面上にある物体にはたらく力を理解するには、力の合成と力の分解について知っておかなければなりません。

合力と分力
ある力( f )とつりあう力(F)は、同一直線上で、向きが逆で、同じ大きさの力です(力のつりあいの3条件)。
1人で力 f に対抗しようと思えばFの力を出す必要があります。では2人で共同して対抗するときはそれぞれどんな力を出せばよいでしょうか。

それを解決する原理が「力の平行四辺形」です。
ある1点にF1とF2の2つの力がはたらくとき、2人の共同で生み出される力FはF1とF2を2辺とする平行四辺形の対角線で表わすことができるという法則です。
そして、このときのF1、F2を分力、共同で生み出された力Fを合力といいます。


力の合成

2力、F1とF2が与えられているとき、この2つの力の共同で生み出される合力Fを求めるのが「力の合成」です。
力の合成
1、力F1の端の点Qを通り、力F2に平行な直線と、力F2の端の点Pを通り力F1に平行な直線を引き、引いた2つの直線の交点をRとします(F1とF2を2辺とする平行四辺形を書いたことになります)。
2、OとRを結んでできた線分ORが、合力のFです(平行四辺形の対角線が合力です)。





力の分解

力Fが与えられているとき、力Fと同じはたらきをする2つの分力F1とF2を求めるのが「力の分解」です。
このとき、2つの分力の方向が先に明示してあります。

力の分解1、合力Fの端の点Rを通り、2方向を示す直線に平行な2本の直線を書き、もとの与えられた直線との交点を求めます。

2、求められた交点をP、Qとすると、OP、ORが力Fの分力となります。







力の合成













力の分解がわかって、初めて斜面の問題を考えることができます。


斜面におかれた物体にはたらく力

どんな物体にもはたらいている力は重力です。
ところが、斜面におかれた物体はまっすぐ下に落ちることはありません。摩擦力のない斜面では、斜面にそってすべり落ちるはずです。なぜでしょうか。

斜面上の物体にはたらく力物体にはたらいている重力(赤色)は、斜面上では、斜面を垂直に押す力(ピンク色)と、斜面をすべり落ちようとする力(青色)に分解される、が答えです。

見方を変えると、重力と、斜面から物体がうける抗力(緑色)の合力が、斜面をすべり落ちようとする力だということになります。

斜面を垂直に押す力は、物体が斜面からうける抗力とつりあっているので、物体にはたらいている力は斜面をすべり落ちようとする力だけになり、だから物体は斜面にそってすべり落ちるわけです。


斜面をすべり落ちないように支える力

斜面をすべり落ちようとする力とつりあう力を考えればよいので、図の青色の点線の力、つまり、斜面をすべり落ちようとする力と同一直線上にあって、向きが逆で、大きさの等しい力で物体を支えてやると、物体は静止し続けます。


斜面で、支えていないのに物体が静止しているとき

斜面と物体との接触面に摩擦力がはたらき、その摩擦力が斜面をすべり落ちようとする力とつりあっていたら、物体は静止したままです。


相似

斜面をつくっている三角形と、重力斜面を垂直に押す力を2辺とする三角形とは、相似(形が同じで、辺の比が等しい)になります。

また、斜面をつくっている三角形と、重力斜面をすべり落ちようとする力を2辺とする三角形も、やはり相似です。


3:4:5
だから、斜面をつくっている三角形の辺のが、図のように3:4:5であれば、斜面をすべり落ちようとする力:斜面を垂直に押す力:重力のも3:4:5です。

したがって、例えば物体の質量が100gだとすると、
重力:すべり落ちようとする力=5:3、
重力は100g=1Nより、
すべり落ちようとする力をxとすると、
1:x=5:3
5x=3
x=0.6
となり、すべり落ちないように支えるには、0.6N(ばねはかりの目盛りで60g)の力が必要だということになります。

