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カテゴリ:【教科別学習】 > 小学・中学 社会

日本銀行は日本銀行法によって設立され、日本銀行券(紙幣)を発行し、金融政策をおこなう、わが国の中央銀行です。

内閣とは独立した機関ですが、日本銀行総裁と副総裁は内閣が任命します。

日本銀行の仕事は、(1)発券銀行、(2)銀行の銀行、(3)政府の銀行とまとめられます。


発券銀行

紙幣

日本銀行は、紙幣(1万円札・5千円札・2千円札・千円札)を独占的に発行します。紙幣のことを日本銀行券といいます。
日本銀行の紙幣発行高は約80兆円です(2009年3月末)。

ちなみに、1万円札は福沢諭吉、5千円札は樋口一葉、2千円札は守礼門・源氏物語絵巻・紫式部、千円札は野口英世が印刷されています。

(紙幣に対し、硬貨(500円・100円・50円・10円・5円・1円)は政府が製造・発行します。財務大臣所管の造幣局が製造しています。)

紙幣は、日本銀行にある当座預金から金融機関が現金として引き出すことで流通を始めます。
企業や個人は金融機関から紙幣を引き出し、消費や取引の決済に使用します。

管理通貨制度

歴史上、銀行券は最初は兌換(だかん)紙幣でした。紙幣の所有者はいつでも金・銀と交換できることになっていました。政府は、保有している正貨(金か銀)相当額の紙幣しか発行できなかったのです。
保有している金・銀の信用によって紙幣が流通する制度であり、これを本位貨幣制度といい、本位貨幣が金の場合を金本位制といいます。

わが国では、金本位制度は1931年に停止され、1941年には管理通貨制度に移行しました。
管理通貨制度とは、政府が発行する通貨の量を政府の責任で管理し、実際に保有している金や銀の信用ではなくて、政府に対する国民の信用で通貨が流通する制度のことです。
中央銀行は、経済情勢や景気の状況を参考に通貨量を自己の責任で判断し、紙幣を自由に発行できます。


銀行の銀行

日本銀行が預金を受け入れ、お金を貸し付けるのは、日本銀行法の定めに基づいて指定された銀行などの金融機関だけです。企業や個人が日本銀行に口座を持つことはありません。
また、民間の銀行は日本銀行の当座預金を使って銀行間の取引の決済を行います。

民間の銀行が企業や個人を相手におこなっている業務を、日本銀行は民間の銀行を相手におこなっているので、日本銀行は「銀行の銀行」と呼ばれます。

公定歩合・政策金利

日本銀行が民間銀行などの金融機関に資金を貸し付けるときの貸し出し金利を「公定歩合」といいます。かつては、日本銀行の金融政策の柱として重要な役割を果たしていました。
しかし、日本銀行は、現在、公定歩合の語の使用をやめて、公定歩合のことを「基準となるべき割引率」(基準割引率)と「基準となるべき貸付利率」(基準貸付利率)といいかえています。

1994年の金利自由化以前は公定歩合と民間銀行の預金金利が連動していたので、日本銀行がおこなう金融政策の政策金利として公定歩合には重要な意味がありました。
現在の日銀の政策金利としての誘導目標は、コールレートと呼ばれる短期金利にかわっています。


政府の銀行

日本銀行は、政府の預金を預かり、税金などの国庫金の保管と出納をおこない、国債の発行を管理し、外国為替に関する事務をおこなうので、「政府の銀行」ともいわれます。

国税や社会保険料などとして受け入れる国庫金を「歳入金」、公共事業費や年金などとして支払われる国庫金は「歳出金」といい、日本銀行が管理しています。



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景気変動

好景気と不景気が交互に繰り返されることを景気変動といいます。


好景気…生産増・収入増・起業・通貨流通増・インフレーション

好景気のときは将来に対する安心感があり、お金を使って生活を豊かにしようという気分が社会に生まれます。

商品に対する需要が増大し、消費欲が生まれ、商品の生産額も増大します。
企業の雇用は増え、企業に雇われている従業員の給料は上がり、資本を投じて起業を試みる人も増えます。

社会を流通するお金(通貨)の量も増えていきます。

ものを買いたいという意欲が強いので、商品の値段は上昇します(インフレーション)。


不景気…生産減・収入減・倒産・通貨量減少・デフレーション

不景気のときは将来に対する不安が広がり、お金を節約しようという気分が社会に生まれます。

商品に対する需要は減少し、消費欲は衰え、商品の生産額も減少します。
企業は従業員を減らそうとし、従業員の給料は下がり、企業の倒産が増えます。

社会を流通するお金(通貨)の量は減っていきます。

ものを売ろうとしても買おうとする人が少ないので、商品の値段は下降します(デフレーション)


景気対策

不景気の対策

社会を構成するみんなの立場からすると、好景気のほうが望ましいことは言うまでもありません。
そこで、不景気のときには、なんとか好景気に向かうように国はいろいろな対策をとります。
これが「景気対策」です。