入試では、三平方の定理を使う問題も出題されます。
数学で習いますが、角度が90度・60度・30度の直角三角形の辺の比は1:2:√3です。
1:2:√3
このとき、斜面をすべり落ちようとする力:重力:斜面を垂直に押す力の比も、1:2:√3です。








また、90度・45度・45度の直角三角形の辺の比は1:1:√2です。
1:1:√2
この場合、斜面をすべり落ちようとする力:斜面を垂直に押す力:重力も1:1:√2です。









斜面の角度

以上の図を見てもわかるように、斜面が急斜面であるほど、すべり落ちようとする力は大きくなり、斜面を垂直に押す力は小さくなります。


斜面と運動

運動は、速さが一定である運動(等速直線運動が代表的)と、速さが変わる運動(時間に比例して速さが大きくなる落下運動が代表的)に分かれます。

斜面をすべり落ちている物体の運動は、落下運動と似た、時間に比例して速さが大きくなる運動です。



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ニュートンが発見した運動の3法則といわれるものがあります。

第1法則(慣性の法則) 静止または等速直線運動をする物体は力が作用しないかぎりその状態を保つ。
第2法則(運動方程式) 物体に力がはたらくと、その方向に、力に比例し質量に反比例した加速度を生ずる。
第3法則(作用反作用の法則) 物体が他の物体に力をおよぼすとき、力をおよぼされた物体は、同一直線上にあって大きさが等しい逆向きの力をはたらき返す。

この稿でとりあげるのは、第1法則の慣性、慣性の法則です。


慣性と慣性の法則のちがい

慣性とは、すべての物体が持っている、静止しているものは静止し続けようとし、運動をしている物体は運動し続けようとする性質のことです。

慣性の法則とは、すべての物体は慣性をもつので、物体に力がはたらかないときや、力がはたらいていてもその力がつりあっているとき、静止している物体は静止を続け、運動をしている物体は等速直線運動をし続けるという、運動についての法則です。

「慣性」と「慣性の法則」の2つの言葉の区別はあやふやになりがちですが、「慣性」はすべての物体が持っている「性質」、「慣性の法則」はすべての物体の運動について成り立っている運動の「法則」です。


慣性の法則が成り立っていることが確かめられる実験

コインとトランプコップにトランプをのせ、その上にコインをのせます。

トランプを指ではじいてとばします。

コインはトランプと一緒にとばないで、下に(コップの中に)落ちていきます。

コインには慣性の法則がはたらいているので、静止しているコインは静止し続けようとします。
コインの下で支えていたトランプがなくなったので、静止し続けようとするコインは下に落ちていくわけです。



だるま落としだるま落としとよばれる玩具は、慣性の法則を遊びに利用したものです。

とちゅうのこまを槌ではじきとばします。

はじきとばされたこまの上にのっていたこまは、慣性の法則により、静止し続けようとします。
それで、上のこまはそのまま下にストンと落ちます。


電車と乗客の動き

止まっていた電車が急に動き始めたとき

電車1電車が止まっているとき、電車の中のつりかわも乗客も静止しています。





電車2電車が急に発進したとき、静止していたつりかわと乗客は慣性の法則により静止し続けようとしますが、電車に接着しているつりかわのつけねと乗客の足は電車と一緒に動いてしまうので、つりかわと乗客は図のように電車の進行方向とは逆の方向に傾きます。



走っていた電車がブレーキをかけて止まるとき

電車3電車が同じスピードで走っているとき(等速直線運動をしているとき)、電車の中のつりかわも乗客も等速直線運動をしています。





電車4電車がブレーキをかけたとき、等速直線運動をしていたつりかわと乗客は、慣性の法則により等速直線運動をし続けようとしますが、電車に接着しているつりかわのつけねと乗客の足は止まろうとする電車にくっついたままなので、つりかわと乗客は電車の進んでいた方向に傾きます。



つりさげられた物体につけた糸をひっぱる問題

天井からつりさげた物体の下にひもがついています。そのひもを手で下にひき下げます(どちらのひもも、強くひけば切れる程度の細い糸です)。

ひもをひくゆっくりひいたときと、すばやくひいたときで、物体より上のほうのひもが切れるか、物体の下につけたひもが切れるかがちがってきます。












下のひもをすばやくひいたとき

ひもをひく-2つりさげた物体は、つりさげられた状態で静止しているので、慣性の法則より、そのまま静止し続けようとします。

下のひもをすばやくひくと、物体は静止し続けようとするので、下のひもを物体とひもをひいた手でひっぱりあうことになり、物体の下につけたひものほうが切れてしまいます。




下のひもをゆっくりとひいたとき

ひもをひく-3物体の下のひもをゆっくりとひくと、その力が物体に伝わり、物体も下に動こうとします。

今度は天井と物体がひっぱりあって、物体の上につけたひものほうが切れてしまいます。








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「速さ」「平均の速さ」という言葉は、小学6年生の算数と、中学3年の理科の2ヶ所で出てきます(「瞬間の速さ」は中学理科でしか出てきません)。
この稿では、中学3年理科の『運動』の単元で出てくる「速さ」を取り上げます

速さ

世の中には、見ただけですぐにわかるものと、ぼんやりとはわかるものの計算をしないと正確にはわからないものとの2種類があります。

わかりやすい例は、長さと面積です。
長さは、定規やものさしをあてただけですぐに正しい数値を求められます。
面積は、正しい値を求めようと思えば、例えば長方形だと縦の長さと横の長さを求めた上で、縦×横の計算をしないと求められません。

速さは、後者と同じで、計算をしないと求められない値です。

面積の式、縦×横を知らない人、難しいと思う人は誰もいません。

同じように、速さを求めようと思ったら、
速さ移動距離÷移動するのにかかった時間
の式を、理屈抜きでまず覚える、
これが速さの問題を解くときの出発点です。

公式が長すぎると思う人は、
速さ距離÷時間
と覚えておけば、それで十分です。


余談:「理屈抜き」で覚えないといけない理由は、速さも面積と同様、「そう決めた」だけであって、そこに理屈はないから、です。
速さという概念があったほうが便利だ、では、距離÷時間を速さとしたら一番使いやすいのではないかと、「そう決めた」だけですから、なぜ「速さ=距離÷時間」なのかを考えてもあまり意味がありません。



次に、理科の公式で重要な単位です。

距離には、km、m、cmの3種類があり、時間には時間、分、秒の3種類があるので、単位はkm/時、km/分、km/秒と、m/時、m/分、m/秒と、cm/時、cm/分、cm/秒の9種類があることになります。

他の公式だと、単位は原則として一つです(例えば、圧力の単位はN/平方mだけを通常は使います)。
しかし、速さの単位だけは、上の9つのどれを使ってもかまいません。
計算の過程をそのまま反映させたらよいだけです。
例えば、ジェット機が2秒で0.4km進んだとすると、速さを求める式は0.4km÷2であり、答の単位は式の単位をそのまま使って0.2km/秒です。

(問題で、解答の単位を指定してあるときは別です。そのときの解き方は別稿で説明します。)

まとめます。

(1)速さの問題を解くときは、速さ=距離÷時間の式を覚えて、常にこの式にあてはめることだけを考える。

(2)速さとは何かと聞かれたときも、距離を時間でわったものですと答えればよい。

(3)速さの単位は、計算で使った距離と時間の単位をそのまま使えばよい(例えばm÷秒であればm/秒)。



「速さ」と「平均の速さ」と「瞬間の速さ」

どの教科書やテキストにも、
速さ」とは「物体が一定時間に移動する距離である」、
平均の速さ」とは「物体が同じ速さで動き続けたと考えたときの速さである」、
瞬間の速さ」とは「時間間隔をごく短くしたときの平均の速さである」、
と書かれています。