不景気を打開し、好景気を作り出すための政策が景気対策です。


財政政策+金融政策

景気対策は、政府がおこなう財政政策と、日本銀行がおこなう金融政策に分かれます。

どちらも、国の政策で、好景気の状態を人為的に作り出そうとするものです。

ところで、好景気の特徴を一言でいうと、「社会を流通するお金(通貨)が増えている状況」が好景気です。

そこで、財政政策も金融政策も、「社会を流通するお金(通貨)を増やす」ことが目標になります。


政府がおこなう財政政策

政府のおこなう財政政策としてどの教科書もふれているのは、(1)公共投資を増やす、(2)減税、の2つです。

どちらも、国の政策で、社会を流通するお金(通貨)の量を増やし、それによって好景気を作り出そうとする政策です。


公共投資

国の予算を使って、道路や空港・港湾などの公共設備、公共施設の建設を積極的に進めるのが公共投資です。

建設業が盛んになり、建設に使われる鉄鋼やセメントなどの商品の生産が増大し、いろいろな産業に波及して国内総生産(GDP)が拡大します。
関連産業の設備投資が活発になり、雇用も増え、失業率は低下し、給料も上がります。


減税


企業にかかる法人税を減税すると、企業はそのお金を設備投資や新製品の開発に向けることができるので、積極的にお金を使うことができます。

個人にかかる所得税を減税すると、個人はそのお金を消費や商品の購入にまわすことができます。


問題点

公共投資には国の予算を使います。
ところが、減税は国に入ってくる歳入の減少を招きます。
最近のように不景気が長期化すると、政府が使うことのできる財源が不足し、国の借金である国債の発行額が際限なく増大し続けることになってしまいます。


日本銀行がおこなう金融政策

日本銀行がおこなう金融政策は、(1)公定歩合の操作(不景気のときは公定歩合の引き下げ)、(2)公開市場操作(不景気のときは国債・手形などの買取(買いオペレーション))、(3)預金準備率の操作(不景気のときは預金準備率の引き下げ)、の3つです。


公定歩合

日本銀行が、市中銀行(都市銀行・地方銀行など)に貸付けをおこなうときの貸出金利を公定歩合といいます。政策金利といわれるものの1つです。

公定歩合が下がると、日本銀行から資金を借りる市中銀行の資金調達コストが下がります。
銀行が企業や個人に貸し出すときの利率も下がるので、個人や企業は銀行から安い利率で資金を借りて積極的に設備投資や住宅の購入などの消費にまわすことができます。
こうして、社会を流通するお金(通貨)の量が増大し、好景気に向かわせることができます。

ところで、かつては公定歩合と市中銀行の貸出し利率とが連動していましたが、1994年の金利自由化以後、日本銀行は、無担保コールレートと呼ばれる短期金利を政策金利の中心にしており、公定歩合の重要性は低下しています。

ちなみに、日本銀行は2010年8月現在、無担保コールレートの調節方針を0.1%に設定しており、基準貸付利率(従来の公定歩合)は2008年8月以降、0.3%のままにすえおかれています。


公開市場操作

日本銀行が、金融市場で国債手形の売買を行い、社会に流通するお金(通貨)の量を調節するのが公開市場操作です。

不景気のとき、日本銀行は国債や手形などの有価証券を購入します(これを買いオペレーションといいます)。
その結果、日本銀行から社会にお金(通貨)が流れ出ることになり、金融機関から企業や個人への貸出しにまわる資金も増えて、生産や消費にお金が使われるようになります。


預金準備率

金融機関は、いつでも払戻しに応じることができるように、一定量の資金を日本銀行に預けておかないといけません。
これを預金準備金といい、日本銀行に預けないといけない比率を預金準備率といいます。

不景気のとき、日本銀行は預金準備率を下げます。
それによって、日本銀行に預けておかないといけないお金の割合が減少し、民間の金融機関が利用できる資金の量は増えます。それを企業や個人が借りることで、社会を流通するお金(通貨)の量が増えることになります。



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納税の義務

日本国憲法第30条「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う。」の定めにより、国民は納税の義務を負っています。

「法律の定めるところにより」の文言より、税を徴収するには法律の根拠が必要です。
これを租税法律主義といいます。


おもな税

所得税…個人の年間所得に課税されます。所得税の申告のことを確定申告といい、サラリーマンは雇い主がが申告事務をおこないます(源泉徴収制度)。
所得税では、所得の高い人ほど税率が高くなります。これを累進課税(るいしんかぜい)制度といい、お金持ちが多くの税金を払い、低所得者が社会保障制度などで利益を多く受けるので、所得の再分配の機能があります。
国税で、直接税です。

法人税…企業など法人の所得(売上げから経費を除いた利益)に対して課税されます。
税率は一律で30%です。
国税で、直接税です。

消費税…すべてのものとサービスに課税される税金です。消費税法により、1997年4月から価格の5%となりました。
国の税収の20%を占めます。
国税で、間接税です。

関税…国が輸入品に対して課す税です。
国内産業の保護を目的とします。
国税で、間接税です。

税の分類



























国税と地方税

税は、どの機関が徴収するかによって、国税地方税に分かれます。


国税は、国に申告し、納付する税です。

国税庁・税務署(ほとんどの国税)や、陸運局(自動車重量税)、税関(関税)などに申告・納付します。

直接税である国税…所得税法人税贈与税相続税

間接税である国税…消費税・酒税・たばこ税・揮発油税・石油ガス税・航空機燃料税・石油石炭税・自動車重量税・関税・とん税・印紙税・登録免許税

国が徴収し税収を地方に譲与する国税…地方揮発油税・特別とん税・電源開発促進税・たばこ特別税・地方法人特別税


地方税は、地方公共団体が徴収する租税です。

都道府県税市区町村税に分かれます。

直接税である都道府県税…都道府県民税事業税・不動産取得税・自動車取得税・自動車税・鉱区税など

間接税である都道府県税…地方消費税・都道府県たばこ税・ゴルフ場利用税・軽油取引税

直接税である市区町村税…市区町村民税固定資産税・軽自動車税・鉱産税・特別土地保有税・事業所税・都市計画税など。

間接税である市区町村税…市町村たばこ税・入湯税


直接税と間接税

法律上の納税義務者(税を申告し納付する義務を負うもの)と、実際に租税を負担する者(税に相当する金額を実際に負担するもの)とが同一である税を直接税、納税義務者と実際に租税を負担する者とが一致しない税を間接税といいます。