正直、さっぱりわかりませんね。

信号も何もないまっすぐな道路を、スピードを変えないで自動車で進んだとします。
100kmの距離を2時間で通り過ぎたら、速さは、距離÷時間の公式から100÷2=50km/時です。
このときだけは、「速さ」と「平均の速さ」と「瞬間の速さ」の3つがすべて同じで、一致します。

ところが、「スピードを変えないで」自動車を進ませることなど、実際には不可能です。
止まっていた自動車がだんだんスピードを上げて最高速度になり、スピードをあげたり落としたりしながらやがて減速して終点で止まる、というのが現実の姿です。

数学とちがって、理科では現実に運動する物体を対象とします。

だから、「速さ」以外に、「平均の速さ」と「瞬間の速さ」という言葉が必要になってきます。


平均の速さ

いろいろスピードを変えたけれども、最終的には100kmの距離を2時間で進んだわけだから、途中の速さの変化は一切無視して、速さを50km/だと考えようというのが「平均の速さ」です。

この「平均」は、算数の「平均」とは意味が違います。
ある地点では時速100kmで走っていて、次の地点では50kmで走っていたとして、速さは個数ではないので(100+50)÷2=75とはなりません。
進んだ距離によって、「平均の速さ」を表す数値はすべて違ってきます。

簡単に言うと、「平均の速さ」というとき、「平均」の語は、「途中の速さの変化は無視しよう」と言っているだけで、計算上は何の意味もありません。
他に言葉がないから「平均」と言っているだけで、単に「速さ」だと思ってください。


瞬間の速さ

目の前を自動車がすごいスピードで通過したとします。
そのとき、自動車のスピードメーターが90kmを表示していたとしたら、その90kmが、目の前を自動車が通過した瞬間の「瞬間の速さ」です。

ところで、自動車の外に立っている私がその自動車の「瞬間の速さ」を知りたいと思ったら、どうすればよいでしょうか?

目の前の1mなら1mの距離を、自動車が0.04秒で通過したと測定して、速さ=距離÷時間の公式をもちいて1÷0.04=25m/秒。時速になおして、25×60×60=90000m/時=90km/時とするしか方法はありません。

しかし、「瞬間の速さ」といいながら、考えてみればこの場合の時速90kmは真の意味の「瞬間の速さ」ではありません。
0.02秒ときわめて短時間ですが、その間でも自動車の速さは変化している可能性が高い。
この90km/時という速さは、速さが変化しているかもしれない0.02秒間の「平均の速さ」でしかありません。

いくら測定時間を短くしようが、私たちは「平均の速さ」でしか「瞬間の速さ」を知ることはできないのです。


「速さ」と「平均の速さ」と「瞬間の速さ」、相互の関係

以上の考察からわかるように、理科で速さを表す3つの言葉、「速さ」「平均の速さ」「瞬間の速さ」は、別物ではありません。
実は同じものです。

現実の運動する物体の速さは刻々と変化しています。

そのことを最初から一切考慮にいれないときに使う言葉が「速さ」です。

刻々と変化することに注目して、注目した上でそれを横において、どれだけの距離をだれだけの時間で移動したかを表そうとする言葉が「平均の速さ」です。

刻々と変化している速さのうち、できるだけ短い時間を取り上げて、そのときの「速さ」を表す言葉が「瞬間の速さ」です。


実際に問題を解くときは

言葉は違っても、同じ式である、距離÷時間で求められるものが「速さ」「平均の速さ」「瞬間の速さ」ですから、実際に問題を解くときは「平均の」や「瞬間の」という言葉は無視していいのです。

どの言葉が問題で使われていようと、常に「距離÷時間」にしぼって、「距離÷時間」の式だけを使って「速さ」求めたらよいということを知っていたら、全然悩まずに問題を解くことができます。




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力の合成と力の分解の基本的なことがらはこちらでまとめました。
この稿で取り上げるのは、よく出題される問題の解き方・考え方です。

1つの点に3つの力がはたらいているときの力の合成と合力

1つの点に3つの力がはたらいているとき、その3つの力の合力はどうして求めたらよいでしょうか?