直接税

多くの税は直接税です。

国税である直接税…所得税法人税相続税・贈与税
地方税である直接税…都道府県民税市区町村民税・事業税・固定資産税・自動車税など


間接税

代表的な間接税は消費税です。

私たちが商品を買うとき、その代金には消費税分がふくまれており、購入する私たちが実際には消費税を負担していますが、消費税を申告し国に納めているのは、納税義務者である商品を売った事業者です。

国税である間接税…消費税・印紙税・酒税・関税・たばこ税・石油ガス税・航空機燃料税・石油石炭税・自動車重量税など

地方税である間接税…都道府県たばこ税市区町村たばこ税・ゴルフ場利用税・特別地方消費税・入湯税など


租税収入に占める直接税と間接税の比率は、わが国の場合、ほぼ直接税7:間接税3です。




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国が国民のためにさまざまな仕事をおこなうには資金が必要です。国は資金を調達し、1年ごとに国会の決議する予算に従って仕事を行います。

国の1年間の収入に当たるものを歳入(さいにゅう)、1年間の支出を歳出(さいしゅつ)といいます。


歳入

国の1会計年度中の一切の収入を歳入といいます。

平成22年度予算では、歳入の総額は92兆2992億円です。

歳入
















おもな歳入は、国民が納めた税金である租税印紙収入と、国の借金にあたる公債金収入(国債)です。


租税印紙収入

平成22年度の予算では、租税印紙収入は37兆3960億円で、歳入全体の40.5%です。

租税印紙収入の内訳は、所得税、消費税、法人税、揮発油税、酒税、たばこ税、自動車重量税…の順になります。

所得税…個人の年間所得に課税される税です。
消費税…すべてのものとサービスに課税される税です。
法人税…企業など法人の所得に課税される税です。
揮発油税…ガソリンに課税される税で、全額が道路建設費などに用いられる目的税です。
酒税…アルコール1%以上の酒類に課税される税です。
たばこ税…たばこの価格のうち約62%は税です。
自動車重量税…所有している自動車に対して、重量に応じて課税される税です。
印紙収入…印紙税法に定められた一定の金額以上の契約書や領収書には印紙を貼らないといけません。収入印紙は郵便局や法務局で購入します。


公債金収入

歳入の48%が公債金収入です。

国債を発行して国に入ってくる金額を公債金といい、歳出の項目である国債費(国債の元本の償還と利払いの費用)と区別しています。

国債は、将来のための投資に使われる建設国債と、財政の赤字を穴埋めするための特例国債に分けられます。

平成22年度予算では、公債金収入は44兆3030億円で、歳入の48%を占めます。
そのうち、建設国債は6兆3530円、特例国債が37兆9500億円です。


その他収入

歳入の11.5%10兆6002億円が、その他収入です。

いわば臨時の収入であり、財政投融資特別会計の積立金の一般会計への繰り入れや、外国為替資金特別会計の剰余金の繰り入れ、事業仕分けによる独立行政法人などの基金からの繰り入れの他、国有地の売り払い収入などで構成されています。


歳出

国の1会計年度中の支出の総額を歳出といいます。

歳出の総額は、歳入の総額と同額であり、平成22年度予算では92兆2992億円です。

歳出

















歳出は3つの項目に分けられます。

歳出の57.9%を占める一般歳出と、18.9%地方交付税交付金等と、国の借金の返済にあたる国債費(歳出の22.4%)です。


一般歳出

国が仕事をするに際して出費する支出が一般歳出です。
平成22年度予算では、53兆4542億円を支出しています。

一般歳出は、金額の多い順に、社会保障関係費、公共事業関係費、文教及び科学振興費、防衛関係費、その他となります。

社会保障関係費…社会保険費、社会福祉費、生活保護費、保健衛生対策費、失業対策費に分類されます。
公共事業関係費…道路整備費、下水道環境衛生等費、治山治水費、住宅市街地費、農業農村費、災害復旧費、その他に分類されます。
文教及び科学振興費…義務教育費、国立学校費、科学振興費、教育振興費、文教施設費、育英事業費に支出されます。
防衛関係費…人件・糧食費、物件費に分かれます。
その他の支出…恩給費、経済協力費、エネルギー対策費、主要食料費、中小企業対策費などがあります。


地方交付税交付金等

地方公共団体の税収の不足と不公平を是正するために、国から地方公共団体に配分される交付金のことを地方交付税交付金といいます。
国が徴収した所得税、法人税、酒税、消費税、たばこ税の一部を地方自治体に再分配します。

歳出の18.9%17兆4777億円を国は支出しています。


国債費

国債費とは、国債の元本の償還や、国債の利払い、国債の事務取扱費に支出される費用です。

平成22年度予算では、元本の返済にあたる債務償還費10兆8408億円利払費等9兆8087億円で、合計20兆6491億円となっており、歳出の22.4%を占めています。

ちなみに、2010年6月現在の国債残高は733兆8084億円であり、借入金55兆599億円を加えると、わが国の借金の総額は904兆772億円になります。


家計に例えると

わが国の平成22年度の歳入と歳出の状況を、比率をそのままあてはめて、家庭に例えてみましょう。

家族の1ヶ月の収入が40万円であったとします。

そのうちの約40%、16万円だけが毎月安定して入ってくる給料です。
給料だけでは生活できないので、給料の金額を上回る借金をしています。約48%、19万円を超える額が借金です。
約12%、5万円ほどの臨時収入がありますが、来月はないかもしれません。

収入が40万円なら、支出も40万円です。
自分の家の食費や光熱費、修繕費、学費として約58%、23万円あまりを使っています。
子どもへの仕送りに、約19%、8万円ほどを送っています。
残った22%ほど、9万円を借金の返済にまわしています。

さらに、1ヶ月の収入の約10倍の借金が残っており、借金の総額は毎月増え続けています。

これが、日本という家庭の家計の実相です。
あなたなら、日本の財政をどのようにして立て直しますか?



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企業で雇われて働く人のことを、日本国憲法では「労働者」といいます。

労働者のいろいろな権利についてまとめました。

勤労の権利


日本国憲法第27条は1項で「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。」と定め、2項「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。」、3項「児童は、これを酷使してはならない。」と続きます。

「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。」

憲法は、国民の権利を国が守るように、国に命令する法律です。
国民には勤労の権利(働く権利)があります。
働く意欲と能力がある人が働く機会をもたないとき、国は労働の機会を斡旋(あっせん)する義務を負います。

国は、職業安定法雇用対策法により、公共職業安定所ハローワーク)で職業の斡旋をしたり、失業した人が再就職するまで雇用保険で援助をしたりしています。

「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。」
「児童は、これを酷使してはならない。」

18世紀イギリスで始まった産業革命は世界に広がり、資本家(経営者)が労働者(従業員)を使って工業製品を生産する資本主義社会が出現しました。
最初は、強者である資本家が弱者である労働者を搾取することが多かったのですが、徐々に、法律で労働者を保護する仕組みが整えられるようになっていきました。

わが国の、労働者を保護する代表的な法律は労働基準法です。

労働基準法には、次のような規定があります。

(男女同一賃金の原則)
・労働者が女性であることを理由として、賃金について男性と差別的取扱いをしてはいけない。

(最低賃金)
最低賃金法で賃金の最低基準を定める。

(労働時間)
・1週間に40時間を超えて労働させてはいけない。
・1日に8時間を超えて労働させてはいけない。

(最低年齢)
・児童が満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで働かせてはいけない。

労働基準法が守られているかどうかは労働基準監督署が監督します。

また、賃金以外の男女平等については男女雇用機会均等法などが制定されています。


労働三権(団結権・団体交渉権・団体行動権(争議権))

日本国憲法第28条勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。


この条文に出てくる、「団結する権利」(団結権)、「団体交渉…をする権利」(団体交渉権)、「その他の団体行動をする権利」(団体行動権争議権))の3つを、労働基本権、3つの権利なので労働三権といいます。

団結権・・・労働者が労働条件を改善するために労働組合を結成する権利。
国や経営者が労働組合の結成を妨げたり、労働組合に干渉したりする行為は禁止されます。
 
団体交渉権・・・労働組合の代表者が労働条件について経営者と交渉する権利。
経営者は団体交渉を拒否できません。
 
団体行動権(争議権)・・・労働組合が経営者に労働者の要求を認めさせるためにストライキなどの団体行動をする権利。
経営者は正当な団体行動(争議)に対して、労働者を解雇したり、損害の賠償を求めたりすることはできません。


経営者と従業員(労働者)では、圧倒的に経営者のほうが優位です。
労働者が単独では、経営者と対等の立場に立てません。
そこで、労働者は、団結して労働者の団体(労働組合)を結成し、労働組合が経営者と交渉することで労働者の権利を守ろうとするようになりました。
歴史上、最初は国は資本家の側に立って労働者を弾圧しました。やがて、国は、労働者の団結する権利を認め、資本家と労働者が対等の立場で労働条件について交渉する仕組みを保護するようになりました。
わが国も、日本国憲法で、労働者の団結権、団体交渉権、団体行動権(争議権)を認め、保障しているわけです。


労働者の団結権団体交渉権を具体的に保障する法律は労働組合法です。

労働組合法

労働組合法は、労働者が経営者と対等の立場に立つために労働組合を組織することを国が保障する法律です。

労働組合を結成したり労働組合の活動をしたりすることを経営者が妨害する行為は不当労働行為とされ、この法律で厳しく禁止されています。

労働組合は、経営者との団体交渉を通して、労働条件について労働協約を結ぶことができます。

経営者と労働組合の関係を調節する機関として労働委員会が設けられています。


労働者は団体行動権争議権)を持ちますが、争議がこじれたとき、労働争議を円満に解決するための法律が労働関係調整法です。

労働関係調整法

労働者の団体行動のうち、ストライキ(労働者が労働組合の要求を通すために一斉に仕事を休むこと)などがおこなわれて争議が長期化したとき、労働委員会が間に入って経営者と労働者の関係を調整し、争議を解決することを目的とする法律です。