例題:点Oに3つの力F1、F2、F3がはたらいているとき、この3つの力の合力を求めよ。
3つの力の合力1つの点に2つの力がはたらいているとき、その2つの力と同じはたらきをする1つの力が合力です。

ということは、例えば、まず、F1とF2の合力を求め、その求めた合力と残ったF3との合力を求めれば、3つの力の合力を求められることになります。




まず、2つの力(例えばF1とF2)の合力を求めます。
3つの力の合力の2













次に、F1F2の合力と、残ったF3との合力を求めます。
3つの力の合力の3
















4つの力が1点にはたらいているときも、考え方は同じです。
2つの力の合力と2つの力の合力を見つけてさらにその合力を求めてもよいし、3つの力の合力を求めてその合力と残りの1つの力との合力を求めてもよいわけです。


合力と1つの分力がわかっているとき、もう1つの分力を求める

例題2:図で、F1は分力のうちの1つ、Fは合力である。もう1つの分力F2を求めよ。
もう1つの分力
平行四辺形の法則より、F1が1辺で、Fが対角線である平行四辺形をかけばよい。

このとき、3つの力の根もとが共通の1点であることに気づいておけば簡単に作図できます。


もう1つの分力の2(1)(2)(3)の順に線をひいて平行四辺形を先にかきます。

その後、F1とFの根もとから矢印F2をひけば、それがもう1つの分力です。











2本の糸で物体をつりさげたとき

例題3:図で、物体にはたらいている重力は1Nである。同じ長さの2本の糸のつくる角度が120°のとき、それぞれの糸はいくらの力で物体をひいているか。
2本の糸と合力








2本の糸と合力の2下向きの1Nの重力とつりあうには、同一直線上にあって上向きの1Nの力が必要です(左図の力F)。
その力を、2本の糸が物体をひく力F1とF2に分解すればよいことになります。
力の分解で平行四辺形の法則を使いたいので、まず重力と同じ長さで逆向きの力Fをかいて、力Fの矢印の先端を通る2辺をひいて、平行四辺形を作図します。
その平行四辺形の2辺にあたる矢印(F1とF2)が、求める分力です。

ところが、2本の糸の作る角度が120°のとき、FとF1、FとF2のつくる角は半分の60°になります。
それぞれの錯角も60°なので、平行四辺形は2つの正三角形に分割されます。
ゆえに、力Fが1Nであれば力F1も1N、同様に力F2も1Nということになります。

つまり、120°の角をつくる2本の糸で物体を支えるときは、常に、物体にはたらく重力と同じ大きさの力が糸にかかるということです。


2つの力のつくる角度と合力の大きさ

力の平行四辺形をかくとわかりますが、2つの力の角度が小さいほど合力は大きくなり、2つの力の角度が大きいほど合力は小さい力となります。
角度と合力
2つの力の角度が120°のとき、もとの2つの力の大きさと合力の大きさが等しくなります。








合力が最大になるときと最小になるとき

2つの力の角度が0°のとき(2つの力が同一直線上にあって同じ向きのとき)、2つの力をF1とF2、合力をFとするとF=F1+F2となり、合力は最大となります。

0°<角度<180°のとき、合力F<F1+F2です。

同じ大きさの2つの力の角度が180°のとき(2つの力が同一直線上にあって逆の向きで力の大きさが等しいとき)、合力は0になってしまいます。


三平方の定理と力の合成・分解

理科の力の問題で、数学で習う三平方の定理を使う問題もときどき見かけます。
三平方の定理と力



















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力の合成

つりあった力天井から物体を糸でつりさげたとき、物体にはたらく重力と、糸が物体をひく力とはつりあっています。









つりあった力2次に、2本の糸で同じ物体をつりさげたときを考えると、左の糸にはたらく力Aと右の糸にはたらく力Bの、2つの力から生まれた1つの力Cが、重力とつりあっていると考えられます。