労働三権と労働三法との関係

団結権団体交渉権について定めている法律・・・労働組合法
団体行動権争議権)に関する法律・・・労働関係調整法
労働三権とは直接関係しない法律・・・労働基準法

上の分類でわかるように、労働三権と労働三法が、一つずつ対応しているわけではありません。

経営者(使用者)と比較して立場が弱い労働者個人個人を守るための法律が労働基準法です。

それに対して、一人だと弱い労働者が団体(労働組合)を結成する権利を保障して、労働組合が経営者と対等な立場で交渉することによって労働者の権利を保障しようとする法律が労働組合法労働関係調整法です。


労働三権を制限されている職種

公務員は、職業の特殊性から、国家公務員法などによって団体行動権を制限されています。
警察官自衛官は、団結権・団体交渉権・団体行動権(争議権)の三権を持ちません。


現代の問題点

景気の長期化の影響で、企業は正社員(正規社員)の採用をひかえる傾向にあります。

正規の雇用に対して、パート(パートタイマー)、アルバイト、契約社員、派遣社員などを非正規雇用といいます。

非正規雇用の形態で働く人たちは、従来の労働三権では保護されないのではないかということが問題になっています。



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あなたが、今までなかった五角形の鉛筆を発明し、評判がよいので会社を設立してその鉛筆の生産と販売を始めたとします。


資本主義社会と自由競争

現在、私たちが生きていいる社会は、企業が人を雇い、ものを生産し、販売して利潤(利益)を追求する資本主義社会です。

資本主義社会の経済原理は、自由競争です。
商品が流通する社会のことを市場(しじょう、マーケット)といいます。市場で、各企業が自由な競争をして利潤を追求することが社会の発展の原動力となるとみなされています。


ベンチャー企業

あなたが五角鉛筆を生産・販売するために設立したような企業のことを、ベンチャー企業といいます。
会社を設立して間もない、新しい技術やアイディアで伸びようとする企業がベンチャー企業です。


大企業と中小企業

あなたが設立したばかりの企業は、規模が小さいので中小企業とよばれます。
中小企業基本法は、鉱工業や運送業などでは資本金1億円以下または従業員数が300人以下、小売り業やサービス業では資本金1000万円以下または従業員数50人以下の企業を中小企業と定義しています。

それ以上の規模のものが大企業です。

中小企業は、大企業から注文を受けて大企業に納める製品を作ることがあります。下請企業(したうけきぎょう)とよばれます。

あなたの考案した五角鉛筆は評判がよくて販売も伸び、あなたの設立した会社が大企業に成長したとしましょう。


企業集団と企業系列

あなたは、友人が運営しているチェーンの習字教室に五角鉛筆を使わせたり、文房具専門の通信販売の会社と協力したり、五角鉛筆を作らせていた下請企業に新しいノートを注文したりして、さらに売上げを伸ばしました。
このような、お互いが生産や販売で協力する企業グループのことを企業集団(コングロマリット)といいます。企業集団は、別の企業との、横のつながりです。

さらに、あなたが資本を出して販売会社を設立したり、下請企業の経営者として部下を送り込んで子会社にしたりして、あなたの企業が他の企業を支配する関係が成立すると、企業系列(ファミリー)となります。
役員を派遣したり、資金を融資したりして、大企業が支配し、傘下の企業が従属する、縦のつながりで結ばれた企業グループが企業系列です。


企業集中

あなたの会社が五角鉛筆で急激に成長したのを見て、多くの同業者も五角鉛筆の生産を始めたとします。
当然、あなたの会社の売上げは影響を受けます。値段を下げないと売れなくなって、利益も減少していきます。

困ったあなたはどういう方法を考えるでしょうか?

自分と同じくらいの規模の会社に声をかけて、お互い利益が出ないので1本100円以下では売らないようにしようと談合をして協定カルテル)を結ぶかもしれません。

五角鉛筆を作る会社が多すぎるのが儲からない理由だから、他の会社と合併トラスト)して利益を確保しようとするかもしれません。

自分で他の会社を支配できれば生産量も値段も自由に決定できるので、他の会社の株式を買い取って子会社にし、自分は持株(もちかぶ)会社コンツェルン)を通して子会社を支配しようとするかもしれません。

このように、2つ以上の個別企業が結合して独占的大企業を形成することを企業集中(企業結合)といいます。

企業集中の形態は、3つに分類されます。

カルテル協定)・・・お互い独立した企業が価格や生産量について協定を結ぶと。
トラスト合併)・・・同じ業種の企業が独立性を失って1つの企業に合併すること。
コンツェルン持株会社による支配)・・・持株会社が独立した各企業の株式を持ち、資本を支配することで各企業を子会社として支配すること。


寡占と独占

企業集中が進み、ごく少数の企業が市場をコントロール(価格を決定するなど)できるようになった状態を寡占といいます。

さらに寡占が進み、1つだけの企業が市場を完全に支配できるようになった状態が独占です。


企業集中・寡占・独占の弊害と対策

一般の消費者にとって、企業集中が進み、寡占、独占になることは、「よい商品を安く」手に入れることができなくなるので、弊害が大きいといえます。
また、企業間の公正な競争を阻害することで、結局、社会全体の健全な進歩を止めてしまうことになります。

そこで、国は独占禁止法を制定し、国民の不利益になる企業集中を取り締まっています。

独占禁止法(正式名は、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」)
企業間の公正で自由な競争を確保することで、資本主義の市場経済の健全な発達を促進することを目的とする法律です。
(1)私的独占、(2)不当な取引、(3)不公正な取引方法の、3つが禁止されています。

内閣から独立した公正取引委員会が、独占禁止法に違反する行為を認定し、違反行為の排除を命令し、違反した企業に対して制裁をくわえます。



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企業・会社・法人

社会科では、経済の主体を企業家計政府の3つに分類します。

さらに、企業は公企業私企業に分かれ、私企業は個人企業団体企業に分類され、さらに団体企業は会社企業組合企業に分かれます。

個人企業は農業や個人商店など規模が小さいものがほとんどであり、組合企業は農業協同組合や漁業協同組合など特殊な職種に限られます。
代表的な私企業は会社企業(いわゆる会社)です。

複雑な現在社会では、法律で団体に個人と同様の人格を与え、財産の所有を認め、税金を納める義務を課すなど、経済の主体として独立の存在として扱います。
こうした団体のことを、法律によって人格を与えられた存在なので法人といいます。
会社企業は法人の代表的なものです。


会社企業の数

2006年までは、会社についてはおもに商法で定められていました。

2006年まで、会社の種類としては、株式会社、有限会社、合資会社、合名会社があり、総数は約310万社、株式会社(大企業のほとんどは株式会社)が約115万社、有限会社(中小企業が多い)が約185万社で、この2つで会社の97%を占めていました。


新しい会社法と会社の種類

2006年に商法から独立した新しい会社法が施行されました。

新しい会社法では、有限会社を新たに設立できなくなり、株式会社と一体化されることになりました(現に存在する有限会社の存続は認められています)。
逆に、合同会社という新しい形態の会社が認められることになりました。

新しい会社法で認められる会社は、株式会社合名会社合資会社合同会社の4つだということになります。

株式会社は、1名以上の株主が資本を出し、有限責任を負います。
合名会社は、1名以上の社員が資本を出し、無限責任を負います。
合資会社は、2名以上の社員が資本を出し、無限責任社員と有限責任社員で構成されます。
合同会社は、1名以上の社員が資本を出し、有限責任を負います。

資本とは、会社設立時やその後に会社に出資される資金のことです。

社員とは、法律上は、現実にその会社で働いている人のことではなくて、資本を出した人のことです。株式会社だけは資金を提供した人を株主といいます。

会社が損失を出したとき、社員(株主)は最初に出した資金を失うだけでそれ以上の責任を負わないことを有限責任といい、社員が損失をさらに資金を出して補わなければならないことを無限責任といいます。


株式会社

会社の中で代表的なものである株式会社について、さらに細かくみていきましょう。

株式会社を設立する際、または以後資金が必要になったときに資本を出す人のことを株主といいます。

株主は、出資した金額の割合により、会社に対して権利を持ちます。株主が会社に対して持つ権利のことを株式といいます。

株主は、原則として自由に株式を他の人に売ることができます。
株式を対価を得て譲渡することで、株主は提供した資金を容易に回収することができるので安心して出資をすることが可能になり、株式会社は多くの人から多額の資金を手に入れることが可能になります。

株式が売買される場所が証券取引所であり、刻々変化する株式の譲渡価格を株価といいます。

株主は、会社が利益をあげたとき、会社から株式の比率に応じてお金を受け取ります。これを配当金といいます。

逆に会社が経営に失敗したとき、株式会社の株主は最初に出資した資金を失うだけで、それ以上にさらにお金を出して会社の損失を補填する責任を負いません。このことを株主の有限責任といいます。

会社の運営を決定する最高意思決定機関は株主総会です。
国でいえば国会にあたる機関で、会社の運営にかかわる重要事項を決議します。株主総会の議決は、株主の人数ではなく株主の所有する株式数の過半数で決定することを原則とします(1人の株主が51%以上の株式を所有していればその1人の賛成で議決できるということです)。

実際に株式会社の経営にあたるのは株主総会で選出された取締役です。
通常は取締役で構成される取締役会が経営上の意思決定をします。


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企業

企業とは、社会の経済的主体として、商品を生産し、サービスを提供する組織をいいます。

社会を構成するおもな経済主体は、企業家計政府の3つです。


公企業と私企業

企業は、地方自治体が経営する公企業と、民間人が経営する私企業に分類されます。


公企業

地方公共団体が資金(資本)を出して設立し、営利を目的とせず公共の利益のための活動をおこないます。
私企業とちがい、構成員の地位は公務員に準じ、企業の経理は予算の制約を受け、利用料金などについて法律の制限があります。

国営企業独立行政法人特殊法人地方公営企業の4つに分かれます。

(1)国営企業国有林野事業(日本の国有林を保護育成する事業)
(2)独立行政法人…2001年、それまで国の機関であったものを、独立行政法人通則法にもとづき独立の法人に再編したもの。
印刷局造幣局の他、国立病院、国立大学、研究機関、博物館などが独立行政法人になりました。
(3)特殊法人…その法人を設立するための具体的な法律にもとづいて設立された法人のうち、独立行政法人でないものをいいます。
事業団、公庫、特殊会社、その他があります。
日本電信電話株式会社(NTT)、日本郵政株式会社日本たばこ産業株式会社(JT)、株式会社日本政策投資銀行、株式会社日本政策金融公庫、日本アルコール産業株式会社、日本貨物鉄道株式会社、成田国際空港株式会社、東日本高速道路株式会社、本州四国連絡高速道路株式会社などがふくまれます。日本中央競馬会、日本放送協会(NHK)、日本年金機構も特殊法人です。以前に公社、公団とよばれた組織がふくまれます。
(4)地方公営企業…地方自治体が経営する、上下水道、電車・バス、公立病院の事業など。