この場合のように、1つの点にいくつかの力がはたらいているとき(左図だと力Aと力B)、それらの力から生まれる1つの力(左図だと力C)を見つけることを「力の合成」といいます。

また、見つけられた力Cのことを「合力(ごうりょく)」といいます。

力の合成・・・1つの点にいくつかの力がはたらいているとき、それらの力から生まれる1つの力を見つけること

いくつかの力がはたらく場合としては、
1、同一直線上にあって向きが同じとき
2、同一直線上にあって向きが逆のとき
3、同一直線上にないとき
の3つが考えられます。

この3つについて、順に考察します。


一直線上に、同じ向きの2つの力がはたらいているとき
同一直線上で向きが同じ同一直線上で同じ向きに2つの力がはたらいているとき、2つの力F1とF2から生まれる合力Fはどのような力でしょうか?

2人で協力して同じ綱(つな)を同じ向きにひっぱることを考えればわかります。
2人の力をたした力になるはずです。

つまり、同じ向きで、もとの2つの力をたした力になります。
合力F=F1+F2

一直線上にある、同じ向きの2つの力の合力=同じ向きで2つ力の


一直線上に、逆向きに2つの力がはたらいているとき
同一直線上で向きが逆同一直線上で逆の向きに2つの力がはたらいているとき、2つの力F1とF2から生まれる合力Fはどのような力でしょうか?

今度は、打ち消しあった力になるはずです。

つまり、大きいほうの力F1と同じ向きで、大きい力F1から小さい力F2をひいた大きさの力になります。
合力F=F1-F2

一直線上にある、逆向きの2つの力の合力=大きい力と同じ向きで2つ力の

なお、もとの2つの力の大きさが等しいときは、合力は0になります。


2つの力が一直線上にないとき

理科で出てくる量には、時間や温度のように「大きさ」だけで表される量(スカラー量といいます)と、力のように「大きさ」と「向き」の2つを考えないといけない量(ベクトル量といいます)とがあります。
そして、ベクトル量であるには平行四辺形の法則が成り立つことがわかっています。

平行四辺形の法則・・・1つの点にはたらく2つの力は、2つの力2辺とする平行四辺形対角線で表される1つの力でおきかえることができるという法則
平行四辺形の法則
平行四辺形の法則は、1直線上にない2つの力について例外なく成り立っている法則ですが、17世紀にニュートンが発見しました。

平行四辺形の法則を知ることで、私たちは簡単に合力を見つけることができます。

例題1:2つの力F1とF2の合力Fを作図して求めなさい。
例題1








まず、平行四辺形をかき、その対角線をかくと、それが合力です。

小学校のときに習った平行線のかきかたを使います。

1組目の平行な辺をかきます。
例題1の2









もう1組、平行な辺をひきます。

例題1の3









最後に対角線をかくと、それが合力です。

例題1の4









このとき、合力Fは、もとの2つの力F1とF2の和よりは小さい力になります。
合力F<F1+F2


力の分解
「力の合成」とは逆の操作をすることを、「力の分解」といいます。

力の分解・・・1つの点にはたらく1つの力を、同じはたらきをする2つの力に分けること

求められた2つの力を分力といいます。

力の合成と同様に、平行四辺形の法則が成り立ちますから、平行四辺形をかくことで2つの力を見つけることができます。

例題2:力Fの分力F1とF2を作図して求めなさい。
例題2
この種類の問題では、力Fだけではなくて、その根もとを通る2本の直線が必ずかいてあります(かいてないと、分力は決まりません)。

その2本の直線を2辺とする平行四辺形を作図します。
作図の仕方は力の合成と同じで、定規をすべらせて平行線をひきます。
もとの力Fの先端を通る2本の平行線をひきます。

例題2の2






最後に、もとの力Fの根もとから平行四辺形の辺にそって2つの力をかくと、それが分力です。
画像2の3










力の合成・力の分解、作図のコツ・・・合力も分力も、力を表わす矢印の根もと共通の1点であることを常に意識しておく


この稿は、基本的なことだけにしぼりました。




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