私企業

民間人が資金(資本)を出して設立し、営利の獲得を目的として経営する企業です。

個人企業共同企業に分類され、さらに共同企業は組合企業会社企業の2つに分かれます。

(1)個人企業…個人が経営する企業で法人ではないもの。個人商店や農業に見られます。
(2)組合企業…生活協同組合、農業協同組合、漁業協同組合など、それぞれの準拠する法律にそって設立された法人。
(3)会社企業会社法に則って設立された法人。一般社会で企業というときは会社企業、特に会社の中でも株式会社をさすことが多い。
会社企業には株式会社・合名会社・合資会社・合同会社・特例有限会社などがあります。


その他の経済主体

社会の主要な活動体であって以上の分類にふくまれないものとしては、一般社団法人・財団法人、公益社団法人・財団法人、学校法人、医療法人、社会福祉法人、特定非営利活動法人(NPO)などがあります。

企業


















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私たちが物を買うときの値段を価格といいます。

価格には3段階のものがあります。
通常、商品は生産者が生産し、生産者から卸売商(問屋ともいいます)が購入し、卸売商から商品を購入した小売商(デパートやスーパーや商店)が私たちに販売します。
生産者価格・・・生産者が卸売商に販売するときの価格
卸売価格・・・卸売商が小売商に販売するときの価格
小売価格・・・小売商が消費者に販売するときの価格
購入価格に利益を加えた価格で販売するはずなので、値段は生産者価格<卸売価格<小売価格となります。


価格の決定

新聞やテレビで、気候の影響で野菜などの生鮮食料品が品不足となり価格が上昇しているといったニュースを見聞きしたことがあると思います。

今年は猛暑で海水の温度が変わり、サンマが極端な不漁でした。当然、サンマの水揚げ量(供給・・・企業などが商品を提供できる量の全体)に比べてサンマをほしがる人(需要・・・消費者が商品をほしがる量の全体)のほうが多く、サンマがどうしてもほしい人は少々値段が高くても買おうとしますから、サンマの価格は上昇します。

逆に、野菜ができすぎたり魚がとれすぎたりしたときは、商品の量のほうが人がほしがる量より多すぎるので値段を下げないと売れません。

以上の状況を、価格によって需要と供給がどのように変化するかの見地からながめるグラフが需要曲線供給曲線です。

需要曲線(需要にあたる英語がdemandなのでDで表示することがある)

需要曲線
価格が高いと買いたい人(需要)が少ない、価格が低いと買いたい人(需要)が多いことを示す曲線です。

グラフを読み取るとき、縦軸の価格を先に見て、「価格が高いと需要が少ない」、「価格が低いと需要が多い」と見ないと誤解します。
(先に需要のほうから見ると、需要が多いほど価格は下がると勘違いしてしまいます。)


供給曲線(供給にあたる英語がsupplyなのでSで表示することがある)

供給曲線
価格が低いと売りたい人(供給)が少ない、価格が高いと売りたい人(供給)が多いことを示す曲線です。

グラフを読み取るとき、やはり、縦軸の価格を先に見ることが大切です。
「価格が高いと供給が多い」、「価格が低いと供給が少ない」と読み取ります。





2つの曲線のうち、どちらが需要曲線でどちらが供給曲線かをたずねる問題が出ます。
縦軸が価格を表すこと、価格のほうを先に見て需要と供給がどうなるかを考えることの2点に留意すればわかりますが、次のような覚え方もあります。

覚え方需要の最初のひらがな「じ」と同じ流れなのが需要曲線、供給の最初のひらがな「き」の書き出しの一画と同じ向きなのが供給曲線。






均衡価格・市場価格・独占価格・公共料金

均衡価格

理論的には、価格は、需要曲線と供給曲線の交わった点で決まるはずです(その点が需要にも供給にも適合する価格を示しているので、価格はそこで安定して変動しなくなるはずだから)。

均衡価格こうして、需要と供給のバランスで決定される理論上の価格のことを均衡価格といいます。

均衡価格が成立する市場(しじょう・マーケット、商品が流通している実際の社会のこと)を完全競争市場といいますが、実際の市場では、ものの価格は需要と供給以外のさまざまな要素で決定されるので、均衡価格は「理論上の」価格です。



市場価格

実際の市場で商品が現実に売り買いされている価格のことを市場価格といいます。

実際の価格である点が、理論上の価格である均衡価格とちがいます。

また、需要と供給の影響を受けて決まる価格である点が、企業が一方的に決定する独占価格とちがいます。

経済学では、需要が供給より多いときは市場価格は均衡価格まで上昇し、供給が需要より多いときは市場価格は均衡価格まで下落し、いずれにしても、市場価格は均衡価格に近づいていくと説明されます。


独占価格

その商品を生産または販売している企業が1社だけであった場合、その企業は高い利益をあげるために自由に価格を決定することができます。
また、有力な企業が一方的に価格を設定し、同業の他の企業がその価格に追随する例もあります。
さらに、複数の企業が利益の確保をめざして、話し合いで協定を結んで商品の価格を決めてしまうことがあるかもしれません。

上の例のような、需要や供給に関係なく、経済的に強い立場にある企業が一方的に決定した価格のことを独占価格といいます。

行き過ぎた独占価格は消費者に不利益をもたらし経済の停滞をもたらすおそれがあるので、国は独占禁止法で不当な価格の操作を禁止し、公正取引委員会が監視をしています。


公共料金

郵便料金、鉄道やバスの運賃、電話料金、水道やガスや電気の料金、公立学校の授業料など、国民の生活に関係が深く公益性の強いものの料金のことを公共料金といいます。

公共料金は、公益性や住民サービスを考慮しながら国や地方公共団体が料金の決定に関与します。
(1)国会や政府が決定するもの・・・診療報酬、介護報酬
(2)政府の認可や政府への届出が必要なもの・・・郵便料金、電気料金、鉄道やバスの運賃など
(3)地方公共団体が決定するもの・・・水道料金、公立高校の授業料など
の3種類があります。


物価

個々の商品の値段ではなくて、多くの価格をまとめて平均化したものを物価といい、基準の年の物価を100として、基準の年と比較した、ある年の物価を表す数値のことを物価指数といいます。

物価指数には、消費者物価指数(日常生活に使用される小売商品の物価指数)と、企業物価指数(企業間で売買される卸売商品の物価指数、卸売物価指数)とがあります。


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インフレーションとデフレーション

商品やサービスの値段を価格といい、個々の商品の価格ではなくて多くの価格をまとめて平均化したものを物価といいます。

インフレーション・・・物価が継続的に上昇し、貨幣価値が下落すること。

デフレーション・・・物価が継続的に下落し、貨幣価値が上昇すること。


インフレーション

物価が継続的に上昇し、それにともなって貨幣価値下落することをインフレーションといいます。

「貨幣価値の下落」とは、例えば、物価が1割上昇すると、それまで100円で買えていたものを110円払わないと購入できないことになるので、貨幣価値(お金の値打ち)が下落したことになる、という意味です。

インフレーションが起こる原因としては、おもに3つのものがあるといわれています。

(1)需要増加によるインフレーション

ある商品を人々が欲しがる量の総体需要といいます(需要の反対語は供給(ある商品を企業が提供する量の総体)です)。

価格は需要と供給で決定されるのが原則です(価格の決定についてはこちらを参照)。
需要が供給を上回るとき、価格を上げても商品は売れるので、物価は上昇します。

好景気で経済成長が続き給料の上昇を見込めるときや、社会が安定していて将来に対する不安が少ないとき、人々は積極的に商品を購入して生活を豊かにしようとします。
商品に対する需要が増える続けるので物価は上昇します。

景気がよいときのインフレーションなので「よいインフレーション」ですが、行き過ぎると実体のないバブル経済になり、経済に混乱をもたらします。

(2)供給に原因があるインフレーション

輸入する石油の価格が上昇し、それにともなって石油を原材料とする商品の価格が上昇するときのように、供給される商品の価格上昇が原因であるインフレーションです。

経済規模が拡大するときのインフレーションではなく、家計を圧迫するので「悪いインフレーション」です。

(3)貨幣流通量増大によるインフレーション

政府が財政政策として公共投資や減税をおこなったときや、中央銀行である日本銀行が金融政策として政策金利を引き下げ、あるいは公開市場操作で国債を購入したとき、社会を流通する貨幣の量が増大します(財政政策と金融政策についてはこちらを参照)。

社会を流通するお金の総量が増えるので、企業が資金を銀行から借りるときの金利が下がり、企業は積極的に借り入れをおこなって設備投資などでお金を使おうとします。
その結果、需要が増大し、ものの価格が上がってインフレーションになります。

不景気のとき、政府や日本銀行は財政政策や金融政策を通して適度なインフレーションを作り出し、景気の回復を図ります。


デフレーション

物価が継続的に下降し、それにともなって貨幣価値上昇するのがデフレーションです。

デフレーションが起こる原因としては次のようなものがあります。

(1)需要減少によるデフレーション

景気が悪化し、給与所得が減少したり、将来への不安が増したりすると、消費をひかえようとする気分が社会に広がります。
需要が減少して値段を下げないと商品が売れなくなるので物価は下がっていきます。

商品の価格が下がると、利益も減少するので企業の業績はますます悪化します。従業員の給料が下がり、国の税収も減少し、ますます商品が売れなくなって不景気が続くことになります(デフレーションが景気の後退を招き、さらにデフレーションをもたらす現象をデフレ・スパイラルといいます)。

(2)供給に原因があるデフレーション

人件費が安い発展途上国の工業化が進み、海外から安い商品が大量に輸入されるようになると、その影響で物価は下がっていきます。
国内の企業も対抗上、商品の価格を下げざるをえないので、さらにデフレーションが進むことになります。

(3)資産価値の低下によるデフレーション

不景気になり企業の業績が悪化すると、株価が低迷し地価も下がって、企業や個人の保有する資産の価値が減少します。
企業は設備投資を控え、個人は消費を抑制するので物価は下がります。


好景気=インフレーション、不景気=デフレーション

一般に、好景気のときは消費意欲が高まるのでインフレーションに向かい、不景気のときは消費を控えようとする傾向が強くなるのでデフレーションにつながります。


スタグフレーション

石油などの原材料の価格が上昇しているとき、企業は不景気で需要が減退しているときでも商品の価格を上げざるをえません。

景気が停滞しているのにインフレーションが続く現象がスタグフレーション(停滞するstagnationとインフレーションinflationを結びつけた語)です。

不景気で給与が減少しているのに高い商品を買わないといけないことになり、個人の生活は二重の苦しみにさらされることになります。


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